松本孝弘、キャリアを重ねても色褪せない存在感 TMGでの活動、TV出演、Ado共演から見る“現在進行形”の凄み
B'zの松本孝弘が率いるTMG(Tak Matsumoto Group)が、10月14日に3rdアルバム『TMG Ⅲ SAYONARA』をリリースした。ジャック・ブレイズ(Ba/Vo/Night Ranger)、エリック・マーティン(Gt/MR.BIG)、マット・ソーラム(Dr/ex. Guns N' Roses)という豪華な顔ぶれが再び集結した、約2年ぶりの新作である。リリース前の約1週間、『SONGS』(NHK総合)、『日曜日の初耳学』(TBS系)、『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)に立て続けに出演。テレビ露出も増えている。B'zの結成から38年。長いキャリアを重ねながらも、なぜ松本は今なお鮮烈な存在感を放ち続けるのか。最近の動向から、その理由を探ってみたい。
10月8日放送の『SONGS』は、松本にとって2度目の出演となった。番組にはTMGとして登場し、スタジオライブで3曲を披露。なかでも、幼少期に聴いて影響を受けたというThe Beatlesのカバー「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」は、この番組が初披露の場となった。そのほか、「SAYONARA (feat. Ado)」や、バラードナンバー「I DON'T SEE ME IN YOUR EYES」も演奏。一方、トークで印象的だったのは、自身の歩みを振り返る視点の広さだ。2年前、B'zとして初出場を果たした『第75回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)について話が及ぶと、極秘で行われたリハーサルの様子を明かした。さらに、38年前にTM NETWORKのサポートギタリストとして同番組に出演した際の貴重な映像も紹介。TM NETWORKのメンバー3人もインタビューを通して、当時の松本とのエピソードを語った。松本にとってこの経験は、自分自身の音楽を作りたいと考えるきっかけにもなったという。かつてサポートギタリストとして立った舞台に、数十年の時を経て、自らのバンドを率いて戻ってくる。そんな巡り合わせからは、松本が歩んできた長いキャリアが、一本の線でつながっていることが感じられた。
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— NHK SONGS (@nhk_songs) October 5, 2026
続く10月11日放送の『日曜日の初耳学』は、放送500回を記念した特別回だった。番組ではインタビュアーの林修が松本に迫り、数々の名曲にまつわる制作秘話をはじめ、「売れるバンドを作る」と誓って走り続けた下積み時代や、TM NETWORKのサポートを務めていた頃に受けた刺激などが語られた。また、GLAYのTAKUROがVTRで登場。25年以上にわたる親交をもとに、普段メディアでは見ることのできない松本の美食家としての一面や、師弟関係にも似た二人の間柄を明かした。こうした語りを通して浮かび上がってきたのは、世界の名だたるミュージシャンたちと対等に渡り合いながら、60代半ばとなった今もなお挑戦を続ける松本の姿だろう。
そして翌12日には、『CDTVライブ!ライブ!』にTMGとして初出演。この日は2時間半にわたる生放送で、結成25周年を迎えたEXILEのオリジナルメンバー再集結企画をはじめ、スピッツ、Number_i、Travis Japan、超特急など、華やかな顔ぶれが並んだ。そんな中、TMGが披露したのは「SAYONARA (feat. Ado)」だ。ダンス&ボーカルグループやアイドルも多く出演する番組で、ギター、ベース、ドラム、ボーカルという編成によるハードロックを堂々と鳴らす。その姿だけでも、十分なインパクトがあった。また、同曲は『ひるおび』(TBS系)の10月エンディングテーマにも起用されており、こうしたテレビ番組を通じて、普段はロックに馴染みのないリスナーにも届いたのではないだろうか。
松本が新曲で共演相手に選んだのが、楽曲タイトルの通り、Adoである。2組の縁は2023年、松本が作曲、稲葉浩志が作詞を手がけた「DIGNITY」をAdoに提供したことに始まる。翌2024年には、国立競技場で開催された『Ado SPECIAL LIVE 2024「心臓」』に松本がアンコールで登場し、ステージでの共演を果たした。今回の「SAYONARA (feat. Ado)」について、Adoは冒頭からロックの躍動感があふれる楽曲だと語るとともに、音楽を心から純粋に楽しむという原点の情熱を胸に、レコーディングに臨んだことを明かしている(※1)。ここで注目したいのは、世代もその歩みもまったく異なる歌い手を迎えながら、バンドとしてのサウンドが少しも薄まっていないことだ。かつてサポートギタリストとして誰かの音楽を支えていた松本が、今では第一線で活躍する歌い手を自身のプロジェクトに迎え、変わらぬ轟音を鳴らしている。そうした立ち位置の変化からも、松本が積み重ねてきたキャリアの厚みが伝わってくる。
TMGは2004年に始動し、2024年に20年ぶりの再始動を果たした。今回のアルバムは全6曲というコンパクトな構成ながら、Adoを迎えた「SAYONARA (feat. Ado)」、The Beatlesのカバー、バラード、そして映画『八つ墓村』の主題歌となったインストゥルメンタル「DOOM」まで、実に多彩な表情を見せる。さらに、10月5日のZepp Haneda (TOKYO)公演を皮切りにスタートした全国ツアー『TMG LIVE 2026 “SAYONARA”』も開催中だ。“SAYONARA”という言葉は別れを連想させるものだが、ここから浮かび上がってくる松本の姿は、その響きとはむしろ正反対だ。テレビで自身の半生を語り、新作を世に送り出し、ツアーで全国を巡る。その精力的な活動ぶりは、キャリアの総決算というよりも、さらにその先へ進もうとする挑戦者の姿そのものに見える。
B'zという巨大な看板を背負いながら、自らの名を冠したバンドで新たな音楽を生み出し、さらに新世代のアーティストとも積極的に交わっていく。長いキャリアを誇りながらも、常に現在進行形で動き続けること。それこそが、松本の変わらぬ存在感の源泉なのではないだろうか。
※1:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/166187/2

























