大阪発ポップパンクバンド・All I Clacksが見る夢「僕らには希望しかない」 1stミニアルバム完成インタビュー

All I Clacks、1stミニALを語る

予約殺到で入手困難になったシングル「誰も想像してなかった」

All I Clacks(撮影=溝口元海)
Zack Ataris(Gt/Cho)

――初スタジオで音合わせた時の感触って、みなさんは覚えてますか?

Zack:バンドって青春ドラマみたいに下手なところからスタートするのかなと思ったら、意外と一発目から形になって。「あれ? めっちゃいいやん!」って(笑)。そこからスタジオ入ったり、飲みに行ったりして、気づいたら1年くらい経ってましたね。

ガイ:僕は3ピースよりギター2本の4ピースのほうが音の出し方もやりやすくて、「ああ、これやな」って。ベースが変に主張せんでいいから、(気持ちとして)楽やなと思いました。

――そこに、サポートドラマーとして超多忙だった飛翔-KAKERU-さんが加わったわけですね。

飛翔:僕は当時20歳くらいで、ひとりでドラマーとしてやっていこうと思って、サポートを23個くらい同時期にやってたんですよ。その時に対バンでAll I Clacks(当時はAll I Need)を観て、同世代でいちばんリスペクトしてるくらいに惚れ込んで。前のドラマーがやめるって聞いた瞬間に「やるしかない!」って思って、夜中にメンバー全員に電話かけまくって、アピールしまくりました。それまでやってたサポートも同時に解約して、「やりたいことが見つかりました!」って、一本に絞りましたね。

Zack:熱量がすごかった(笑)。ほかからも熱烈なオファー貰ってるなかでAll I Clacksを選んでくれたのは、嬉しかったですね。

カシ:僕は慎重派なので「レコーディングやライブを一緒にやってから決めよう」と言ってたんですけど、飛翔は学校休んででも、身銭切ってでも、本気でついてきてくれた。プレイ面でも僕らのコンポーザーのやりたいことと、彼が出したい世界観の擦り合わせが、バチッときたタイミングがあったので、「正規メンバーとして入ってほしい」と頼みました。

――飛翔さんをそこまでさせた、All I Clacksの魅力ってどこにあったんですか?

飛翔:ライブを観た時、「俺がやりたいやつや!」と直感的に思ったんですよね。それと同時に、「これは絶対に誰が見てもかっこいい」と思った。そこからは、All I Clacksの虜ですね。とはいえ、最初は自分で大丈夫なのか不安でした。けど、みんなが「ええで、ええで」と言ってくれたから、徐々に大丈夫やなと思えるようになりました。

――4人が揃って、資料にもある「90〜00年代ポップパンク」を軸に据えてやっていこうと思った根底の美学って、どういうところにあったんですか?

カシ:全員が「人と一緒のことをする意味がない」と思ってることですね。当時、新神楽とかまわりの10代が出てるシーンって、王道の日本語ロックがすごく流行っていて。若かったのもあって「自分たちは違う切り口で勝負したいな」という感覚があったんです。「人と一緒のことやってるなら、普通に働いて安定した生活するのと変わらんやん」とすら思ってた。せっかくバンドやるなら、学生時代にうまくいかなかったことや鬱屈した感情、理不尽な奴への怒りを言語化して歌いたかったんです。それを圧倒的なオリジナリティでやってたのがホルモンやELLEGARDENだし、何にも縛られないアティチュードをGreen DayやSum 41にも感じていたので、そこが根幹にありますね。

ガイ:Sum 41の「In Too Deep」のMVみたいに高台からジャンプしたり、スケボーのランプのなかでライブしたり、ああいう型にハマらない自由に憧れていましたしね。当時は全員がどこかひねくれていて、いい意味でまわりに尖りまくっていました(笑)。

カシ:当時はまだ若かったから、ライブハウスの上下関係や飲み会のノリなんかも少し冷めた目で見ちゃってたりして(笑)。「お前ら、おもろないな」とかコミュニティの狭い価値観で小言を言われることも多くて。でも、絶対に自分たちの音楽とアプローチでフロアのお客さんをいちばん盛り上げてやるっていう反骨心でやっていました。

All I Clacks(撮影=溝口元海)
ガイ(Ba/Cho)

――その溜まりに溜まったフラストレーションが、そのまま自分たちのサウンドの美学やパワーになったわけですね。

カシ:そうです。「もっと誰も思いつかないアプローチで楽しませてやる」っていう強い想いがあったし、理不尽に言われた悔しい経験すらも、自分たちのマインドを鍛えるエネルギーになりました。

――「自分たちは絶対そういう型にハマった大人にはなりたくないし、後輩にも自由に楽しんでほしい」という精神性にも繋がっている、と。

カシ:まさにそうですね。悔しい思いも消化してバンドの活力に変えられたので、今思えば貴重な経験だったと思います。

――サウンド面ではみんなのルーツがバチッと噛み合っている?

カシ:そうですね。音の方向性に関してはこれまで一度も揉めたことがないです。各自が好きなカルチャーを持ち寄って、この4人でしか鳴らせないポップパンクを純粋に楽しんで鳴らしています。

――今回の1stミニアルバム『In too the Big Wave!!』を聴くと、「ダサいところも見せるし、弱さにも寄り添うよ」というリアルな包容力を感じるんですよね。歌詞を書く時ってどういう感情を大事にしてるんですか?

カシ:やっぱり「昔の自分を裏切らない」っていうのがいちばん大きくて。僕は小学校で転校していじめられて、中学校でもいじめられて、高校でも別にモテたわけでもなくて、ずっとギター弾いて歌ってただけなんですよ。だから作詞をする時は、当時の“少年カシ”を召喚して、そいつに聴かせた時に「微妙やな」って言われない歌詞を書く。当時の自分が「ええやん!」って言うなら、今の若い子たちも絶対「いい」と言ってくれるだろうっていう自信があるんですよね。

――1曲目の「N.E.S.」なんか、まさに〈oneday I lost my work〉〈oneday I lost my friends〉と歌いつつも、「最高なんだ」と強がりと泥臭さから始まりますよね。

カシ:完全にそうですね(笑)。パッケージングするにあたって、前の盤みたいにならないようにということは、やっぱりZackも僕も思っていて。今まで英語詞が多かったんですけど、エモに熱い日本語を乗せて、ちょっとアニソンっぽく聴かせるアプローチに挑戦したり、爆速の2ビートで冷笑カルチャーを切ったり、カオスに全部を詰め込みたいなと思って、今作は作りました。

――先行シングルの『Superflash!!』は予約殺到で一時入手困難になってましたよね。

カシ:エゴサしてたら、24時間で全予約満了になったのを知って、信じられなくてマネージャーに電話しましたからね。「満了になってるんですけど……」って言ったら、マネージャーも「えっ!?」って(笑)。誰も想像してなかった現象で、嬉しい気持ちのまま、ふわふわしてました。

Zack:僕は「500円やし、絶対売れるやろ」って想像してましたけどね(笑)。タワレコ限定でフリーライブのチケット代わりになるのも大きかったし、サブスク世代のお客さんもCDを買う文化を理解してくれてるから。あとは何より、カシのメロディがよかったのかもね。

カシ:王道のJ-POPのコード進行をあえて避けて作ったから、そう言ってもらえると嬉しいですね。

All I Clacks - superflash!! Official Music Video

――アルバム全体を通して、楽曲の振り幅や遊び心もすごくて。「Forever」みたいなミドルテンポの沁みるエモもあれば、「Stargazer」みたいなバチバチのUSパンクもある。

Zack:「Forever」は、もともと前のバンドの時に作った曲だったんですけど、結成当初は「自分らのやりたいこととは少し離れてるんかな」と思って出さなかったんです。でも、いろんな曲を作っていくなかで、ハードコアやエモをクロスオーバーしていくのが自分たちの強みだと気づいて、今回引っ張り出しましたね。

ガイ:純粋にこの曲はええ曲やしな。

Zack:「Stargazer」に関しては、今の日本のメロコアの2ビートが全部似てるという小さな疑問からサウンドを作り始めて。「これがほんまのUSの2ビートや!」っていうのを示したかったんです。

カシ:Zackからデモが届いて、イントロを聴いた瞬間に“夜空”が浮かんで。学生時代からの友人4人で城崎温泉に行って、ボロボロのホテルに泊まって寒空の下歩いた時にパッと見上げた星空が思い出されたんですよね。初めて友達に向けて歌詞を書きました。

All I Clacks(撮影=溝口元海)
飛翔-KAKERU-(Dr/Cho)

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