『ガラスの仮面』実力はあるのに! マヤのライバルになりそこねた人物3選
卑怯な手段でマヤを陥れ主演の座を奪う……乙部のりえ
さやかと英美はあくまでも演技でマヤと戦おうとする実力者だったが、マヤが芸能界で有名になった頃から登場する乙部のりえは違っていた。
最初はマヤのファンとして、地味な姿に変装して現場に現れる。マヤが母の死でショックを受けたとき、それをチャンスととらえてマヤを陥れ、変装を解いて本来の姿を明かし、マヤが演じていた役を奪う。はじめからマヤを利用して芸能界でのし上がるつもりだったのだ。
彼女にマヤほどの才能がないことをいち早く見抜いたのは姫川亜弓だ。亜弓は、のりえの演技はマヤの模倣にすぎないと言い当て、直後にのりえが卑怯な手段でマヤを芸能界から追放したと知る。
初主演の舞台『カーミラの肖像』でスターになろうとするのりえ。亜弓は自ら希望して主演ではない役でのりえと共演し、本番でのりえをのむ演技をした。観客はのりえではなく亜弓に注目し、劇評家も亜弓だけを絶賛した。
才能の差に打ちのめされた後、のりえはマヤが亜弓の唯一のライバルだったことを思い出す。のりえの最後の登場シーンは、自分のしでかしたことの恐ろしさに震える場面だ。のりえはマヤや亜弓の実力にはとうてい及ばなかったのだ。
『ガラスの仮面』をより輝かせた三人の少女たち
伝説の役・紅天女を演じるのは、才能だけでも、努力だけでも不可能だ。マヤと張り合える宿命のライバルは、やはり亜弓だけである。亜弓はかなり早い段階からマヤをライバルとして意識していたが、意外とマヤがそれを自覚するのは『ガラスの仮面』連載開始からだいぶ経ってからである。
マヤと亜弓が演技力を競う場面だけではなく、マヤのライバルになりかけた少女たちの奮闘を読んでみると、よりこの漫画の面白さが実感できるはずだ。