大奥を舞台にしたネコ漫画『猫奥』が与えてくれる安らぎ 愛猫家が激推しできる理由を考察

ネコ飼い初心者あるあるのオンパレード

 ネコを愛する瀧山だが、瀧山はネコを飼っていない。事情があって飼うことができず、上臈御年寄の姉小路のネコに忠誠を誓っている。そんな瀧山は、ネコは好きだが生態をよく知らないため、「ネコを初めて飼った人のリアクション」あるあるのオンパレードなのだ。

 筆者はここにも親近感を感じた。というのも、筆者はイヌ派で、最近までネコを飼ったことがなかった。いや、厳密には祖母がネコ嫌いだったため、祖母が他界後に2匹のネコを拾うまでネコの魅力を理解する機会を得られなかったのだ。

 目も開いていない子ネコを拾って戸惑っている筆者に手を差し伸べてくれたのは、ネコ飼いの友人らだった。彼らは私が子ネコの飼い主として成長できるように見守りつつ、筆者がネコ沼にハマっていくのをニヤニヤと楽しんでいた。

 当時を思い返してみれば、筆者は結構面白い存在だったのではないかと思う。何から何までが目新しく、些細なことに感動していた。トイレトレーニングが2日で終わったときには、天才を拾ってしまったと大騒ぎした。それがネコの標準機能だと知ったときには、こんなに賢い生き物がいるのかと心底驚いた。ネコに振り回され、感動し、いつの間にかネコのいない生活なぞ考えられないほどにハマっていく筆者を横で見ていた人たちは、一段高い場所から「そうであろう。可愛いだろう」と見物していたのではないか、と思う。

 そして、瀧山の行動は、まさに筆者が辿ったそれだった。そして筆者も今まさに「瀧山もネコのその魅力に気づいたのか……」とにやついてしまうのだ。

 『猫奥』は、ネコの魅力とネコにはまっていく人の面白さを余すところなく描いているだけでなく、歴史への興味のきっかけにもなってくれる。なにより、現実の辛さを一時的に和らげてくれる。

 色々と語りたいことがあるが、今はひっくるめて激推ししたいネコ漫画だ。

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