まだ見ぬ強さが成長につながる

　烏野戦の際、牛島は時折日向に対して苛立ちを見せる。牛若の強さは才能もあっただろうが、間違いなく積み重ねてきた練習にある。影山もそうだが、「天才」であったり「才能がある」とされる選手たちの努力は想像以上だ。

　だからこそ、「得体の知れない速さ」で急成長をしていく日向は脅威に感じられたのかもしれない。そしてその「脅威」こそ牛若には親しみのないものだったのかもしれない。影山が、及川のことを怖いと言っていたように。

　試合のあと、牛若は天童に苛立ちの正体を明かす。

「『俺はお前より強い』と言いたかった。幼稚だろうがそれでも言いたかった」

　強くなればなるほど、より強い相手と試合をすることになる。日向が牛若よりも強いとは言い難いかもしれない。それでも、新しい相手と戦うことで牛若もまたひとつ、ステップアップをしたのだろう。

　再び、牛若が日向と対戦することとなったのはＶリーグの舞台。以前のように苛立ちは一切見せない。高校を卒業してから日本国内で、世界で、得体の知れない化け物たちと更に戦い続けてきたに違いない。強い相手と戦うたびに、武器を増やし、強くなる。牛若の成長はまだまだ止まらない。

（文＝ふくだりょうこ（@pukuryo））

■書籍情報
『ハイキュー!!』（ジャンプ・コミックス）既刊44巻
著者：古舘春一
出版社：株式会社 集英社
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