『思い、思われ、ふり、ふられ』キャラクターたちを応援したくなる理由とは
心揺らがず、想いを貫き通せるものなのか
物語の最大のピンチと言えば、理央、和臣のライバルが登場することだろう。理央には友人が、和臣には朱里の元カレが2人とも先に想いを伝える。このとき、朱里は和臣に、由奈は理央に一度フラれており、恋人になれるとは思っていない。
現実世界だったらどうだろう。自分のことを真っ直ぐに好きだと言ってくれた相手に気持ちが揺らいでしまうという人も多いのではないだろうか。しかし、由奈も朱里もラクなほうを選ばなかった。
ラクなほうを選ばないというのは実はとても難しい。付き合ったら、この人を好きになれるかもしれない。自分をフッた相手を忘れられるかもしれない。そちらのほうが幸せになれるかもしれないと考えてしまうからだ。
でも、2人は、自分の気持ちをきちんと伝えることを選んだ。理央や和臣についても同じだ。一度フッた相手だから無理だろう、と思わずに想いを伝えた。「好き」を伝えられれば、「今さら」と笑われても構わない。その決断はとても強く、キラキラとして見える。そして、そんなふうに揺らがず想いを貫き通すキャラクターたちだからこそ、読者は応援したくなるのではないだろうか。
(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))
■書籍情報
『思い、思われ、ふり、ふられ』(マーガレットコミックス)全12巻完結
著者:咲坂伊緒
出版社:集英社
http://betsuma.shueisha.co.jp/lineup/furifura.html