Mrs. GREEN APPLE、Official髭男dism、ONE OK ROCK、PURPLE BUBBLE……“弱さ”も肯定するロックバンドの応援歌

“弱さ”も肯定するロックバンドの応援歌

 もう少し頑張りたいのに気持ちがついてこない。誰かの成功がまぶしくて自分の歩幅を見失いそうになる。そんな日に、ふと流れてきた曲に救われることがある。ギターの一音、声の熱、何度も口ずさみたくなるメロディ。ロックバンドの応援歌は、言葉と音で動き出すきっかけをくれる。迷う心に届く4組の音楽を紹介したい。

Mrs. GREEN APPLE「ライラック」――青春の痛みごと、自分を愛する

Mrs. GREEN APPLE「ライラック」Official Music Video

 鮮烈なギターのイントロから一気に景色が開ける。TVアニメ『忘却バッテリー』(テレビ東京系)のオープニングテーマとなったMrs. GREEN APPLE「ライラック」は、疾走するバンドサウンドに、青春の複雑な感情を詰め込んだ一曲だ。

 大森元貴(Vo/Gt)が描く青春には、焦燥も、孤独も、自分の小ささを思い知る瞬間もある。誰かの希望さえまぶしすぎる日に、その気持ちを言葉にしてくれる歌の存在は大きい。傷を愛おしく思いたいという願いが、終盤には自分自身を愛する言葉へとたどり着く。その過程を、躍動する演奏とともに駆け抜ける。聴き終えたとき、消したかった記憶も自分の一部として受け止められそうになるのだ。

Official髭男dism「宿命」――励ましが届かない夜も越えて

Official髭男dism - 宿命[Official Video]

 華やかなホーンと藤原聡(Vo/Pf)の伸びやかな歌声が、胸の奥を熱くする。2019年の夏の高校野球応援ソングおよび『熱闘甲子園』(テレビ朝日系)テーマソング、Official髭男dism「宿命」。この曲の懐の深さは、励ましの言葉にさえ苛立ってしまう夜を描いていることにある。

 頑張っているからこそ、簡単には前を向けない。期待が重荷になることもある。「宿命」は、そんな夜を過ごした自分も連れて、勝負の場所へ向かっていく。力強いビートに乗せて声が重なると、ひとりで抱えていた緊張まで分かち合えるようだ。うまくできるかどうかは、まだわからない。それでも、夢中になってきた時間は確かにある。その実感が踏み出す勇気になる。

ONE OK ROCK「キミシダイ列車」――過去を足場に、今を動かす

Kimishidai Ressha

 ONE OK ROCK「キミシダイ列車」は、2011年のアルバム『残響リファレンス』収録曲。鋭いギターと前のめりなリズム、Taka(Vo)の切迫した歌声が、ためらう身体をぐっと前へ運ぶ。

 失敗した記憶は、挑戦をためらう理由にもなる。この曲は、その過去こそ今の自分を支えていると気づかせてくれる。遠回りした経験も、悔しくて立ち止まった時間も、ここから何かを始める足場になる。そう思えた瞬間、バンドの勢いが頼もしく響く。気持ちが整うのを待っているうちに、また一日が終わってしまう。そんな自分を奮い立たせたいときに聴きたい一曲だ。

PURPLE BUBBLE「ナツメグ」――人と繋がり広がる“秘密のパノラマ”

PURPLE BUBBLE「ナツメグ」 from 1st ONE MAN LIVE 2026 蕾もいつかは at TOKIO TOKYO

 傷を受け止め、積み重ねた日々を肯定し、次の一歩へつなぐ。そんな応援歌の魅力を、身近な言葉で届けるのがPURPLE BUBBLEだ。2024年5月に結成された、K-taring(Vo/Gt)、せき(Gt)、リューセー(Ba/Cho)、嵐丸(Dr)による4人組。2025年1月発表の「ナツメグ」は総再生数2,000万回を超えるバイラルヒットとなり、TOKYO MXの『第108回 全国高等学校 野球選手権大会 東・西東京大会』テーマソングにも起用された。

 国民的ヒットソングと並べて本作を紹介するには理由がある。

 「ナツメグ」は、後悔を人生のスパイスにたとえた楽曲だ。未来への怖さや、恥をかくことを避けてしまう気持ちに触れながら、自分の価値を他人任せにしなくていいと伝えていく。心地よいメロディに乗るのは、迷っている人と同じ目線の言葉たち。さらに歌の後半では、誰かに寄り添って歌うことが、歌い手自身の生きる意味にもなる。あなたを励ますことが、自分の力にもなる。そんな関係に、このバンドの人懐っこさが見える。

 人とつながることで生まれる力を、日常の記憶から描くのが、10月7日にリリースされる全5曲からなるメジャー1st EP『秘密のパノラマ』の同名表題曲だ。TVアニメ『ケロロ軍曹☆』(テレビ東京系)のエンディングテーマとなる本作は、K-taringの温かな歌声とバンドアンサンブルを活かしたミディアムバラードで、大切な人との時間を綴る。

PURPLE BUBBLE「秘密のパノラマ」Official Music Video

 心に残るのは、失いたくないと思っていた思い出に対して、終盤で〈失くしてもまた拾い集めよう〉と歌うこと。過ぎた時間を惜しむ気持ちから、これからも一緒に生きていこうとする意志へ、視線が移る。大切なものを守り切れなかったとしても、その先の時間をふたりでつくっていける。この変化がいい。

 恥をかいた翌日に交わす他愛ない会話も、ずっと前にもらった言葉も、明日を描く力になる。特別な出来事がなくても、誰かと過ごした日々には自分を支えるものが残っている。友情の歌であると同時に、聴く人それぞれの大切な顔が浮かんでくる一曲だ。

 この表題曲を中心に据えると、収録曲それぞれの距離感も面白い。ライブの定番曲「ノープラン」では、リリックにおいて落ち込んだ相手を笑わせようと一発ギャグを繰り出す。その試みは、いつもうまくいくわけではない。相手の反応に慌てる様子まで描かれるから、主人公がぐっと身近に感じられる。手をつないで散歩に出かける、その小さな行動が一日を変える。ポップな曲調と、相手を放っておけない気持ちが結びついたラブソングだ。

 対してシリアスな「dot city」は、居場所のなさや、繰り返される痛みを見つめる。人が点のように見えてしまう世界で、〈あなたの傷を教えてよ〉と呼びかけ、最後には〈夢を教えてよ〉と続ける。傷の話を聞いた先で、夢の話をしようとする。その順番に、このバンドが人と向き合う姿勢が表れている。「ノープラン」のユーモアと「dot city」の切実さには、ともに目の前の相手へ手を伸ばそうとする思いが流れている。

 本作では、この2曲と「ナツメグ」を新たにレコーディングして収録。代表曲をきっかけに彼らを知った人にも、ライブで親しんできた人にも、今のPURPLE BUBBLEを伝える選曲となっている。

 そして最後に置かれた「度肝を抜け」が、EPにもうひとつの表情を加える。畳みかける演奏とシニカルな歌詞が特徴のアッパーソングだ。傷が傷のまま残ることを認め、それでも拳を掲げる。やるせなさを吐き出し、行き詰まった場所から動こうとする熱がある。誰かと笑って気持ちが軽くなる日もあれば、悔しさを思い切り放ちたい日もある。そんな心の違いを、この5曲は受け止めてくれる。

 思いがけなかった「ナツメグ」の拡散と評価は、将来に悩んでいたメンバーたちが、バンドの道へ進む後押しにもなったという。誰かに向けた歌が届き、その反響が自分たちの明日を変えた。『秘密のパノラマ』は、そんな4人が届ける大切な作品集である。背中を押す歌の力を、彼ら自身が知っている。そのことが、PURPLE BUBBLEの鳴らすエールをいっそう身近なものにしている。

■リリース情報
メジャー1st EP『秘密のパノラマ』
配信中

<収録曲>
M1. 秘密のパノラマ
M2. ナツメグ
M3. ノープラン
M4. dot city
M5. 度肝を抜け

PURPLE BUBBLE『秘密のパノラマ』ジャケット写真
『秘密のパノラマ』ジャケット写真

■公演情報
『PURPLE BUBBLE TOUR 2026 “秘密のパノラマ”』

2026年10月25日(日)
宮城・LIVE HOUSE enn 2nd【2MAN】
w /らそんぶる
開場 17:00 / 開演 17:30

2026年10月31日(土)
愛知・名古屋 RAD NINE【2MAN】
w / Broken my toybox
開場 17:00 / 開演 17:30

2026年11月1日(日)
大阪・LIVE SQUARE 2nd LINE【2MAN】
w/ ガラクタ
開場 17:00 / 開演 17:30

2026年11月14日(土)
福岡・LIVE HOUSE Queblick【2MAN】
w / Mercy Woodpecker
開場 17:00 / 開演 17:30

2026年12月6日(日)
東京・代官山 UNIT【ONE MAN】
開場 16:45 / 開演 17:30

チケット受付:https://eplus.jp/purplebubble/

■関連リンク
公式リンク:https://bio.to/purplebubble
X:https://x.com/PURPLEBUBBLE24_
Instagram:https://www.instagram.com/purple.bubble_official/
TikTok:https://www.tiktok.com/@purple.bubble_official
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCPdhEs1oKshWkLPi8DpwI6Q

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