【漫画】深夜のコンビニ、言葉にできない“あの感じ”がエモい
ーー松屋のマンガは共感と、テレビ番組でも取り上げられたりして議論を呼びましたよね。
飯島:漫画のタイトルを『ごちそうさまでしたって言うのむずすぎ「問題」』にしてしまったのも原因なんですが、異議申し立て漫画みたいになっちゃったんですよね。あのタイトルだからこそいっぱい読まれたと思うんですけど、「別に言わなくてもいいじゃん」とかネガティブな反応も多くて。僕としてはごちそうさまでしたを言う・言わないはどうでも良くて、食べ終わってごちそうさまでしたって言って松屋を出る感じが好きなんです。その空気感を書きたかったんですけども、議論を呼ぶように自分も書いてしまった。
ーーセブンイレブンの反応はどうでしたか。
飯島:高揚感があってワクワクするだとか物悲しい感じだとか、こういう時間っていいですよねみたいに言ってくださる方もいて、今までにないくらいたくさん感想をもらっています。読んだ方によって、いろんな読まれ方をしたのがすごく嬉しかったですね。
ーーご自身で、もっとここに注目して欲しいというようなポイントはありますか?
飯島:コーヒーマシンのディスプレイを細かく書いてるんです。コーヒーの抽出が終わると、ディスプレイに「美味しいコーヒーが出来上がりました」「どうぞお召し上がりください」って出るんですね。「コーヒーが出来上がりました」でいいじゃないですか、ほんとは。こういう文章って深夜に見るとすごく心に響くんですよ。そこもマンガにできるなと思ったきっかけの部分です。
ーー好きな漫画家さんなど絵で影響を受けている方はいますか?
飯島:panpanyaさんの作品が、トーンをあまり使わずにペンだけで濃淡をつけていて、お話も日常的なものが多くて好きです。あとエドワード・ホッパーという画家がいて、すごく好きで影響されましたね。この方の絵もやっぱり説明や感情がなくて、ちょっと孤独な感じなんですよね。光と影の描き方がすごくて、光が部屋の壁に当たっている様子が描かれているだけの作品もあって、これは好きですね。
ーー油絵を専攻しようと思っていたのもエドワード・ホッパーに影響を受けたんですか?
飯島:いや、その頃は僕はもっとカラフルな絵を描いてたんですよ。マティスのようなフォーヴィスム的な絵を描こうとしていて。
ーーそれは以外です。小さい頃から美術館に行ったり、絵画を見たりしていましたか?
飯島:全然。それこそ美術予備校に入り始めた高校生の時からですね。panpanyaさんを知ったのもここ数年ですし、もともとはジャンプを読んで漫画家になりたいと思ってた。小学生の時は、時間を操って戦うバトル漫画とか描こうと思ってました。全然違うところにきましたね(笑)。