THE YELLOW MONKEY 吉井和哉、還暦を迎えてもなお止まらない歩み ソロ本格再始動の1年を経て磨き続ける表現者としての姿

 THE YELLOW MONKEYのフロントマンとして、そしてソロアーティストとしても圧倒的な存在感を示している吉井和哉。1966年生まれの彼が、今年の10月8日で60歳という大きな節目を迎える。ソロ活動を本格的に再始動させたこの1年を振り返り、これからの展望に思いを馳せてみたい。

約4年ぶりの新曲、映画公開、全国ツアー……怒涛のソロ活動

 まずは昨年の誕生日を振り返ってみよう。2025年10月8日、ソロとしては約4年ぶりとなる新曲「甘い吐息を震わせて」をデジタルリリース。ドラマ『そこから先は地獄』(日本テレビ系)の主題歌にも起用されたこの曲は、軽やかさの中に妖しさが漂うミディアムナンバー。船山基紀と鶴谷崇を共同プロデューサーに迎え、昭和歌謡のテイストをまぶしたアレンジと艶めかしい歌唱は吉井らしさに満ちている。

吉井和哉 - 甘い吐息を震わせて

 そして同年12月にはドキュメンタリー映画『みらいのうた』が全国公開された。エリザベス宮地監督が3年以上にわたって吉井に密着したこの作品は、彼の半生や音楽的ルーツに迫りつつ、2022年の喉頭癌の発覚から治療を経て、2024年のTHE YELLOW MONKEYの東京ドーム復活ライブに至るまでの日々を克明に記録したものだ。地元・静岡で音楽の世界に導いてくれたEROとの40年ぶりのセッションが重要な場面を飾る本作。声を失うかもしれない恐怖と闘い、原点へ立ち返りながらステージに立ち続けようとするその姿は、ロックスターとしての華やかさの裏側にある地道で泥臭い生き様を映し出す貴重な映像となった。本作は第35回日本映画批評家大賞でドキュメンタリー賞を受賞するなど、高い評価を得た。

『みらいのうた』予告編

 同じく12月から2026年1月までは、約4年ぶりとなるソロ全国ツアー『吉井和哉 TOUR2025/26 IVIVI BLOOD MUSIC』が行われた。日本武道館公演を含む全国9公演で、そのツアータイトル通り、吉井の“血”そのもののような代表曲たちが披露される内容だった。各公演、決まって終盤に演奏されていたのが前述の映画と同タイトルの「みらいのうた」。リリースされた2021年の時点では闘病も活動休止も予期していなかったが、この数年の内に強い物語性を宿すこととなったこの曲は、多くの人の胸を震わせ、来たる未来への期待を抱かせたはずだ。

吉井和哉 - みらいのうた

最新曲「MY LIFE」から12年ぶりのソロアルバムへ

 2026年はTHE YELLOW MONKEYの再集結10周年イヤーでもあり、上半期はファンクラブツアーを開催。そんな中、今年8月、ソロとしての最新曲「MY LIFE」がリリースされた。ABEMAの密着型ドキュメンタリー『NO MAKE』のテーマソングとして起用されたこの曲は、2016年にデモの状態で誕生していたという。約10年の時を経て完成したこの曲は沸々と湧き立つような曲構成でダイナミックに展開し、タイトル通り"人生"そのものを見つめ、再び歩き始める意思が綴られている。

吉井和哉 - MY LIFE (Visualizer)

 そしてその延長線に、12月9日、約12年ぶりとなるソロアルバム『イキモノエネジー』のリリースが待っている。前作『STARLIGHT』(2015年)以来、8枚目のフルアルバムであり、「みらいのうた」「○か×」「甘い吐息を震わせて」「MY LIFE」を含む全14曲の収録が予定されている。

 「MY LIFE」リリース時のコメントで「僕自身、もう一度与えられたような命と、奪われなかった『声』で、『生きること』を僕なりのロックとして伝える作品になりつつあります」(※1)と本作の内容を示唆していた。まさにこの数年はアーティスト/ボーカリストとして、一人の人間として、激動の日々だったはず。アルバムはその生々しいドキュメンタリーのように仕上がっているのではないだろうか。そして2027年2月からは、全国ホールツアー『吉井和哉 TOUR 2027 イ・キ・モ・ノ・エ・ネ・ジ・ー』が全国6都市7公演、予定されている。その歩みは止まることなく、未来へ向いている。

 現在、THE YELLOW MONKEYはジャスト60分間の演奏時間でライブハウスと日本武道館を巡る『THE YELLOW MONKEY TOUR 2026 THE COUNTDOWN〜60分1本勝負〜』という一風変わったツアーを実施中。バンドがこうしたユニークな試みを繰り出し続けるのにも、吉井の“エネジー”が欠かせない。60歳、還暦を迎えてなお、新たに生まれ変わったように表現を磨き続けるその姿は、多くのファンや同志たちを鼓舞していることだろう。

※1:https://www.yoshiikazuya.com/news/detail/12476

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