【座談会】Def Class、童子-T&HI-Dによる新曲「君を忘れない」に込めた平成の感覚 三者で語る“切ない”の再定義

歌詞から紐解く「君を忘れない」の魅力

――たしかに、“切ない”は平成のキーワードのひとつかもしれません。そんな“切ない”ラブソング「君を忘れない」のなかで、Def Classの皆さんが特に気に入っている歌詞はどこでしょうか?

FAL:いろんな景色が歌詞から思い浮かんだんですけど、特にいちばんのサビ終わりで、〈残る鍵が終わり告げる 君を忘れない 思い出ここに ずっと〉というフレーズでブワーッとその瞬間の感情やシチュエーションが頭のなかに湧いてきて。存在しないはずの記憶がフラッシュバックしているような不思議な感覚でした。本当にエグい歌詞だなって。

WON:〈さよなら言えずに 笑顔が消えてゆく/泣いていた 小さな部屋で〉という冒頭の歌詞は、この曲のシチュエーションを描写した部分で、曲の世界に引き込むためにすごく重要だと思うんです。それを意識して、本当にすべてを込めるつもりで歌っていますし、これからも冒頭は特に命がけで歌いたいと思っています。

TAO:僕はラップパートがめちゃくちゃお気に入りで。回想シーンに当たるんですけど、失恋っていろいろ積み重ねてきた思い出の質量を一気に失うことじゃないですか。あったものがなくなる、その大きなギャップを具体的な描写で表現している部分で、すごく重要なパートですよね。担当できたのも嬉しいです。

SOLA:自分のパートになってしまうんですけど、落ちサビのWONのパートに入る直前の、少し盛り上がる大事な部分を担当させていただいて。〈幸せ今も願う〉という歌詞は自分の性格とも合っているというか、男女問わず、会う機会がなくなってしまった人の幸せも願っていたいなと思うので、すごく感情を込めて歌うことができたんですよね。

JJ:僕は昔からストレートな歌詞が好きなんですけど、特に〈夢を言い訳にして 君を傷つけてしまったけど〉という部分がめちゃめちゃ好きで。歌のパートがどうこうというよりも、自分がリスナーとして聴いたとき、すごく重たく聴こえたんですね。その重さが感じられる曲って、今の時代あまりないと思うんです。

K:僕は〈大人に早くなれたら まだ寄り添っていられたかな?/本気だった なのにどうして?〉という歌詞が気に入っていて。大人になったと思っても、恋愛しているときって、きっといつまでも未熟なままだと思うんです。年齢的には大人になっていても、恋愛では「もっと大人だったら」と思う瞬間があるというか。それをすごくうまく表現している歌詞ですよね。僕は本当にこの歌詞を歌いたくてずっと練習していました。

――歌割りは事前に決まっていなかったんですか?

WON:歌詞が送られてきた時点では何も決まっていなくて。全員で歌ったうえで、おふたりが誰がどこを歌うか決めていったんです。だから6人のなかでも勝負があったんですよね。

童子-T:もともとWONとFALのボーカルが圧倒的だと思っていたから、まずはそのふたりだけのバージョンを録ったんです。ただ、6人全員がマイクを持つグループだからってことで、みんなに試しに歌ってもらうことになって。「全然良くなかったら使わないよ」「こだわって作った曲だから、世界観を壊すような歌やラップをした場合は入れないから」って強く念を押したうえでチャレンジしてもらったんです。そしたらKの歌も含めいろんな発見があって、結果的に6人全員が歌うことになった。本当に頑張ってくれましたね。

HI-D:みんな、すごく根性あるんですよ。

――厳しいディレクションがあったんですね。おふたりの歌詞に込めたこだわりも教えてください。

童子-T:特にラップの部分は、聴いた人の頭のなかに情景が浮かぶようにビジュアライズしていくことが重要で。そういうストーリーテリングは、スリック・リックのようなラッパーから続くヒップホップの大事な要素だと思うし、細かい状況や記憶まで描けるのはラップならではだよね。言ってしまえば、俺の「少年A」とテーマは違うけど、やっていることは同じなんです。

 あと、個人的なことだけど、〈オリオン座 輝くカシオペヤ この愛を心に書き留めた〉という歌詞は、俺の「better days feat.加藤ミリヤ,田中ロウマ」という曲から引っ張ってきたもので、セルフオマージュになっているんです。それもちょっとしたヒップホップマナーですよね。ほとんどの人はわからないと思うけど、気づいた人はニヤニヤしてほしいですね(笑)。

HI-D:僕はR&Bシンガーなんで、もうちょっと違うアプローチをしていて。たとえば“好き”って言葉を使わずに、まだ気持ちが残っていることをどう伝えるのかはかなり考えました。でもやっぱり童子-Tさんの切ない部分と回想シーンの描き方はさすがですよね。近くで長く一緒にやらせていただいてますけど、あらためて勉強になりました。

苦戦した「歌いすぎないで」というディレクション

――歌詞もそうなんですが、これまでのDef Classの曲からは大きく歌も変化しました。この点はいかがでしょうか?

WON:今までの曲では聴き心地がよくなるよう、リズムを立てたり、オーバーに発音したり、わざと発音しなかったりしていくなかで日本語の発音をあえて崩していたんです。でも今回に関しては、本当に映画のセリフくらい一個一個の言葉がちゃんとストーリーとして伝わるようにしなきゃダメだと思って。実際にお二方にもそう指導していただいたんですけど、いざレコーディングとなったときめっちゃ苦戦しました。知らず知らずに発音の癖がついていたんですよね。特に僕とFALは普段からたくさん歌っている分、その癖が強くて。それを抜いていくのが本当に難しかったです。

FAL:僕は学生時代からカラオケでロックバンドの曲を歌ったりすることが多かったので、日本語の発音の仕方もそういう癖がついていたんですよね。おふたりには「一回、歌うんじゃなくて歌詞を普通に読んでみて。それを手紙みたいに読んだときと同じ発音/発声で歌に落とし込めないと、感情は伝わらないよ」と言われて、「ヤバい!」と思って、自分なりにかなり頑張りました。

童子-T:日本語ラップの歴史を考えると、昔は「日本語はラップに乗りづらい」「日本語でラップするのはダサい」と言われていて、俺たちの世代はどうパーカッシブに日本語を乗せるかをずっと研究してきたんです。でも俺はラブソングをやるようになってから、あえてテクニカルな方向ではなく、言葉を置いていくというか、一聴して80〜90%くらい何を言っているのかわかるラップを目指すようになった。

 一方でDef Classは、子音を立てたり、発声やイントネーションをリズムに合わせたりする、もっと現代的なスキルを磨いてきた。でも今回はそこに逆行するレコーディングで、「そんなに縦にリズムを刻むな」「一回普通に日本語で発音してみて」と、普段やっていることをむしろやらないように言ったので、かなり大変だったと思います。

HI-D:歌も「歌いすぎないで」「語りかけるように」というディレクションでした。僕はR&Bを歌ってきたのでまた違うアプローチもありますけど、童子-Tさんは日本語の美しさをすごく大事にしてきた人じゃないですか。僕も横で一緒に話しながら進めていましたけど、僕らの世代が言っていることをDef Classの世代が理解して形にするまでは大変だったと思います。でも、その経験でグループの幅はかなり広がったんじゃないかな。

童子-T:俺のなかにはずっと「テクニックと歌心」というテーマがあって。R&B的なテクニックはもちろん格好いいし、“R&Bの鎧”を着ることで強くなる部分もあるけど、そのぶん失うものもある。たとえば竹内まりやさんって、超絶技巧を前面に出すわけじゃないけど、ものすごく歌がうまくて心に響くじゃないですか。究極的にはああいうことなんだろうなと思う。

 これは17、18年前にBENIたちとやっていた頃から同じで。テクニカルなシンガーにもよく「そんなに歌わないで」とディレクションしていました。今回も特にWONとFALにはそう伝えましたね。FALなんかはロックボーカル的なテクニックをかなり持っているので、「今回はそのテクニックを出さないで」と。

――つまり、「歌がすごい」と思わせるより先に、「いい曲だな」と感じてもらえることを大切にしたと。Def Classの皆さんは、こうして完成した「君を忘れない」がリスナーにとってどのような曲になっていってほしいと願っていますか?

WON:僕は、その歌手のことを詳しく知らなくても「この曲めっちゃ刺さるな」「いい曲だな」と思える曲こそ、いろんな人に届くんじゃないかと思っていて。極端な話、この曲だけを好きになってもらっても全然いい。Def Classや僕たちのことを知らない人にも、「この曲いいな」と思ってもらえるような、世代を問わず刺さる曲になってほしいです。

JJ:僕は、今の時代だからこそ意味のある曲だと思っています。この曲をきっかけに、あらためて言葉を大事にすることや、自分たちが今持っている言葉をちゃんと届けることにつながっていけばいいなと。

 「嵐の素顔」をリミックスしていることにも通じますけど、昔あったものの良さを忘れるんじゃなくて、大事に残しながら、今につないでアップデートしていく。そういう意味でも「君を忘れない」というタイトルはすごく象徴的だと思います。

 恋愛に限らず、忘れちゃいけないものがあるからこそ、今を大切にできる。この曲を聴いて、その人にとって大事なものを思い出すきっかけになったら嬉しいですね。Def Classを知らない人にも曲そのものが先に届くくらい、たくさん聴いてもらいたいです。

――ありがとうございます。最後に、「君を忘れない」が収録されるEP『Mellow & Tuff』について教えてください。

JJ:タイトル通り、メロウで切ない部分と、もともとDef Classが持っているタフな部分、その両方を見せるEPになっています。新しく見せる“メロウ”な部分も含めて、Def Classの両面を楽しんでもらえる作品だと思います。

WON:今回は4曲収録されていて、それぞれ違ったDef Classを見せられると思います。たとえば「G.T.A. ~Get The Adrenaline~」では、Kと、プロダンサーでもあるKの実のお姉さんが一緒に振り付けを担当しています。

 「君を忘れない」のようなメロウな曲があれば、その対極にあるような「ACTION」もある。これまでのDef Classらしい魅力、メンバーそれぞれの良さ、新しく見せる一面まで、「MELODY」も含めたこの4曲で、Def Classの“今まで”と“これから”をどちらも楽しんでもらえるEPになっているので、多くの人に楽しんでほしいですね。

■リリース情報
3rd Digital EP『Mellow & Tuff』
配信中
配信リンク:https://defclass.lnk.to/Mellow_Tuff

<収録内容>
01. 君を忘れない
02. G.T.A. ~Get The Adrenaline~
03. ACTION
04. MELODY

■公演情報
『FREEDOM〜ストリートからの逆襲〜』
日時:2026年9月23日(水・祝)OPEN 16:00 / START 17:00
会場:KAWASAKI CLUB CITTA’
チケット:https://mt.tstar.jp/cart/events/58977

■関連リンク
公式サイト:https://defclass.bitfan.id/
X:https://x.com/DefClass_?lang=ja
Instagram:https://www.instagram.com/defclass.official/
TikTok:https://www.tiktok.com/@defclass.official
YouTube:https://www.youtube.com/@DefClass_official/featured

関連記事