『SLAM DUNK』宮城リョータは、映画版でどんな夢を見せてくれるか 日本人選手たちの活躍に寄せて
アニメーション映画『THE FIRST SLAM DUNK』の公開が、12月3日に迫っている。ボイスキャストの一新と発表のタイミングについて議論が巻き起こっているが、劇場で湘北高校メンバーの活躍が見られることを楽しみにしているファンは多いだろう。バスケットボール熱が高まり、現実のNBAやBリーグをあらためてチェックしている人も多いかもしれない。
『SLAM DUNK』が「週刊少年ジャンプ」で連載されたのは、1990年10月から、96年6月まで。当時において、日本人プレイヤーがNBAで大活躍する日が来るとはほとんど想像できなかったが、いまでは八村塁が桜木のように豪快なダンクやリバンド、流川のように華麗なミドルジャンパーを決め、渡邊雄太が三井のようにチームを乗せる3Pシュートを沈め、赤木のようにハエ叩きを決める姿が見られるようになった。ともにチームの主力級と言っていい活躍ぶりだ。現在米ネブラスカ大学でプレイしている、日本歴代最高峰のシュート精度を誇る“和製ステフィン・カリー”富永啓生も、現代的な戦術にマッチした能力でNBA進出の期待がかかっている。
そんななかで、NBAで縦横無尽に暴れ回る姿を夢見てしまうのが、『THE FIRST SLAM DUNK』予告編でフィーチャーされた「宮城リョータ」タイプの日本人選手だ。近いところでは、フェニックス・サンズとの契約を勝ち取った田臥勇太や、マーベリックス傘下のテキサス・レジェンズでプレイした富樫勇樹という二人のスターが印象に残るが、次世代のホープなら、現在、東海大学バスケットボール部に所属しながら、特別指定選手としてBリーグでも活躍するPG・河村勇輝が挙げられる。
クイックネスと創造性あふれるパス能力は福岡第一高校時代から圧倒的で、体幹やシュート精度も向上中の河村。昨年12月には、「Hanako」誌のインタビューで『SLAM DUNK』に触れ、「登場人物の中では宮城リョータが好きで。ポイントガードというポジションも一緒だし、小柄でスピードが武器というのもちょっと似ていて。宮城リョータの存在が自分のモチベーションにもなっていました」と熱く語っている。すでに日本代表にも名を連ねており、まだ明確な目標としては語られていないものの、将来的なNBA挑戦も視野に入れている。
現在はチーム戦術や重用されるプレイヤーのタイプも変化しており、90年代以降活躍していたジェイソン・キッドやスティーブ・ナッシュのような、アシストを量産するタイプのPGはあまり見られなくなった。そのなかで、日本人選手がスピードで相手を切り裂き、鋭いアシストを重ね、ときには「オレならいつでもブロックできると思ったかい?」と、カットインを決めるーー。
そんな想像が膨らむのも、『SLAM DUNK』という作品があったからこそだ。バスケットボールを取り巻く環境も大きく変わったいま、公開される『THE FIRST SLAM DUNK』は、一体どんな夢を見せてくれるだろうか。12月3日が楽しみだ。