LAUSBUBが語る『society|lazy』の二面性 社会との接点と自由な創造性で更新する“これからのポップス”

社会性を持つ“society”と遊び心あふれる“lazy”

——昨年あたりからはタイアップも増え、活動のフィールドも変化していると思います。お二人の中で心境の変化はありましたか?

Rico:ようやく音楽1本でやれるようになって、活動に本腰を入れられるというか。ずっと願っていたことが叶ったという気持ちがありつつ、個人的には結構プレッシャーも感じてました。タイアップ曲は、自分たちと社会とのつながりを作るというところもあるし、「器用にやらないと」みたいな意識が強くなって。でも、今はもう少し素直になったというか、逆に「自分の不器用なところを押し出してみよう」という作り方を選ぶこともあるんです。これは切り替えが必要なところがあるんですが、しっかり構築されたポップスを追い求めることと、まったく別のベクトルで作ることを同時にやっても面白いんじゃないかなと。

Mei:心境的にはすごく気合いが入っているんですけど、「どこに力を入れるか」についても考えるようになりました。「ここは力み過ぎないほうがいいな」ということもあるし、その曲を作る目的だったり、方向性みたいなものを、お互いに確認することを慎重にやるようにしています。

Rico:「そもそも、どんなことを歌いたい?」という話も今回改めてしました。本来はバンドを組んで最初にやるべきことだと思うんですけど、そういう根本的なところから積み上げ直したというか。行きたい方向だったり、見たい景色、どんな人たちに届けたいかもそうだし、「ピザを食べながら聴きたい音楽って何だろうね?」みたいな、自分たちの音楽が聴かれるシチュエーション含めて、LAUSBUBらしさを考え直すタイミングでもありました。

——“LAUSBUBらしさ”の答えは見つかった?

Rico:今回リリースするアルバム『society|lazy』がひとつのアンサーになっていると思います。DISC1の「society」はタイアップ曲が中心で、社会性みたいなものを意識して作っていますね。

 「lazy」(DISC2)は“怠惰”という意味ですけど、もうちょっとラフな感じ、若者の悪ふざけというか、内輪ノリみたいな感覚も含まれているんですよ。もちろん両方ともめちゃくちゃ真剣に情熱を持ってやっているし、どちらも「新しいPOPS」として作れたと思います。どっちにも振り切れるのはLAUSBUBらしさなのかなと。

society | lazy - trailer

——LAUSBUBの両面をわかりやすく提示したアルバムなのかも。

Rico:二つの側面を混ぜないことでより浮き彫りになりました。どちらも全力で楽しめる状況を作り出したと思っています。

Mei:“いたずらっ子”(LAUSBUB)と言ってるわりには、結構マジメにやってきたという感じもあるから。そういう状態が続いてた時期があったんですけど、「もっと遊んでいいよね」という感じが「lazy」に出てると思います。

——今回のアルバムではMeiさんも制作に参加されていますが、二人で作ることでクリエイティビティも広がったのでは?

Rico:そうですね。「私たちはこれが好きなんだ」だけでは限界があるし、自分たち以外の意見が入ってくるほうが音楽が面白くなるんですよ。なので今回のアルバムからMeiちゃんにも制作に参加してもらっていて。ダメ出しをされるたびに「内心、めっちゃ嬉しい」みたいな状態が続いています(笑)。

Mei:(笑)。

Rico:自分が思ってもいないようなことが起きると嬉しいんですよ。

——ダメ出しって、どんな感じなんですか?

Rico:「この音はダサいですね」とか。

Mei:えー! そんな言い方はしてないと思う(笑)。

Rico:(笑)。「もっと思い切ったことをやってみたら」とかですね。

Mei:具体的に手を貸すことはできないんですけど、あえて雑に口出しすることはちょっと意識してました。そのほうが面白くなる気がしていたし、アルバム制作の後半になるにつれて、お互いのアイデアがどんどん出てくるようになって。

Rico:「これがLAUSBUBの作品なんだな。嬉しいな」と感じながら作ってました。共同プロデューサーの網守将平さんの力もすごく大きかったです。ちょっと飛び抜けたことをやると、それを上回るようなアレンジを加えてくれたり、「こういうこともやれるよ」という方向性をダイナミックに示してくれて。

——なるほど。アルバム全体に環境音がふんだんに使われていることも印象的でした。

Rico:ハンディレコーダーを買ったんですよ。「電子音楽かと思ったら、すべてが日常的な物音だった」という音楽も好きだし、電子音と物音の境界みたいなものが自分にはあまりなくて。

 たとえば「ノイズが欲しいな」と思ったら、シンセサイザーで作るのではなくて、マイクをテーブルにこすり付けたり。他にも日常的な音を入れることによって、聴いてくれる人の中で記憶が呼び起こされたり、その人なりのストーリーを見出せたりすることもあるのかなと。大学でもそういう研究をしてたんですよ。

——そうなんですね! 

Rico:はい。「concert」という曲では、マナーの悪い人が缶をパチパチやってて、周りの人に「シー!」って言われるストーリーだったり、デイヴィッド・リンチの映画みたいな場面の切り替わりも作ってるんですけど、そういう要素を入れられたことにも満足してます。「この音はあそこで録ったんだよね」みたいな話もできるし、それが曲への愛着にもつながってるのかなと。

Mei:私もスマホで録音してますね。たとえばレストランで食事してるときだったり、長尺で録るのが好きで。そこから抜き出した音もアルバムに使ったりしてます。

関連記事