【漫画】人見知り女子がアフリカへ……夜空の月に何を思う? 女の友情が染みる創作漫画が話題
ーー日本ではあまり見られない景色のなかに浮かぶ月に美しさを覚えた作品でした。創作のきっかけを教えてください。
すな:本作を描くにあたって作品のタイトルを私の妻と話しながら考えていました。漫画のタイトルとして「○○と○○」というものがよくありますよね。ふたりで○○に当てはまる単語をいくつか出し合い、候補にあった「月」と「アフリカ」を用いて作品を描こうと思いました。候補の単語を眺めるなかでアフリカの空に月が浮かんでいる画がパッと浮かびましたね。
最初はひとりの男性が登場する4ページの漫画を描いたのですが、少し物足りないと思いふたりの女性がアフリカを旅する40ページ程の作品となりました。僕も人との関係に1歩踏み込めなかった若いころの経験があったので、キャラクターに自分の思いを込めた感じです。
人見知りに限らず、周りからすると小さな悩みに見えても、本人は深刻な問題として感じていることは多いと思います。作品の脚本をつくるなかでそんな思いをユキに込めました。
ーー印象に残っているシーンは?
すな:描きたかったシーンが2つありました。まずチアキがユキに「アンタは最高」と話すところです。世間を恨んだとしても結局は自分が悪いと自身を責める登場人物を、友だちがそんなことないよと話してくれるシーンを描きたくて。
もうひとつは月が昇るアフリカの地で昔のことを考えるユキが、煙が立ち昇るタバコを見つめるシーンですね。
ーー本作において「タバコ」は大きな意味を成していたかと思います。
すな:今は紙タバコを吸う人が少なくなっていると感じ、吸うときには周りの人から離れないといけないところなどから肩身の狭い、孤独な存在なのかなと考えていました。砂漠の空にタバコの煙がユラユラと昇る様子からユキの孤独を表現できればと思い、タバコを描きました。
これは裏設定なのですが、ユキはアニメや漫画が好きな女の子であり、『ルパン三世』の次元大介に憧れています。そのため4ページ目で描いたユキのタバコの持ち方は次元をイメージしたものとなっています。
また月も砂漠のなかには1個しかないものとして、ユキの孤独さ、寂しげな様子を表現するために使いました。
ーーすなさんは普段エッセイ漫画を中心に投稿しているかと思います。本作を創作するなかで感じた違いはありますか?
すな:日常を題材とした作品はほぼ本当にあった話を漫画に描いていますが、本作を描くにあたってはラクダに乗るツアーやテント泊など、アフリカのことをたくさん調べたんですよね。いつもであれば4ページほどの作品を1週間くらいで描くのですが、アフリカについて調べたりキャラクターの設定をつくったりするなか、本作は完成まで2か月かかりました。
ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。
すな:もともと絵を描くことは好きだったのですが、仕事をするなかで絵を描くことから離れるようになりました。ただ3年前に入院し、その際にスマートフォンで絵を描けるソフトを手に入れたことから入院記として漫画を描きはじめたのです。
描いた漫画は妻に送っていましたね。すると妻も「面白い」「漫画家になれるよ」と返事をくれて、せっかくだからと思いSNSにも漫画を投稿するようになりました。
ーー入院記として描き始め、今も夫婦生活を題材した作品を継続して創作されているかと思います。
すな:妻とは付き合ったころから数えて20年以上の付き合いになります。ただ、色々ありまして私たちは子どもを持たない選択をしており、趣味も異なるため一緒になにかをすることは少ないです。そのため実際にあった出来事を漫画にすることでふたりの思い出にもなるかと思って。そして妻も本当に面白い人なので、彼女の存在を世間に出してみようかと思ったこともきっかけですね。
将来はふたりで老後を迎えると思うので、ふたりの思い出をカタチとして残したいと考えたとき、僕にできることは漫画でした。
ーー今後の活動について教えてください。
すな:年内に読み切り作品を4本ほど描きたいと思っています。今は会社員ですが、ゆくゆくは漫画1本で生きていけたらいいなという思いもあります。絵の練習や漫画の技術を学びながら、日々漫画を描いていますね。