『僕のヒーローアカデミア』バランス最強なA組の精神的支柱・蛙吹梅雨の実力を考察

最もヒーローの素質を持った生徒?

 梅雨ちゃんを語る上で外せないシーンは、林間学校で爆轟がヴィラン連合に連れ去られた直後のやりとりである。

 デクが入院している病室内に1年A組のクラスメイトが集まり、轟や切島が爆轟救出の計画していることを伝えると、梅雨ちゃんは「皆、爆轟ちゃんが攫われてショックなのよ」と彼らの心境を汲みつつも、「でも、冷静になりましょう どれ程正当な感情であろうと また戦闘を行うというのなら」「ルールを破るというのなら その行為はヴィランのそれと同じなのよ」と説得する。常闇や障子も勝手な行動を慎むよう話していたが、ここまでキッパリ口にしたのは梅雨ちゃんのみだった。

 “バトル漫画”という視点で見ると、「仲間が連れ去られたけど今は大人に任せたほうが良い」という発言は、消極的でドラマに欠けるものかもしれない。しかし、現実的に考えると、大人の助けになるどころか、足を引っ張るリスクのほうが高い。問題の大きさを読者に再認識させ、物語に緊張感とリアリティを与える、という作話上の役割も大きいが、チーム(クラスメイト)の動揺を察し、冷静な判断を下そうとした梅雨ちゃんに、ヒーローとしての資質を感じるシーンだった。結果的にデクたちの活躍によって爆轟を救出できたが、「運よく」とも表現できる救出劇であり、最悪の結末につながる可能性は十分にあった。

 現在、最終決戦において梅雨ちゃんはトガヒミコと対峙しているが、戦闘・サポートのどちらでも活躍する気配がプンプンする。梅雨ちゃんの勇姿を楽しみにしたい。

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