マルシィ、快進撃のなかで貫く自分たちらしさ 横アリ2DAYS完売、「未来図」1億再生、初のドラマ主題歌「光」が示す現在地

マルシィ、快進撃のなかで貫くもの

マルシィの新曲「光」は、このバンドの本質とさらなる表現の深みを共存させた楽曲だ。

福士蒼汰主演のドラマ『ハイド&シーク 0秒前の彼女』の主題歌として制作されたこの曲は、愛する人の幸せを願い続ける強い思い、そして、共に歩む未来への希望を描いたラブバラード。美しさと奥深さを兼ね備えたメロディ、豊かな響きをたたえたサウンドを含め、マルシィの真骨頂と呼ぶべき楽曲に仕上がっている。

 1月に初の横浜アリーナ公演を開催、さらに10月4日に韓国のフェスへの出演。2022年4月リリースの「未来図」がストリーミング累計1億回を突破するなど、活動の規模を上げ続けているマルシィ。今回のインタビューでは「光」の制作を軸にしながら、バンドの現状と変化についてじっくりと語ってもらった。(森朋之)

「最初から最後まで血の通った曲にしたくて」ーー譲れない想いを込めた「光」

マルシィ – 光(Official Music Video)

ーーまずは新曲「光」について聞かせてください。ドラマ『ハイド&シーク 0秒前の彼女』主題歌として話題ですが、制作の入り口はどこだったんですか?

吉田右京(以下、吉田):主題歌のお話をいただいて、脚本を読ませていただいて、弾き語りから作り始めました。まずこだわったのはメロディですね。制作の序盤でサビのメロディが出てきたんですけど、「もっといいのはないかな」と思って、ずっと粘っていたんですよ。結局30通りくらいサビを作ったんですけど、最終的に「最初のメロがいちばんしっくりくるね」ということになって。そこからフルコーラスを作っていきました。

ーー「もっといいメロディがあるかもしれない」と粘ることは普段もあるんですか?

吉田:それもあるんですけど、「光」はいつも以上に工程が多かったし、長い時間を費やしてますね。僕らとしても念願の地上波ドラマの主題歌だし、結成当初からやりたいと思っていたことの一つだったんですよ。なので、よくも悪くも肩肘を張っていました。

フジイタクミ(以下、フジイ):そうだね(笑)。サビを作っているときも、「これもいいね」というメロディが何個もあって。実りある制作というか、クリエイティブが爆発していた時期だったのかなと。もちろん生みの苦しみもあったと思いますけどね。

shuji:現場に向かう車のなかで「このサビ、どうかな?」と聞かせてくれたり。めちゃくちゃたくさん作ってたんですよ。

吉田:ほとんどボツにしたけどね(笑)。何年後かに別の曲になるかもしれないけど。

ーー納得できるまでやりたかったんでしょうね。

吉田:それもあったと思います。自分でも「これ以上は出ない」と思いつつも、時間が許す限り、「まだあるんじゃないか」と考えて。その工程自体もポジティブだったと思いますね。

ーー歌詞や曲調についても試行錯誤があったんですか?

吉田:そうですね。ドラマの制作の方々とのミーティングで「ラブバラードでお願いしたいです」というお話があって。登場人物たちの強い思いによって物語が動いていくドラマなので、そこにどうやったら寄り添えるだろう? と思いながら書いていきました。基本的には主人公の目線なんですけど、そこにマルシィらしさを結びつけるというか、自分たちがやることの意味が絶対にないとダメだなと。

ーードラマの世界観とリンクさせつつ、マルシィらしさを表現する。

吉田:はい。これまでのマルシィの曲って、主人公の性格がある程度似ていると思っていて。ちょっと自分に似てるんですけど、どこかに弱さがあるというか。「光」の歌詞には思いの強さや信念、真っ直ぐなところが出ているし、しっかり言い切ってるところも多いんですよ。そこは普段とはちょっと違うかもしれないですね。

shuji:ドラマのストーリーや主人公像にもつながってるんですけど、個人的には右京らしさもすごく感じています。〈恰好悪いところを見せてしまう僕に/吹き出してしまういつもの君で〉もそうですけど、曲に出てくる人たちの日常が見えるようなフレーズが散りばめられていて。右京らしさの軸をしっかり持ちながら、クオリティを最高レベルまで引き上げた歌詞だと思いますね。

フジイ:演奏していても主人公の感情が伝わってきて。すごくエモーショナルになりますね。

吉田:歌詞もそうだし、ギターの音、ベースの音もそうなんですけど、3人のメロディや言葉、音が入ることでマルシィの色になるので。それがしっかり出せたのもうれしいですね。

ーー〈指が触れるくらいの距離で/君を抱きしめたいよ〉というサビのフレーズも印象的でした。インパクトの強さも意識していますか?

吉田:サビに印象的なワードがあればいいと思うし、曲を書いているときにそういう言葉が出てくれば採用するんですが、それよりも「1曲を通して物語を感じてほしい」というところが強いんですよね。ショート動画が流行ってたりするし、もしかしたら時代に逆行した作り方かもしれないけど、自分たちとしては最初から最後まで血の通った曲にしたくて。そこは大事にしたいし、この先も譲れないところですね。

ーーなるほど。「光」というタイトルについては?

吉田:いくつか候補があって、最後の最後に決めました。歌詞にも「光」という言葉が入ってるんですが、大事な人、守りたい人がいることは、人が生きていくうえでの光じゃないかなと。この曲を言い表している言葉だと思って、「光」をタイトルにしました。

「自分たちの軸をしっかり通したい」ーー通常の数倍時間をかけたレコーディング

ーー「光」のアレンジにも時間をかけているんですか?

吉田:だいぶ難航しましたね(笑)。大枠はレコーディングまでに固めていたんですけど、細かい部分やサビ前のキメ、イントロのフレーズとかは前日の夜まで悩んで。

フジイ:レコーディングで2パターン試したりもしました。実際に録ってみて、聴き比べて。

shuji:ギターソロのニュアンスや温度感もいろいろ試させてもらいましたね。しっかり曲に寄り添いたいし、それが自分のアイデンティティでもあるので。

ーーもちろんボーカルRECもこだわってますよね?

吉田:そうですね。良いことではないんですけど、歌録りに3日かかってるんですよ。僕らは楽器を録る日と歌を録る日を分けていて、上手くいけば2日で終わるはずなんですけど、「光」のボーカル録りはだいぶ時間がかかってしまって。最初に予定していた日は、僕のコンディションがあまり良くなかったんです。せっかく丁寧に積み上げてきた大事な曲だし、日を改めて録ることになって。そのときはいい感じのテイクが録れたんですけど……。

フジイ:ミックスを経て、もう一度話し合って。

吉田:「やっぱり違うな」と思ってしまったんです。もう1回トライしたいとお伝えしたら、チーム全体が騒然となって。それでも何とか調整していただいて、ミックスを終える前に3回目のチャンスを与えてもらいました。ミックスにも時間がかかってるんですよ。普段は5時間から10時間くらいで終わるんですけど、「光」はたぶん50時間くらいかかっていて。僕らも大変でしたけど、スタッフのみなさんはもっと大変だったと思います。

ーー徹底したこだわりですね……。

吉田:やっぱり初めての地上波ドラマの主題歌ということもあるし、チーム全体で「いい曲にしよう」と作り上げてきた曲なので。僕自身、決して音楽に精通しているわけではないと思っているんですけど、楽曲に対するこだわりというか、自分たちの軸をしっかり通したいという気持ちが強くて。そうしようと意識しているわけではないんですが、「もっと良くできるはずだ」というところは常にあるし、結果的にギリギリの進行になってしまって……。チームのみなさんを凍りつかせてしまうこともあるし、できればもうちょっと早く進めたいんですけど。

ーーそのこだわりがマルシィの楽曲のクオリティにつながっている、と。

吉田:こだわりだったり、制作にかけた時間というのは自分たちの話で、それで良い曲になるわけではまったくなくて。聴いてくれた方がどう感じるか、どう受け止めてくれるか。大事なのはそこだけなんですよね。

ーーリスナーのみなさんの反応はどうですか?

吉田:聴いてくれた方によって違いますね。歌詞がいいという方もいるし、ギターやベースに注目してくれる人もいて。一言では言えないんですけど、どんな反応であっても、曲を聴いて何かを感じてくれたとしたら、僕たちにとってはそれが救いになるんですよね。

フジイ:ライブでも何度か演奏したんですけど、すごく真剣に聴いてくれていて。

shuji:泣いてくれてる方もいるんですよ。この曲を作った意味を実感できているし、これからも全力で「光」を届けていきたいです。

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