都倉俊一氏、文化勲章受章 中村八大、筒美京平らと作り上げた昭和歌謡に想いを馳せる「代表して栄誉をいただいたよう」

都倉俊一、文化勲章受章

 作曲家の都倉俊一氏が文化勲章を受章し、10月23日に都内のJASRAC本部にて記者会見を開いた。

 作曲家・編曲家・プロデューサーとして活躍してきた都倉氏は、ピンク・レディー「UFO」「ペッパー警部」「サウスポー」、山本リンダ「どうにもとまらない」など1100曲以上の作品を手がけ、レコード売上は6000万枚を超える。2010年~2016年には日本音楽著作権協会(JASRAC)会長、2021年から2026年3月末まで文化庁長官を務め、国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN』の創設にも尽力した。

 式の始めに、JASRACの常務理事である須子真奈美氏が、お祝いの花束を都倉氏に渡す。受章の喜びと感謝を口にしながら都倉氏は、中村八大、宮川泰、いずみたく、浜口庫之助、筒美京平、三木たかしといった共に昭和・平成を駆け抜け、現在のポピュラーミュージックというジャンルを確立した音楽家の名前を挙げ、「その方達を代表して栄誉をいただいたように思っている次第であります」と挨拶する。

都倉俊一

 これまでの作曲家としての功績を振り返り、都倉氏は一人ひとりのアーティストが社会現象になるようにするのが目的にもあり、その現象にすることの楽しさ、冒険心を掻き立てられることもあったと話す。今回の文化勲章は「歌謡曲における旋律・リズム等の表現領域の拡張を促した」ことが評価され、受章に至った。70年代以降、テレビが隆盛を極め、映像が音楽と密接に結びついた時代に、サウンドというものの重要性が高まっていった。テレビ時代にアーティストが音楽番組でどのような登場の仕方をするか、イントロはどの程度の重要性があったのか。「サウンドというものなしに、テレビ時代のヒット曲は生まれなかったと思います」と都倉氏は昭和歌謡とテレビの密接な関係を述べる。また、数多くのヒット曲の中で気に入っている曲を問われると、「そういうことはあまり考えないようにしています」として、世に出た曲がテレビで流れていると第三者的に思うこともあり、中には大ヒットしても気に入っていない曲もある、それが職業作曲家の宿命であると説明した。

 アメリカ・イギリスで作曲法・指揮法・映像音楽を学び、海外各国で音楽活動を行ってきた経験を持つ都倉氏。音楽はDNAの中にあるもので、メロディは頭で考えるのではなく心で感じる、それが芸術の原点であると語る。都倉氏は現在78歳。最近になり、和風メロディに惹かれるところがあるという。山本リンダの代表曲である「どうにもとまらない」「狙いうち」などは、日本の伝統音楽に多く見られる五音音階を中心に作られている。ダンスミュージックが20年以上席巻している今、並行して心に届くバラードが求められる時代が来るのではないかと都倉氏は予測する。

都倉俊一

 都倉氏はこれから重要になってくるのはライブパフォーマンスだと断言。「どんなにAIやデジタルが発達しようと音楽、文化というものは血と肉、魂、空気で伝わってくるものなので、これからそれがますます重要になってくる」とコメントしながら、ドームやアリーナクラスではなく「汗と涙が飛んでくるようなライブ芸術がこれから注目される」とホールやライブハウスでの興行に注目を向けた。

 若いクリエイターに向けたエールを求められ、都倉氏は「いろんなジャンルで世界に羽ばたく大きなチャンスだと僕は思っています」とコメント。文化庁長官として、クリエイター支援や文化芸術の再興、国際的な文化発信、音楽産業の振興などを率先的に行ってきた。舞台『千と千尋の神隠し』が海外で日本語のまま求められ大成功を収めたことを一つの例に挙げ、日本の発想が求められていることを話し、「個々の若者がその夢、野心を持っていきたいかどうか」が重要で、そのような土壌を作っていかなければいけないと述べた。

 やり残したことは、山ほどあるという都倉氏。文化勲章を受章してもなお、「ここで終わることは絶対ありえないわけでありまして、次のスタートに素晴らしい追い風をいただいたと僕は考えております」と都倉氏は次の未来を見ている。日本のソフトパワーの中で、「日本の文化芸術が世界に羽ばたくような土壌を作るのが僕の仕事だと思っているんです」と言葉を重ね、民間に戻った現在の立場を表明しながら、「これからますます民間の力を結集してそちらの方向に向かっていきたい。それが僕のライフワークではないかと思っております」と新たな第一歩に意欲を示した。

都倉俊一

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