大奥を舞台にしたネコ漫画『猫奥』が与えてくれる安らぎ 愛猫家が激推しできる理由を考察

 昨今は気持ちが下がるニュースが多い。ネットもSNSも目を瞑りたくなるような話が多く、情報のアップデートの必要性を感じる一方で、常に安らぎを与えてくれるコンテンツを探す日々が続いている。

 そんな中で、筆者がハマっているのが山村東著の『猫奥』(モーニングコミックス)だ。

大奥にはネコがたくさんいた

 『猫奥』は、大奥に仕える女性たちがこぞってネコを飼っていたという歴史×ネコの物語だ。

 主役は、なんといってもネコ(だと思う)。ネコの魅力を余すところなく伝える役どころは、大奥の将軍付御年寄である瀧山だ。歴史上の瀧山は自分にも他人にも厳しい人物だったようで、時代劇などでも常にポーカーフェイスな「できる女」として描かれていることが多い。

 そんな瀧川が、実は大のネコ好きだった、というのが『猫奥』なのだ。

歴史が苦手な人にも

 筆者は日本史が大の苦手であり、それが長年のコンプレックスだ。歴史=年号の語呂合わせで暗記したり、教科書のまとめをそのまま板書したりするスタイルの授業を受けてきたこともあり、まったく歴史に興味がわかなかったのだ。

 のちに元歴史教師と知り合い、「歴史の授業とは教科書の行間を話すものだ」と聞いて目から鱗だった。生徒には宿題として教科書をあらかじめ読ませておいて、授業では教科書には書かれていない部分を話すのだそうだ。

 筆者の場合、そのような授業を受けてこなかったため、自分で行間を埋めるコンテンツを探す必要があった。世の中には歴史小説や大河ドラマ、戦国武将をテーマにしたゲームなど、さまざまな歴史コンテンツで溢れている。しかし、前情報を知らなければ理解できないものも多いため、どこから手をつければ良いのかわからなかった。

 『猫奥』は、歴史が不得意で「大奥は女性ばっかりがいるところ」とか「男女逆転の歴史SFのテーマになった舞台」程度の知識しか持ち合わせていなくても楽しめる。導入部分で説明されているし、何よりネコの話なのだ。

 だが、読み進めるうちに瀧山という人物や、人物の階級や役職などに興味が湧いてくる。そもそも、同じネコ好きとして、登場人物に共感が持てる。よく、「遠い存在だと思っていた人も話してみれば自分と同じ人間だった」といった話を聞くが、筆者にとってみればそれが(フィクションだが)歴史上の人物だった。まったく接点がなかった大奥の人たちが、急に「ネコ仲間」になったのだ。

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