『BLEACH』一護の仲間たちの共通点は? 「死神代行篇」登場キャラクターを分析

織姫(『BLEACH』3巻書影)

 育児放棄の家庭から、15歳の上の兄に連れられて逃げ出した織姫。その兄は交通事故で亡くなり、虚化した。織姫は一護の母親の話を聞いたときに「一方的なシンパシー」を感じていた理由が分かったとひとり呟いていた。

茶渡(『BLEACH』5巻)

 茶渡は早くに両親を亡くし、メキシコの祖父の元で育てられていた。一護と出会う前の茶渡は強いがどこか頼りなげだった。しかし、一護と「互いのために拳を振るうという約束」をしてからはその指針をもとに行動しているように見える。

 2人は「家族」のことがきっかけで、自分の中に揺らぎを持ち、無意識のうちに本来の自分を隠してしまっていた。それが似た痛みを持つ一護の言動によって救われ、殻を破る。もちろん、2人がもともと一護に対して好意的だったのもあるが、それは他の友人たちだって同じだ。一護は優しい人間だが、その優しさは家族を失った経験がある者にこそ沁みるのではないだろうか。雨竜やルキアも例外ではないだろう。

何もない彼らが手に入れるものとは

 死神代行篇は伏線だらけだ。この伏線を回収していく長い物語が『BLEACH』であると言えるだろう。

 高校生ながらそれぞれが何かを失っている状態で始まった物語。失くしたものは取り戻せない。では代わりに何を手に入れるのか。仲間である以上に、互いが大切な人になっていく。それは彼らにとって、新しい家族とも言える存在なのかもしれない。

(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))

■書籍情報
『BLEACH』(ジャンプ・コミックス)74巻完結
著者:久保帯人
出版社:株式会社 集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/bleach.html

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