『チェンソーマン』異色のキャラクター・パワー、なぜ人気爆発? 頭のネジが飛んだヒロイン像を読み解く
アニメが放送・配信される度におおきな話題を呼んでいる『チェンソーマン』。そのなかでもアニメ第2話で登場し、第3・4話でスポットライトを浴びたキャラクター・パワーの人気は高い。
パワーのさまざまな姿が描かれた第4話のエンディング映像はYouTubeにて600万以上の再生数を記録しており、原作漫画の第1回キャラクター人気投票においてもパワーは1位を獲得している。個性的な……というよりも頭のネジがぶっ飛んだキャラクターの多い本作のなかでも輝く、パワーの魅力とは何か。本稿で考察したい。
我がままで純粋な子どもを彷彿とさせる姿
原作漫画・第4話「力」で登場したパワーであるが、デンジたちと行動を共にすることとなった直後からパワーは息をするように嘘を吐く。
第5話「胸を揉む方法」でパワーは民間団体が目を付けたナマコの悪魔を討伐し「どうじゃ‼ワシの手柄じゃ‼/ガハハハハハ‼」と高笑いする。しかし業務妨害から逮捕されてしまう行為であるためマキマから注意されると、パワーはデンジに命令されたと弁解した。無論、これは嘘である。
第17話「デンジを殺せ」でパワーはデンジたちと共に脱出不可能な空間に閉じ込められてしまう。いつ脱出できるかわからず精神的に疲弊する同僚もいるなか、誰かが貴重な食糧をすべて平らげてしまう事件が発生した。
この犯人として口の周りが汚れているパワーが最も怪しいものの、彼女を問い詰めると「ワシじゃない/デンジが食べておったわ」と冷静に返答した。パワーが食料を食べている様子は描写されていないため、「この発言も嘘だ」とは断言できない。しかし嘘であると断言できないことが悔しいほどに、パワーの表情は清々しい。
第6話「使役」ではデンジを騙し彼の肉体をコウモリの悪魔に差し出しており、言動も行動もパワーの外道さは際立つ。ただデンジをコウモリの悪魔に差し出した動機として、飼い猫・ニャーコを救出したいという思いがあり、パワーは自分が心を許した存在には愛を注ぎ込む。そして第1部の終盤ではデンジにも愛を注ぐこととなる。
自己中心的な行動が目立つパワーであるが、他者への思いやりもたしかに存在している。第1部中盤でとある出来事がトラウマとなりデンジたちに甘える様子も含め、我がままで純粋な子どもを彷彿とさせる姿こそ、パワーが多くの人を惹きつける要因なのかもしれない。