『東京卍リベンジャーズ』タイムリーパーは武道だけじゃない? 疑わしき人物を検証

『東京卍リベンジャーズ(23)』

 3人目は稀咲と行動をともにしていた半間修二。まず、武道が稀咲を追い詰めた際、武道がタイムリーパーであることに気付き、〈そういう事か!〉と何かに合点しているシーンがある。この反応を見る限り稀咲はすでにタイムリープの存在を認識していたと考えられる。しかも、タイムリープを当たり前のものとして捉えているということは、噂で聞いたレベルではなく近しい誰かから聞いていたと考えるのが自然ではないだろうか。さらに、現代において千堂敦に日向が殺されてしまうシーン。公園のトイレで武道にばったり会った半間は〈あれ? 車 乗ってねーじゃん〉と発言している。2人が公園にいることを知っている人間はいないはずであるのに、なぜ知っているのかという疑問からタイムリーパー説が唱えられているのだ。

 こうした「もう1人のタイムリーパー説」は納得度の高い考察がいくつも見られ、非常に興味深い。昨今、SNSの普及などにより「1億総クリエイター時代」と言われており、エンターテインメントは見て楽しむから、コンテンツを生み出して楽しむに変化してきている。この「もう1人のタイムリーパー説」の考察も、その一環だろう。『東京卍リベンジャーズ』を見た受け取り手が、考察するという新しいコンテンツを生み出しているのだ。一方で原作側も考察の余地を盛り込むという仕掛けをすることで、新しい楽しみ方を提供している。こうして制作側と受け取り手がタッグを組むことで、今までとは違ったエンターテインメントの楽しみ方が定着しつつあるというわけだ。

 単行本22巻の時点でハッピーエンドを迎えたかと思ったが、マイキーを救い出すために再び動き始めた武道。回収されていない伏線もあり、さらに物語が動き出していく。「もう1人のタイムリーパー説」に継ぐ、また別の考察が登場することもあるだろう。『東京卍リベンジャーズ』はまだまだ楽しめそうだ。

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