『呪術廻戦』“脱サラ呪術師”七海建人の生き様 呪術師という仕事に込めた熱い想いとは?

 現在放送中のアニメ『呪術廻戦』(TBS系)で、呪術師・七海建人が活躍を見せている。七海は、五条悟や夏油傑の1年後輩になる1級呪術師。母方の祖母がデンマーク人というクォーターで、髪の毛を七三に分けてビシッとスーツを着こなす大人の男である。高専卒業後は証券会社に勤務をしていた“脱サラ呪術師”である彼が放ったセリフの中に、彼の在り方を示す有名なセリフがある。

私が高専で学び 気づいたことは 呪術師はクソということです
そして 一般企業で働き 気づいたことは 労働はクソということです
同じクソなら より適性のある方を 出戻った理由なんて そんなもんです

 社会の酸いも甘いも噛み分けてきた七海は、作品の中でも数少ない常識人として人気を誇る。元サラリーマンという設定を存分に活かしているのも、七海の人気の秘密だろう。例えば、1日8時間労働を超えると呪力が増す「時間外労働」という縛りがあり、特級呪霊である真人と最初に対峙した際も“残業”になった途端に呪力が大幅に増す描写があった。そんな七海の魅力を改めて考えてみよう。

 まず七海の魅力として上げられるのは、「心に秘めた熱さ」だろう。一見すると非常に冷静な人間に見える七海は、時に人を寄せ付けないキャラクターのように感じてしまう。基本的に誰にでも敬語を使い、呪術師として唯一無二の存在である五条に対しても「私はこの人(五条)を信用しているし 信頼している でも尊敬はしてません」と言い放ったことがある。

 原作第19話「幼魚と逆罰」では、呪術の残穢を集中してやっと見えるようになって喜ぶ虎杖悠仁を「当然です」とピシャリ。「もっとこう 褒めて伸ばすとかさぁ…」という虎杖に対し、「褒めも貶しも しませんよ 事実に即し 己を律する それが私です」と冷静に述べていた。

 だが、その心の内には情熱を秘めている。そもそも呪術師に出戻ったのも、行きつけのパン屋の店員に憑いていた呪いを祓い、「ありがとー!!」と言われたことがきっかけだ。誰かの役に立つことが自分の“生き甲斐”だと気付き、人を助けるために呪術師に戻ったのだ。

 他にも、真人との初対峙の時、「仕事に私情は 持ち込まない 主義なので」と言いつつも、「タす…けでぇ…」と泣く改造人間の涙を拭うシーンがあったり。渋谷事変では、補助監督の伊地知潔高を襲った犯人である重面春太を容赦なくボコボコにするシーンがあったり。時折見せる、人間らしい熱い部分が七海の魅力を上げている。

関連記事