『東京卍リベンジャーズ』半間修二こそが物語を面白くする トリックスターとしての役割を考察

 第205話(第23巻所収)で、半間は、朋友・稀咲の亡骸(なきがら)を見下ろして、「派手に逝ったなぁ」とつぶやきながらボロボロと涙をこぼす。むろん、だからといって、ある人物の殺害に加担した半間を許すことはできないが、この場面では、彼がただのクレイジーな「死神」ではなかったということが暗に描かれている(余談だが、かつて稀咲は自分のことを「道化」だといっているのだが、笑いと恐怖、現実と幻想など、さまざまな両義性を秘めた道化もまた、トリックスターと近い存在である)。

型破りなトリックスターが物語をよりおもしろくする

 さて、『東京卍リベンジャーズ』はいま、最終章に突入――主人公・タケミチは12年前ではなく10年前にタイムリープ、その“目的”もこれまでとはかなり変わってきているのだが、現時点では、半間修二の動向はよくわからない(わずかに、稀咲の墓参りをする場面が描かれている)。

 だが、彼がトリックスターである以上は、ふたたび物語のどこかでひょっこりと顔を出し、敵も味方も混乱させて、すべてをぶち壊し、新しい道を切り開いてくれることだろう。

 もちろん、半間修二が“ラスボス”(あるいは、“もうひとりのタイムリーパー”?)として、物語の最後でタケミチの前に立ちはだかる、という展開も充分おもしろいとは思うのだが、それよりはやはり、この「歌舞伎町の死神」には、呼ばれてもいないのに突然現れて、秩序や常識を破壊する“愛すべき傍(はた)迷惑な存在”であり続けてほしいと考えているのは、私だけだろうか。

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