『かぐや様は告らせたい』真のヒロインは藤原書記だった? 天真爛漫なトリックスターの魅力

 ラブコメディとしてスタートしている『かぐや様』だが、話が進むにつれてキャラクターのバックボーンが明らかになり、それぞれが壁を乗り越えていく成長物語の側面もある。そんな中で唯一「無邪気で天真爛漫」を貫くのが藤原千花だ。物語は重厚さを増していくなかで、時にシリアスな展開を迎える。そんな時、ところどころに配置された「特訓回」や「超食べたい」シリーズでふりまかれる藤原の無邪気さが、変わらぬ癒しと安心感を与えてくれるのだ。

 ここで改めて「ヒロイン」の示す意味を考えてみる。主には「女の主人公」、そして「主人公の対になる立ち位置の女性」だろうか。『かぐや様は告らせたい』の二人の主人公、四宮かぐやと白銀御行は、物語を通して少しずつ変化していく性質のキャラクター。そんな二人に対し、「変わらぬ存在」として見守るような位置に立つ藤原千花は、確かにこの物語のゆるぎないヒロインだ。

■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。満島エリオ
Twitter(@erio0129

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