大阪発ポップパンクバンド・All I Clacksが見る夢「僕らには希望しかない」 1stミニアルバム完成インタビュー

大阪のライブハウスシーンから湧き上がり、今、全国のロックシーンをダイナミックに揺らし始めている4人組ポップパンクバンド・All I Clacks。90年代〜00年代のUSポップパンクやエモ、ハードコアを血肉化しながら、どこまでも等身大で青く、泥臭いリアリティを鳴らす彼らが、10月7日に1stミニアルバム『In too the Big Wave!!』を全国リリースする。
前作シングル『Superflash!!』の予約殺到による一時入手困難、地元・大阪の大阪城ホールでのイベント『ZASSO.2026 ~アメ村えれふぁんと15周年~』オープニングアクトへの抜擢、そして対バンツアーと11月3日に迫る心斎橋ANIMAでの初ワンマンライブ。急加速していく状況の真ん中にいながら、4人はどこまでも地に足をつけて、どこか楽しげに前を見据えている。
なぜ彼らの奏でる音は、これほど泥臭く心を突き刺すのか。10代の不完全な記憶、まわりへの違和感から生まれた美学、そして4人が出会った必然――。それぞれのルーツと、1stミニアルバム『In too the Big Wave!!』の全貌に迫った。(笹谷淳介)
ELLEGARDEN、Green Day、マキシマム ザ ホルモン、TOTALFAT……それぞれのルーツ
――今回がリアルサウンド初登場ということで、まずはみんなの音楽的なルーツ、バックボーンから深掘りしていきたいなと思います。それぞれ、どういう音楽を聴いて育ってきたんですか?
カシ(Gt/Vo):自分は、ひとまわり上ぐらいの兄がいて。兄がオーディオでマキシマム ザ ホルモンのCDを聴いていたのがきっかけで、小学校の頃になんとなくロックバンドが好きになって。高学年になって音楽に興味が出始めた時に、プレステでYouTubeが観れたんです。それでONE OK ROCKやアヴリル・ラヴィーンを知りました。中学の時には、友達にELLEGARDENを教えてもらって、大好きになって。高校生で軽音部に入った時に「3年間でオリジナル曲を1曲作りましょう」っていう目標があったんですけど、人と被る曲は作りたくないなと思って先輩に相談したら、「洋楽を聴いたら、人と似たり寄ったりじゃない曲が作れるんじゃない?」と漠然と教えてもらって。スマホで「洋楽 バンド」って調べた時にGreen Dayに出会って、「Basket Case」のMVを観た瞬間にめちゃくちゃ電撃が走りました。「俺はこれをやりたい!」っていう衝動に駆られたのが、今の今までバンドを続けている理由ですね。
――ELLEGARDENに最初に琴線が触れたというのは、どこにいちばん衝撃を食らったんですか?
カシ:やっぱり英語の発音がよかったこと。それまで英語の曲を聴く文化がなくて、CMでBon Joviが流れてるくらいの認識だったのが、日本人が英語であんな速い曲歌えて、それもすごく心地好くて。ライブ映像を観ても、ただポンってそこにいるだけで感じるカリスマ性に憧れて、もう虜になっちゃいましたね。
――そこからGreen Dayを聴いていくわけですけど、そっちはまた違う衝撃でした?
カシ:そうですね、着ている服のカルチャーやMVを撮っているスタジオの雰囲気も全然違うな、と。そこに付随してNirvana、blink-182、Sum 41、Four Year StrongとかUSパンクを調べるようになって。日本より大きい国だし、バックボーンにある刹那的な部分への憧れみたいなのもあったのかな。カート・コバーンだったり、スターたちがみんな27歳で亡くなっちゃうような過激さも含めて、魅力を感じていました。
――Zack Atarisさんのルーツはどうですか?
Zack Ataris(Gt/Cho):僕も小6か中1くらいの時に、YouTubeの関連動画で流れてきたGreen Dayの「Basket Case」がきっかけでした。それまでギターを派手に弾く音楽を知らなかったので、MVを観て「うわ、かっこいい!」って。そこからSum 41やThe Offspringを漁っていくなかでエモも好きになって。エモとポップパンクって似てるようで違って、エモは歌詞が明るくなくてちょっと内省的。ルーツも違って、ポップパンクはパンクから、エモはハードコアからきてるのに「なんでこんな音楽が似てるんやろ?」って興味が湧いて。Jimmy Eat World、Dashboard Confessionalから90年代のThe Get Up KidsやMineralを掘って、最終的に高校でBiohazardやMadballみたいなニューヨークハードコアにハマりました。
――ギターは、どのタイミングで始めたんですか?
Zack:小6で始めました。Green Dayの原体験とバッチリハマって始めましたね。
――ガイさんはどうですか?
ガイ(Ba/Cho):僕はずっとMTVが流れてるような家庭で育って、人生で初めて触れたバンドサウンドがマキシマム ザ ホルモンでした。リビングで親と一緒にMTV観てる時に「爪爪爪」のMVが流れて。親と一緒に観ていたんですけど、「うわ、なんだこれ!」って衝撃がすごかったです(笑)。中1の冬くらいにギター買ってもらって、あらためてホルモンを聴いたら「かっこええな!」って。そこから高校に入って、友達のおすすめでNeck Deepの「Gold Steps」のMVを観て、非常識だけど自由な感じに食らってしまって。そこからは、高校で初めてハードコアバンドを組むってなった時に先輩にいろいろと教えてもらいました。高校時代は、ほぼ洋楽しか聴いてないです。
――最初はギターだったんですね。ベースに転向したのは?
ガイ:高校の文化祭でバンドをやろうとなった時に、ギター人口が多すぎたから(笑)。一緒にやる予定のギタリストがむちゃくちゃうまかったから、「無理や、ギターやめた! ベースやろう!」って。そしたらタイミングよく「ギターを買った」と言ってた友達が買ってきたのがベースで(笑)。「それベースやで! 俺に貸して!」って言ったのが始まりです。結局高校3年間、そいつのベースを弾いて、最後は3万円で買い取りました。それが最初にZackとやってたバンドで使ってたベースなので思い入れはあります。ある種、ジャン負けでベースを始めた、みたいなノリですね。
――そこからベースを弾き続けて、生業にまでなったわけですけど。
ガイ:ベースのほうが性に合ってるかなって思いますね。ギターって花形やけど、自分はそういうタイプではなかったので。純粋に楽しいです。
――飛翔-KAKERU-さんの原体験も教えてもらえますか。
飛翔-KAKERU-(Dr/Cho):僕は小学校の時にテレビで『NARUTO』のエンディングでTOTALFATを知って、“2ビート”の存在を知って、「かっこええ!」ってなって。それまでは親が好きなSIAM SHADEと自分が好きだったボカロしか知らんかったところにTOTALFATが入ってきて。一度ライブを観に行ってみたら、フロアがぐっちゃぐちゃで人が降ってくるし……怖すぎて泣いて、途中で帰ったんですよ(笑)。
――トラウマになっちゃった(笑)。
飛翔:そうなんです(笑)。でも、中学の時におとんが買ってたTOTALFATのCDが届いていて、久々に聴いたら「やば! かっこいい!」って。一回離れたけど、もう一回聴いたら「自分がやりたいのはこれかも」「音楽でぎゃふんと言わせたいな」という感覚になりましたね。中3になってもう一回ライブを観に行った時に、「これや! 2ビート叩きたい!」って目覚めました。高校からドラムを始めて、TOTALFATのメンバーが着ているTシャツからNOFXやSum 41を知って、パンクを聴くようになりました。
――それぞれのルーツが見えてきて面白いですね。そこからバンド結成の話になっていくわけですが、2022年6月始動以前の4人の関係性はどういう感じだったんですか?
カシ:ひとことで言ったら「めっちゃ友達」でした。Zackとガイと前のドラムの3人がスケートパンクっぽいバンドをやっていて、僕もELLEGARDENルーツのパンクバンドを組んでいて。僕のメンバーが脱退するタイミングと、当時ボーカルだったZackが「ギタープレイに専念したい」っていう時期が重なったんです。それぞれ、大阪の新神楽っていうライブハウスによく出入りしていたんですけど、海外のパンクロックのカルチャーの話が合う同世代が当時まわりにいなくて。僕がTwitter(現X)でメンバー募集を出したらDMを送ってくれて「一緒にやろう」と。僕が書いた「No.26」っていう曲を4人で音出ししてみたら、すごくフィーリングが合ったんです。「あ、絶対この4人でバンドやりたい!」って、その日の夜中のスタジオで確信しました。




















