恋がしたくなる 好きになっていく過程が緻密に描かれるときめく恋愛漫画4選

 恋愛をテーマとしたマンガは多くあるが、だからこそ、その中から気になる1冊を選ぶのは至難のワザ。どんな恋愛がテーマの作品かによっても好みは変わってくる。今回は、読んでいるだけでときめく、「恋がしてみたい!」と思えるような恋愛マンガをご紹介する。

■『うるわしの宵の月』やまもり三香(講談社)

 周囲から「王子」と呼ばれ、女子の視線を集めている女子高生の宵。あるとき、宵と同じように「王子」と呼ばれている先輩・市村と出会った宵。宵のことを「美しい」という市村。さらに、コンビニで酔っぱらいに絡まれているところを助けられ……。宵にご執心な市村だが、宵も気になり始め、お試しで付き合ってみることに。

 宵は初恋、市村は初めての本気の恋(たぶん)。最初は市村のペースに乗せられないようにと警戒していた宵だったが、次第に惹かれ始め……。最初は相手への興味だけだったのに、お互いに異性として惹かれ合っていく。

 その描写がとても丁寧で、「これは好きにならないわけがない」という説得力がある。また、ふとしたときに見せる市村の「好きな人にしかしなさそうな」仕草が乙女心をくすぐる。

■『山田くんとlv999の恋をする』ましろ(KADOKAWA)

 主人公はフラレたばかりの女子大生・茜。ストレス解消のために元カレから勧められたゲームにログインするが、同じギルドの山田と出会う。が、山田の失礼な物言いに余計にストレスを溜めることになる。しかし、元カレを見返すために行ったゲームのイベントでオフラインで山田と遭遇し……。

 ゲームを通じて知り合った山田(イケメン)と次第に距離を縮める茜。モテるが女性が苦手で、彼女がいたことはない。が、明るく、飾らずにぶつかってくる茜に次第に心を開くようになる。なんとなく、お互いに想いを寄せていることは分かるのに、なかなかくっつかないもどかしさ。両片思いが存分に楽しめる作品だ。

■『ブスに花束を』作楽ロク(講談社)

 主人公は自称ブスの女子高生・田端花。ブスだと自覚があるために、自虐も多く、少し後ろ向きなところがある。しかし、あるとき、クラスで一番のイケメン上野と2人きりで話す機会があり……。実は、教室の花が替わっているのが以前から気になっていた上野。替えていたのが花だと知り、気になる存在になっていく。

 とにかく、「自分が上野みたいな男子と話していいはずがない」と思ってしまうようなタイプなので、上野の好意に気がつかない。上野は上野で恋愛初心者で、自分の恋にも気づかず……。初々しい恋愛が微笑ましくもあり、だからこそ、ふとしたときに心が縮まる瞬間がグッとくる。

 クラスでひとりぼっちで、どちらかと言うと浮いている存在だった花が、上野のおかげで打ち解けていくのが微笑ましい。

■『ながたんと青と』磯谷友紀(講談社)

 舞台は戦後の京都にある老舗の料亭・桑乃木。娘のいち日はホテルの厨房に入り、西洋料理の世界で自立しようと決意していたが、あるとき19歳の周との縁談が持ち上がる。

 実は桑乃木は経営難に陥っており、大阪でホテルを経営している山口家と結婚することで、援助してもらえるのだ。34歳のいち日はその年の差に戸惑うが……。

 もともとは、いち日の妹と、周の兄がお見合いをするはずだった。が、妹は桑乃木の料理人と駆け落ち。お互いに割り切って結婚したはずだが、一緒に時を過ごしているうちに惹かれ合っていく。

 メインは、桑乃木の立て直しと、いち日の料理に対する情熱だが、互いへの好意が絡むことによって、物語に厚みがある。結婚してから、惹かれ合う様子は新鮮だし、答えが見えない恋にハラハラする。

■丁寧な心理描写に共感

 それぞれに共通するのは、丁寧な心理描写だ。好きになっていく過程が丁寧に描かれていることで、読者も自然と共感してしまう。また、「初恋」もひとつのキーワードだろう。初めてのことで、自分の気持ちを持て余し、どうやって行動すれば良いのかも分からない様子は、初々しく、懐かしい気持ちにさせてくれる。

 少し疲れたときこそ、「好き」が思い出せるマンガで癒されてみてはどうだろうか。

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