[Alexandros]、予想を超える方法で連れ出すまだ見ぬ世界 4人の生き様と“世界一自由な場所”の更新

 [Alexandros]が全国10カ所のライブハウスをまわったツアー『YOU ARE WELCOME TOUR』が幕を閉じた。

 昨年12月に、歴代ドラマー集結も話題となった15周年記念ライブ『[Alexandros] 15th Anniversary VIP PARTY '25』を開催し、バンドの物語をあらためてファンと分かち合った[Alexandros]は、今年4月から6月に『FC TOUR "ACCESS ALL AREA"』を、そして6月から8月に今回のツアー『YOU ARE WELCOME TOUR』を開催。並行してフェスやイベントにも出演するライブ尽くしの日々のなかで、安住よりも更新を求めるロックバンドとしての本能に従い、楽曲やアンサンブルをゼロベースから再構築してきた。ツアーファイナルの東京・Zepp Haneda(TOKYO)公演で、川上洋平(Vo/Gt)がファンへ「次はもっとデカいところで会いましょう!」と投げかけていたように、ここから[Alexandros]は、10月31日、11月1日に開催される『THIS FES ’26 in Sagamihara』へ――いや、この2日間に限らず、さらなる未来へと向かっていく。

 デビューから現在までの16年を彩ってきた楽曲を、時代や作品の垣根を越えて織り交ぜたセットリスト。そこには、それぞれのタイミングで[Alexandros]の動きに乗っかってきてくれたリスナーをごちゃまぜにし、全員楽しませようというバンドの気概があった。なかでも象徴的だったのが、本編ラストに置かれた「ワタリドリ」「超える」「city」の3曲。ここまでハイカロリーなセットリストを組んでおきながら、最後の最後に異なる時代のキラーチューンを立て続けに繰り出し、観客を熱狂させるやんちゃさが最高に[Alexandros]らしかった。また、『ACCESS ALL AREA』で、セットリストから漏れてしまったレア曲の一部は次のツアーで披露すると話していた通り、今回のツアーでは久々に演奏される曲も登場。白井眞輝(Gt)のリフが牽引する「Follow Me」は、ささくれ立った音像でフロアをガンガンと煽り、ダイバー続出の盛り上がりを生み出した。同じくツアーではほとんど披露されてこなかった「In your face」は、精密なビートと肉体的なバンドサウンドが絡み合うアンビエントな音像で、フロアに新鮮な風を呼び込んだ。

川上洋平(Vo/Gt)

 そもそもこの日は、幕開けからしてただならぬ気配に満ちていた。ライブの冒頭を飾ったのは、SE「Burger Queen」がメンバーの登場とともに生演奏に切り替わり、そのまま「For Freedom」へ雪崩れ込むという、これまで幾度となくライブで披露されてきた流れ。ファンのみならず、メンバーにとっても身体に染み付いている鉄板の展開であるはずだが、その音を浴びた瞬間、まったく初めての曲に出くわしたかのような衝撃が走った。続く「JULIUS」も「こんなにパンクな曲だったか?」と思わされたし、「Rise」では、たしかな技術を衝動が凌駕する磯部寛之(Ba/Cho)の弾き倒しっぷりに終始唸らされた。

磯部寛之(Ba/Cho)

 どの曲も、最後まで弾き切る、叩き切る、走り切る。一曲一曲が全身全霊の短距離走のようで、瞬発的なダッシュを何本も重ねるバンドのあり方は、もはやアスリートに近い。とりわけ、リアド偉武(Dr)が叩き切った瞬間にほとばしる気迫に、何度も心臓を掴まれる。ライブ終盤で披露されたドラムソロも素晴らしかった。彼らの演奏は、聴き慣れたはずの楽曲が“いつもの曲”としてリスナーの耳に馴染むことを許さない。むしろ新鮮な刺激とともに、細胞から沸き上がらせてくる。曲間にフロアから上がる歓声も、歓喜や興奮という言葉では足りないほどの凄まじい熱量。バンドとオーディエンスがともにブチ切れているような、殺気立った空気がフロアを満たしていた。「これこそがロックバンドだろう」という矜持に満ちた光景だ。

白井眞輝(Gt)

 そんな空気をさらに加速させたのが、8曲目の「ワンテンポ遅れたMonster ain't dead」だ。猛スピードで駆け抜けながらあらゆるジャンルを吞み込んでいくこの曲は、演奏の難度も当然高い。それでもツアーを走り切ってきた彼らは、一つひとつのフレーズを荒々しい熱量でねじ伏せ、ファイナルにふさわしい姿を見せた。オーディエンスもその演奏に食らいつき、サビでは〈ワンテンポ遅れたMonster ain’t dead〉というシンガロングが起こる。そもそもこの曲は、遅咲きだった[Alexandros]自身のことを歌った曲だ。決してシンガロングしやすい言葉でも曲調でもないのに、オーディエンスは嬉々として声を張り上げ、そのフレーズをフロアいっぱいに響かせる。その光景が痛快であり、なんだか無性に愛おしかった。のちのMCでは川上が、「うるさすぎるくらい(声を)出してくれてありがとう。どこのフェスに行ってもうちらだけうるさい(笑)」と笑いながら、「『ワンテンポ遅れたMonster ain’t dead』なんて、リリース当初より盛り上がってました。みなさんが最高のオーディエンスってことです」と語る場面もあった。

リアド偉武(Dr)

 一方で、「Kill Me If You Can」からシームレスにKasabian「Club Foot」へ繋いだり、The Smashing Pumpkins「1979」を口ずさんでから「Underconstruction」に入ったり、「Kick&Spin」の途中にエミネム「Without Me」のラップをぶち込んだり、好きな曲を好きなように鳴らしているだけ、と言わんばかりの飄々としたムードもあるのが[Alexandros]のライブ。「世界一自由な場所へようこそ! 死ぬまで遊ぼうぜ!」という川上の言葉は、この夜への言葉というより、彼らの生き様そのものを言い表しているように聞こえた。

 ツアーファイナルならではの特別な場面もあった。川上がマイクを向けて、観客のシンガロングとともに始まった「ENDROLL」。この曲では、川上の「あまりにも最高だから、最高のプレゼントを用意してます!」という言葉とともに、SennaRinが登場するサプライズがあった。SennaRinの美しい歌声とバンドのダイナミックなサウンドによるこの日限定のコラボレーションに、観客は歓喜の声を上げた。また、サポートメンバーのROSÉ(Key)と照明スタッフの誕生日が近いことから、「Starrrrrrr」は上モノも照明もド派手な特別バージョンで届けられた。

SennaRin

 そして「ファイナルなのでワンモアソング」と川上が歌い始めたフレーズに、観客も声を重ねる。この日最後に披露されたのは「Adventure」だった。この曲の〈大胆な作戦で/言葉にならないマスタープランで/いつだって僕達は/君を連れて行くんだ〉というフレーズの通り、自由に、貪欲に、自らを更新し続ける[Alexandros]。彼らならきっとまた、私たちの予想を超えるやり方で、まだ見ぬ世界へと連れ出してくれる。そんな確信を残して、『YOU ARE WELCOME TOUR』は幕を閉じた。

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