DEATH SIDE・ISHIYA、すべての想いを背負って挑んだステージ 仲間と刻んだ最後のアメリカライブ体験記 

DEATH SIDE ISHIYA、アメリカライブ体験記

 SKULL FESTは、ピッツバーグで16年間続けられている歴史あるフェスだ。会場のSPIRITは、メインステージと地下のサブステージの2つがあり、合わせると1000人弱は入りそうな大きな会場だ。

 すでに会場の外にも人がたくさん集まっていて、俺たちが到着すると声をかけてくれる。みんなが楽しみにしていてくれるのが、ひしひしと伝わってくる。話しかけてくれる人には、メンバー2人が入国拒否にあって強制送還されたと伝えると、誰もが謝ってくれる。君たちが謝る必要はない。しかし誰もが現在のアメリカの政策にはかなり激しい拒否感を示しているのが、話している反応でわかる。

 翌日の2日目のSKULL FESTには、初めて観るイギリスのレジェンドハードコアパンクMAUMAUSや、俺の書籍『異次元の常識――パンク/ハードコアの思想とメッセージ』でもインタビューに答えてくれたDROPDEADが出演する。さらに、2004年のFORWARDで初海外となるアメリカツアーへ行ったとき、最初のハウスショーで共演したSTATEも出ていた。

STATE(撮影=PAlex Koutsman)
STATE(撮影=Alex Koutsman)

 そのまま会場内をうろつきながらMAUMAUSの出番を待っていると、やたらとしっかりした演奏で迫力もあり、他のバンドとは明らかに違うオーラのあるバンドが出てきた。明らかにかっこいい。しかしなんていうバンドなのだろうと、隣で観ていたSHINYAと話していると、MAUMAUSの曲を演奏し始める。すると弁慶もやってきた。

 「これMAUMAUSですね。声がそうですよ」

 確かにそうだ。SHINYAが物販にいたクリスに尋ねると、急遽、順番が変わったとのこと。どうりでかっこいいわけだ。

MAUMAUS(撮影=Chris Boarts Larson)
MAUMAUS(撮影=Chris Boarts Larson)
MAUMAUS(撮影=Alex Koutsman)
MAUMAUS(撮影=Alex Koutsman)
『SKULL FEST』(撮影=Chris Boarts Larson)
観客(撮影=Chris Boarts Larson)

 聴きたかった曲もやってくれ、圧巻のステージが終了した。さぁ次はDROPDEADだ。DROPDEADとはアメリカで何度か共演している。2024年のロサンゼルスでのC.Y FESでも共演し、そのときのMCに感激し、俺の書籍のインタビューにも答えてもらった。

 ギターのベンは、ツアーで運転手をやってくれたこともある旧友だ。アメリカD.I.YシーンでDROPDEADの名を知らぬものはいない。楽曲は激しく、速く、短い。その中で強烈な政治的メッセージと動物の権利を主張し、観客の胸を突き刺す。俺はこれがアメリカン・ハードコアの真髄だと思っている。久々に観たDROPDEADはやはり素晴らしく、俺の感情を突き動かす。明日のライブ本番に備え、これほど刺激的で感情が高まることはない。

 ベンやボーカルのボブと話せたのも素晴らしいひとときだった。もうアメリカで会うことはできないと思うが、世界は繋がっている。どこかで必ず再会できると信じ、この日は終了した。

DROPDEAD(撮影=Alex Koutsman)
DROPDEAD(撮影=Alex Koutsman)
DROPDEAD(撮影=Richard Kress)
DROPDEAD(撮影=Richard Kress)
『SKULL FEST』(撮影=Beau Patrick Coulon)
観客(撮影=Beau Patrick Coulon)

 そして、いよいよ本番当日を迎えた。到着するとFINAL CONFLICTがサウンドチェックを行っていた。旧知の間柄であるボーカルのロンとギターのジェフと久々の再会を喜ぶ。

 自分たちのサウンドチェックも上々だ。ジョーのドラムも完璧で、エンジニアもDEATH SIDEを知っているようでやりやすい。あとは本番を迎えるだけだ。

 フェス四日間を通じて、今日だけはソールドアウトになっているという。会う観客たちにも毎日声をかけられ続けてきた。入国できなかったMUKA-CHINとORIの思いを背負い、気合いが入る。

 ライブがスタートすると、オーガナイザーであるクリスのDEAD SKYも登場した。オーガナイザーとして頑張っていたクリスのギターもいい音を出している。

DEAD SKY(撮影=Chris Boarts Larson)
DEAD SKY(撮影=Chris Boarts Larson)
DEAD SKY(撮影=Chris Boarts Larson)
DEAD SKY(撮影=Chris Boarts Larson)

 そしてFINAL CONFLICTの出番がやってきた。復活したFINAL CONFLICTとは何度か共演させてもらったが、今日のライブは凄まじい。ボーカルのロンの気合いも半端ではなく、MCで訴えかける怒りとメッセージ、ジェフのギターやバンド全体のサウンドは、今まで観たFINAL CONFLICTの中で一番かっこよかった。

FINAL CONFLICT(撮影=Chris Boarts Larson)
FINAL CONFLICT(撮影=Chris Boarts Larson)
FINAL CONFLICT(撮影=Alex Koutsman)
FINAL CONFLICT(撮影=Alex Koutsman)
『SKULL FEST』(撮影=Beau Patrick Coulon)
観客(撮影=Beau Patrick Coulon)

 否が応でも気合が入る。そしていよいよ、DEATH SIDEの出番がやってきた。メンバー2人が入国できず、俺たちは再びアメリカの地を踏むことができる可能性は非常に低い。しかし会場にいる観客の多くは、そのことを知らない。

 この経緯については、俺の言葉でしっかりと説明しなければならない。しかし俺の英語はそこまで細かく伝えられるほど堪能ではない。だがそんなことは関係ない。気持ちを込めて、怒りを込めて、来られなかった2人のメンバーの思いを背負い、魂ごとぶつかるだけだ。

 ライブが始まった瞬間から、気持ちが弾ける。ゆっくりとしたイントロに乗せ、思いをぶちまける。弁慶もSHINYAもジョーも、素晴らしい演奏で俺の後押しをしてくれる。観客たちも待っていたかのように、盛り上がりは一気に最高潮になる。

 俺の拙い英語でどこまで伝わったかはわからない。しかし、俺たちの気持ちが観客たちに確実に届いている様子が手に取るようにわかる。思いの全てをぶつけ、アンコールを含めた14曲はあっという間に終わった。

DEATH SIDE(撮影=Beau Patrick Coulon)
DEATH SIDE(撮影=Alex Koutsman)
DEATH SIDE(撮影=Alex Koutsman)
DEATH SIDE(撮影=Alex Koutsman)
DEATH SIDE(撮影=Richard Kress)
DEATH SIDE(撮影=Richard Kress)
DEATH SIDE(撮影=Richard Kress)
DEATH SIDE(撮影=Richard Kress)
DEATH SIDE(撮影=Rachael Shorr)
DEATH SIDE(撮影=Brad Hefner)
DEATH SIDE(撮影=Beau Patrick Coulon)
DEATH SIDE(撮影=Alex Koutsman)
DEATH SIDE(撮影=Alex Koutsman)
DEATH SIDE(撮影=Alex Koutsman)
DEATH SIDE(撮影=Richard Kress)
DEATH SIDE(撮影=Richard Kress)
DEATH SIDE(撮影=Richard Kress)
DEATH SIDE(撮影=Richard Kress)
DEATH SIDE(撮影=Rachael Shorr)
DEATH SIDE(撮影=Brad Hefner)
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DEATH SIDE(撮影=Beau Patrick Coulon)
DEATH SIDE(撮影=Alex Koutsman)
DEATH SIDE(撮影=Alex Koutsman)
DEATH SIDE(撮影=Alex Koutsman)
DEATH SIDE(撮影=Richard Kress)
DEATH SIDE(撮影=Richard Kress)
DEATH SIDE(撮影=Richard Kress)
DEATH SIDE(撮影=Richard Kress)
DEATH SIDE(撮影=Rachael Shorr)
DEATH SIDE(撮影=Brad Hefner)
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 ライブ終了後のことは、はっきり言ってあまり記憶がない。全てを出し尽くし、放心状態だったのだろう。気づけば別会場のアフターショーにいて、様々な友人や観客に、もう二度とアメリカに来られないことを必死に説明していた。やがて限界が訪れ宿へ戻ったのだが、クリスたちがやってきてアフターパーティーになった。みんなDEATH SIDEを心待ちにしてくれていて、本当に喜んでくれた。頑張った甲斐があるとしみじみ感じた夜だった。

 ジョーと彼女はそのまま空港へ向かい、先にニューヨークへ戻る。みんなを見送り、ピッツバーグ・SKULL FESTでのDEATH SIDEは終了した。

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