「10%の才能、20%の努力、30%の臆病さ、40%の運」 『ゴルゴ13』デューク東郷の名言を検証

 さいとうたかを原作の漫画、『ゴルゴ13』。超一流のスナイパー・デューク東郷の人生を描いた作品で、1968年から現在まで『ビッグコミック』で連載されているロングセラー作品だ。作品の魅力は様々だが、その1つにデューク東郷の「生き様」がある。そこで今回は彼の生き方を表現した「名言」を検証してみたい。

10%の才能と20%の努力…そして、30%の臆病さ…残る40%は…運だろう…な…

 ロンドン・パリを訪れたデューク東郷。指定された部屋を訪れると、後から依頼主の男が現れる。

 男は「おお、我が友よ、やっと来てくれたか」「まるで20歳のガキが恋人に会うような心境で待っておったぞ」と東郷に声をかける。「あんたと会うのは久しぶりじゃな。そうじゃ、あんたにあったら一度聞きたいと思っていたことがある。プロとしての条件じゃよ。あんたのような一流のプロと言われるようになるには、どんな条件がいると思う?」と質問した。

 さらに「いつかあんたの死亡記事を見せられることになるんじゃないかと、いつもハラハラさせられておるでな」と話す。東郷はそんな彼に「10%の才能と20%の努力…そして、30%の臆病さ…残る40%は…運だろう…な…」答えた。(66巻)

 東郷が質問に答えたあと、男は隣のビルにいた狙撃手に頭を撃ち抜かれ、亡くなっている。彼には、運がなかったのだ。皮肉にもこの男は、「一流のプロになるためには運が最も重要」とした東郷の発言を、身を持って知ることになった。

その”正義”とやらはお前たちだけの正義じゃないのか?

 アメリカ軍部は、ベトナム戦争以来陸軍が強度の地上戦アレルギーを持っているとして、世界初の二足歩行ロボットを使ったバトルスーツ、SDR2を開発する。

 そしてアメリカ軍部の首脳が、凶悪なテロリストを誰の目にも届かないジャングルに集結させ、SDR2と戦わせて性能を検証するテストを思いつく。そして「生き残れば罪が恩赦される」などと方便を並べテロリストを集め、実行に移す。

 テロリストを残虐に殺し続けるSDR2に、軍部は「未来のアメリカの繁栄を約束するのだ。合格だ」「今のだらけた兵士をSDR2に搭乗させて精神を鍛えさせてやる」と話し、導入を決意した。

 これに待ったをかけたのが東郷。最後にジャングルに乗り込み、SDR2と対峙すると、格闘の末銃口に銃弾を打ち込み、大破させた。驚いた軍部首脳は東郷を呼び、「これからのアメリカは自由主義を守るため、世界で戦争に巻き込まれるだろう。だが、今の若者たちは地上戦を戦える精神力は持ち合わせていない」と力説する。

 そして「君の戦闘のノウハウを利用できれば軍の教育は飛躍的に進歩し強力な軍隊ができる」「ぜひ我が軍の顧問になってもらいたい」と誘う。東郷は「断ると言ったら?」と拒否を示唆するが、「これは依頼ではなく命令だ」と話し、兵士2人が現れて銃口を向け、「君にはイエスしかないのだよ」と告げる。

 怒りの東郷は兵士2人を射殺。首脳に対し銃口を向け「なぜ、テロリストを選んだ?」と聞く。「奴らは我が兵士が血を流し、中東で南米で、アフリカで築いた正義、秩序を一発の弾丸、たった一つの爆弾でいともかんたんに崩壊させる許されざる者たちだからだ」と説明した。

 東郷は「その”正義”とやらはお前たちだけの正義じゃないのか?」と質問すると、首脳は「ふざけるな、アメリカの正義は世界の正義だ」と怒る。すると東郷は、拳銃を発射し、首脳の額を撃ち抜いた。

 「アメリカの正義は世界の正義」という主張のもとにテロリストを虐殺する行為は、東郷にとっては受け入れられないもので、「お前たちだけの正義」と感じたようだった。

 「正義」には、それぞれの解釈があり、自分が正しいと感じていることが、育ってきた環境の違いや立場の違う人間にとっては「悪」になることがある。そんな矛盾を、東郷は見事に表現してみせた。