PANAMレーベル 生誕55周年記念インタビュー:倉品翔(GOOD BYE APRIL)編「本質的なところでつながっている」 “あの時代”の礎を作った旋律

大滝詠一や鈴木茂とは異なる細野晴臣の音楽「自分にとって未知の世界」

――PANAMといえば細野晴臣さんの存在も大きいですが、倉品さんは「熱帯夜」を選ばれています。

倉品:「熱帯夜」のムードがすごく好きなんです。ただ、はっぴいえんどの皆さんの作品の中でいうと、実は細野さんの音楽が、僕はいちばん通っていなくて。自分なりの考察なんですけど、大滝詠一さんや鈴木茂さんの音楽から感じる情景には、自分が見てきた田舎の景色にリンクする季節の匂いや日本の情緒を感じる曲が多い印象があるんです。そこに親しみがあって、よく聴いてきた気がします。

 細野さんの音楽は、ある意味すごく都会的で、自分が東京で生まれ育っていたら、もっと肌になじませて聴いていたのかなと思うような質感が多い印象なんですよね。あまりに上質で、おしゃれすぎるというか、自分が田舎者すぎて……。日常でたくさん聴いてきた音楽ではないんですけど、だからこそ憧れがあります。アルバムによっては異国情緒に満ちていたり、自分にとって未知の世界をすごくたくさん感じるので、そういう憧れの気持ちで聴くことが多いですね。

――ティン・パン・アレーからは「野生の馬」を選ばれました。

倉品:今年、ライブでブレッド&バターのおふたりとご一緒させていただいて、「野生の馬」を一緒に歌ったんです。ティン・パン・アレーがこの曲をカバーしていたことは、正直あまり知らなくて。「ティン・パン・アレーのバージョンもあったんだ」と思って聴いてみたら、別の曲として聴けるぐらいおしゃれになっていました。「野生の馬」は、ブレッド&バターのおふたりと歌わせていただいた時にも、原始的なパワーのある曲だと思っていたんです。そのパワーは、インストになってもちゃんとあるんですよね。スケール感というか、大地が見える感じ。本当に「野生の馬」というタイトルのように、猛々しさをメロディから感じました。ティン・パン・アレーのバージョンでも、そういう雄大な景色を感じられたのが新鮮で、面白かったですね。皆さんの演奏が本当に極上です。

 9月には茂さんのライブにゲストボーカルでお邪魔して、間近でギターのサウンドを聴かせていただいて。本当に唯一無二の、上質な音だなと思いました。自分たちがああなれるとは思わないですけど、年を重ねてきた今だからこそ、力を入れるのではなく、脱力感とそこに生まれる余白やストーリーを演奏でも表現できるバンドでありたい。そういう意味でも、ティン・パン・アレーの演奏は純粋にかっこいいなと思います。

――そうそう、1曲目にイルカさんの「もう海には帰れない」を選んだ理由も教えてください。

倉品:この曲って、林哲司さんの作曲なんですよね。僕もイルカさんの作品をものすごくたくさん聴いていたわけではないんですけど、この曲すごく好きでした。林哲司さんの旋律が自分は好きなんだなと、あらためて再認識した曲でもあって。メロディがめちゃくちゃ好きなので、1曲目にしました。林哲司さんの色をすごく感じられると思います。

倉品翔(GOOD BYE APRIL)

――15周年を経て、これからGOOD BYE APRILはどんな音楽を作っていきたいですか。

倉品:PANAMの一員になってメジャーデビューして、3年以上が経ちました。茂さん、EPOさん、佐橋さんのような大先輩の皆さんとご一緒したり、林哲司さんと前作のアルバムを作らせていただいたり。その制作の過程で、自分たちは本当にバカ正直に音楽をやってきたんだなと思うんです。結果を出すことを最優先にするのではなく、自分たちが長く愛せるものを作ることを何より大事にしてきました。そもそもメジャーデビューまで12年かかっている時点で、器用な活動ではないと思うんですけど、バカ真面目にやってきて、「ポップミュージックの本質とは何だろう?」と自分たちの足で見つけてこられた。だからこそ、大先輩の皆さんとご一緒した時に、一過性のコラボレーションではなく、本質でちゃんとつながって、楽しく豊かな時間を過ごさせてもらえていると思うんです。自分たちがバカ真面目にやってきたことが、本当に報われたような3年間でした。

 それは15年かけて積み重ねてきたものでもあるし、この3年でつながれた皆さんとのご縁は本質的なところでつながっていると思うので、この先もずっと続いていく、うれしいご縁だと思っています。バトンを受け継ぐというより、本当に同じチームの一員になるような感覚で、仲間入りをさせてもらったんですよね。PANAMもそうですし、その名前に恥じない、“ポップミュージック”というものに恥じない普遍的な音楽を作ることは、自分たちの大命題です。それを今後も頑張りたいですね。今年は12月にも新しいアルバムが出るんです。年に2枚もフルアルバムを作ってしまって、ちょっと生き急いでいるんですけど(笑)。

――そうなんですね。もう完成しているのでしょうか。

倉品:はい、完成しています。次の『MOOOOD』は、これまでの自分たちとはかなり手触りの違う、進化した作品ができたなと思っています。韓国のアーティストと一緒にアレンジをしたり、台湾のアーティストと一緒に歌ったり、今まで積み上げてきたものとは別の――やったことのないトライをたくさんできた作品なんです。自分たちを壊し続けて、自分たちの天井をどんどん広げていくことが、今年の下半期はすごくできた実感があります。本質的に積み上げてきたものと、自分たちを壊して新陳代謝していくこと。その両方を、いいバランスで続けていきたいですね。

――15周年という大切な節目を感じられる一年になりましたね。

倉品:毎年、どんな年でも「今年は濃いな」と思っていて、ありがたいことにずっとそうやってこれているんですけど、今年は一際濃かったです。本当に性質の違うふたつの作品を同じ年にリリースできるのは、自分たちの面白みなんじゃないかと思います。それが伝わったらいいなと思うし、楽しみにしていてほしいですね。

■リリース情報
『PANAM 55/100 SUPER SONG COVERS』
配信中

配信URL:https://lnk.to/panam55

<収録曲>
01. 僕の胸でおやすみ/藤井フミヤ with 南こうせつ
02. LADY PINK PANTHER/GOOD BYE APRIL with 南佳孝
03. さよなら人類/鈴木実貴子ズ with BLACK BOTTOM BRASS BAND
04. なごり雪/seta with Darjeeling
05. 都会/槇原敬之 feat. 大貫妙子
06. 8分音符の詩/イルカ&スターダスト☆レビュー
07. 22才の別れ/デーモン閣下 feat. 伊勢正三
08. 八月の匂い/山内総一郎 & KREVA
09. 赤ちょうちん/山寺宏一&花澤香菜
10.YELLOW MAGIC CARNIVAL/宮沢和史 & 高野寛

■プレイリスト情報
イルカ 選曲プレイリスト:https://lnk.to/panam55_irukaPL
高野寛 選曲プレイリスト:https://lnk.to/panam55_takanoPL
seta 選曲プレイリスト:https://lnk.to/panam55_setaPL
槇原敬之 選曲プレイリスト:https://lnk.to/panam55_makiharaPL
山内総一郎 選曲プレイリスト:https://lnk.to/panam55_yamauchiPL
倉品翔(GOOD BYE APRIL)選曲プレイリスト:https://lnk.to/panam55_gbaPL
鈴木実貴子ズ 選曲プレイリスト:https://lnk.to/panam55_suzukimikikozuPL

PANAM アーティストページ:https://www.crownrecord.co.jp/s/c01/artist/panam
YouTube:https://www.youtube.com/@panamlabel

GOOD BYE APEIL オフィシャルサイト:https://goodbyeapril.bitfan.id/
X:https://x.com/GOOD_BYE_APRIL
Instagram:https://www.instagram.com/goodbyeapril/
YouTube:https://www.youtube.com/@gbaofficialch
TikTok:https://www.tiktok.com/@good_bye_april

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