『ねことじいちゃん』著者が語る、絵本作家からの影響 「だるまちゃんやからすの兄弟がなんとも可愛かった」
ほっこりとかわいいイラストで猫とおじいちゃんの生活を描いた、人気の猫マンガシリーズ『ねことじいちゃん』。昨年には、同書を原作とした映画が公開され話題を呼んだ。その最新刊である6巻が1月末に発売されたことを受けて、著者であるねこまき氏(ミューズワーク)に作品のこと、そして執筆活動についてメールインタビューで訊いた。(編集部)
ーーイラストレーターになった経緯と、漫画家になった経緯を改めて聞かせてください。
ねこまき:勤めていたディスプレイ会社から夫婦で独立し、最初は様々なデータ作成の仕事を請け負っていました。そのうちにデコメールが流行し始めて、全盛期には来る日も来る日もデコメ用Gifアニメを作っていました。それと、広告用フラッシュアニメを作っていたこともあり日常的にイラストを描くようになっていきました。意識してというよりも、気がついたらイラストレーターになっていたという感じです。ブログでも飼っていた猫を絵に描いてアップするようになって、ある日それを見た出版社の編集さんから「猫の漫画を描いてみないか」というお誘いをいただきました。一も二もなく飛びついて出来たのが、今も続いている『まめねこ』です。ありがたいことに、それ以来漫画の仕事をいただけるようになりました。
ーー初めて漫画に挑戦したときはどうでしたか?
ねこまき:何もかもが大変でした。途中で何度も心が折れそうになりましたが、その度に編集さん始め周りの方に助けられて、なんとか出版できました。今も各社の編集さん達にはものすごく助けてもらってます。この場を借りて感謝の言葉を伝えさせてください。ありがとうございます!
ーー編集の方々も嬉しいと思います。ねこまきさんは普段はどのように絵を描いているんですか?
ねこまき:鉛筆に水彩で着色された作品が好きなので、拙い技量ではあるのですが水彩絵の具を使って描くようにしています。
ーーそれであんなに優しい雰囲気の色合いなんですね。影響を受けたイラストレーターや画家はいますか?
ねこまき:絵本作家の方に影響を受けています。かこさとしさんの『だるまちゃんとてんぐちゃん』や『からすのパンやさん』は、私の「可愛い」の基準やキャラクター作りに影響しているように思います。だるまちゃんやからすの兄弟がなんとも可愛かったので……。『チャイクロ』も何度も読み返しましたし、『ぐりとぐら』のおっきなパンケーキや『ゆうちゃんのみきさーしゃ』のミキサー車から溢れ出すアイスクリームは、幼い私の欲望を掻き立てました。擬人化された“ちんまり”キャラクターや、美味しそうな食べ物が出てくる絵本が特に好きでした。
ーー『ねことじいちゃん』にモデルはいるんですか?
ねこまき:『ねことじいちゃん』は初めて人間を主役にした漫画なんです。大吉じいさんは自分の父親がモデルで、タマは私が飼っていた茶トラの猫です。それと、二人が住んでいる家は山口県の室津半島にある母の生家をモデルにしています。
ーーお母様のふるさとなんですね、訪ねたことはあるんですか?
ねこまき:はい。山の中腹に家があったのですが、裏庭から山に挟まれた瀬戸内海が見えたんです。子どもの頃に見たきりのその光景が、今も忘れられずにいます。
ーー別の島にも取材に行ったのでしょうか。
ねこまき:取材では、三河湾に浮かぶ篠島、佐久島、日間賀島の三島に行きました。私の思い出の風景にも近いと感じましたし、何より島のみなさんの人柄がとても優しくて素敵でした。のんびりしていてとても良い所なので、ぜひ観光してみてほしいです。