稲葉浩志、Number_i、IS:SUE、櫻井優衣、Paledusk、sanetii……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は、稲葉浩志「RIZAN」、Number_i「DIGITAL GIRL」、IS:SUE「New Look」、櫻井優衣「ドジっ子インクルージョン」、Paledusk「GOLDEN GOAL」、sanetii「レンダローグ」の6作品をピックアップした。(編集部)
稲葉浩志「RIZAN」
俳優の長谷川博己が出演したハードボイルドなMVも話題の新曲「RIZAN」は、全国ツアー『Koshi Inaba LIVE 2026-2027 ~enⅤ~』のサポートメンバーと制作したロックナンバー。ハードロック、ブルース、サイケデリックロックなどの要素を感じさせる、生々しくダイナミックなサウンドに心を躍らされる。その中心を担っているのはもちろん、稲葉浩志の歌。主人公は、老いを意識する〈僕〉。安定を捨て、過去の栄光に縋ることもなく、〈誰のせいにもできない/道を行って逝って行って逝こう〉と自らを鼓舞するような歌詞は、大人と呼ばれるすべての人間に強いインパクトを与えることになるだろう。その根底にあるのは、キャリアに安住しようとしない稲葉自身の生き方そのものだ。(森)
Number_i「DIGITAL GIRL」
Atlantic Recordsとの契約後、初のリリースとなるシングルに収録された「DIGITAL GIRL」はレトロフューチャー的なシンセ、ダークな雰囲気からカラフルに変化するビートを軸にしたアッパーチューン。攻撃的なラップとポップなコーラスの対比、華やかさと強靭さを含んだ3人の表現を含め、Number_iの魅力がバランスよく込められた楽曲に仕上がっている。懐かしさと新しさを同時に感じさせる楽曲のイメージ、デジタル社会とリアルな世界をテーマにした歌詞、2000年代のインターネットを想起させるビジュアライザーもインパクト十分。海外マーケットへのアプローチをさらに前景化させたこの曲によって、彼らのキャリアは新たな局面を迎えることになりそうだ。(森)
IS:SUE「New Look」
1stアルバム『QUARTET』のリリース、全国ツアー『2026 IS:SUE 2ND TOUR - THE EDITION』の開催と充実した活動を継続しているIS:SUEの新曲「New Look」は、そのタイトルが示す通り、彼女たちの新たな表情がダイレクトに感じられる楽曲だ。歌詞のモチーフは、ファッションショーのランウェイ。誰かに決められたスタイルではなく、自らの意思に従い、〈見せたい私〉をアピールしようとする姿を描いたリリックには、本当の自分を解放したいという欲望、自分は誰のものでもないという強いパワーが漲っている。古きよきハウスミュージックをアップデートさせた高揚感と浮遊感を同時に放つトラック、そして、しなやかで凛としたメンバーのボーカルも気持ちいい。(森)
櫻井優衣「ドジっ子インクルージョン」
FRUITS ZIPPER 櫻井優衣、ソロデビュー2年目に入ったタイミングで届けられた最新曲。タイトルを見る限り、あざとかわいいを狙いすました曲かと思っていたが、実際はほのかに渋谷系の香り。より正確に言えば、洗練の極みだったピチカート・ファイヴのポスト系、90’sスウェディッシュポップとJ-POPの融合をナチュラルにやっていたBONNIE PINKを思わせる作風である。作曲の鎌田瑞輝がどこまで意識したかは不明だが、かっこいいEDMか怒涛のハイテンション系に分かれていく2020年代のアイドルソングとして、このふわっとした空間性と普遍性は貴重である。また、Emmy Sakuraによる作詞も好感度大。櫻井だから許されるセリフとあるあるエピソードが上手く混ざり合う。(石井)
Paledusk「GOLDEN GOAL」
かつて脱退し、数年前から再びサポートメンバーとして参加していたJohn(Ba)が正式加入するタイミングで発表された新曲。イギリスでサッカー観戦したときの体験がインスピレーションになっているそうで、開始早々に響く大合唱はまさにスタジアム向けのアンセムだ。ただ、妙にファニーで姦しい打ち込み音、〈お前のおうちにも 土足であがんぞ〉といった煽り文句などをごた混ぜにしながら、結果的にメタルコアの重量と威圧感でまとめる、というのはPaleduskにしかできない力技。ラップ+ロックに限らない、新時代ミクスチャーを最前線で推し進めているバンドの勢いは〈世界に放つ証明 GOLDEN GOAL/足りねぇ × 11〉の一言に表れている。(石井)
sanetii「レンダローグ」
2024年からライブ活動を開始、2000年代ロックと2020年代ボカロサウンドの融合スタイルで一気に注目を集め、今年7月にメジャーデビューしたシンガーソングライター・sanetiiの最新曲。曲の構造はシンプルなガレージロックに近く、最初のギターリフはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTかArctic Monkeysを思わせる。ただ、間奏や隙間という概念をほとんど持たない展開とドラムンベースのビートが謎の焦燥感を煽り続けるため、昔のバンドがひたすら倍速再生されているかのような印象も受ける。これが今のスピード、と断じてしまっていいものか。とはいえ、BUMP OF CHICKEN、RADWIMPS、米津玄師の系譜に連なる新しい才能であることは間違いない。(石井)



























