特に杉元の怒りを大きく買っているが、どこか尾形は憎めない部分がある。平気で身内を手を掛ける冷酷さとは裏腹に、アシリパへは少し和やかな態度を見せていたからだ。彼女がまだ子供だからとか、そういったことは関係ないだろう。あくまで予測に過ぎないが、太陽のようなアシリパの存在は、愛を知らない彼にはどこか心地よかったのかもしれない。

　顎を骨折、眼球を刺されるなど悲惨な目に遭っているが、彼もまた杉元並みに不死身である。何物にも捉われない山猫は、今後どう金塊争いに関わっていくのか？彼の目的が解明され、真実が明かされる時が待ち遠しい。

　広い大地の北海道でどの地より激しく、そしてドラマティックな出来事が札幌では待ち受けているだろう。物語も終盤へ向かっているが、まだまだ金塊争いの決着がつくことはない。残り4枚の刺青人皮は誰の手に？　そして肝心の暗号は……。

■たかなし亜妖
平成生まれのサブカル系ライター。ゲームシナリオライターとしての顔も持つ。得意技は飲み歩きと自炊。趣味はホラー映画鑑賞。

■書籍情報
『ゴールデンカムイ（17）』
野田サトル 著
価格：￥594
出版社：集英社
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