アソビシステム代表 中川悠介に聞く、KAWAII LAB.大ヒット以降の新たな戦略 海外とデジタル分野でどう動く?
KAWAII LAB.は日本全土、そしてアジアへ
ーー直近ではCUTIE STREETの韓国でのブレイクも話題ですが、KAWAII LAB.としては初のアジア5カ国同時オーディションを開催します。
中川:きゃりー(ぱみゅぱみゅ)や(新しい学校の)リーダーズはもちろん、CUTIE STREETやFRUITS ZIPPERがグローバルでファンを獲得している理由について考えることが多くなっていて。というのも、いわゆるアニメのタイアップソングでブレイクしたわけではないのですが、きゃりーやリーダーズは海外でライブができているんです。それはやっぱり、日本人のクリエイティビィティが好きな人は世界中にいるからだと思いますし、その一角として、ジャパニーズアイドルがあるのかなと。実際、韓国からオーディションに参加してくれる人もいる。そういう実感もありつつ、今のタイミングでアジアに仕掛けていくべきなんじゃないかなと思っています。まだ、方向性については何も決めてはいませんが、どんな子たちが集まってくるか次第で、色々と考えていきたいですね。
ーー実際、CUTIE STREETの韓国進出にあたってはどんなことを感じましたか?
中川:韓国のテレビ局が持っているYouTubeチャンネルの影響力はすごいなと思いました。向こうは、テレビで放送された映像をすぐにYouTubeにアップするのですが、そこから韓国に限らず、インドや北米など想像していなかった地域にまで伝播していくんです。“推しカメラ”などのバリエーションもあって、テレビの放送以上のものをYouTubeで展開する。日本では想像がつかないことで衝撃を覚えましたね。
僕自身そういったファンに向けたサービスはより強化しなければいけないと感じていて、アソビダス(株式会社GENDA、株式会社ミダスキャピタルとの3社で設立した新会社)は自社で推し活のプラットフォームを作ることを目的に設立しました。ユーザー側からすると、サービスごとに異なるIDを作って運用するのはすごく大変だろうと思っていて。一つのIDですべてワンステップでできるように、より便利なプラットフォームを開発したいと考えています。
ーーグローバル展開については、KAWAII LAB.に限らず、ロサンゼルスに「ASOBISYSTEM USA」を設立。英語圏に進出していく未来を見据えているのかと思いますが、世界進出を進める上で大切にしていることは。
中川:アソビシステムでなければできないことを大事にしたいと考えています。僕らが前提としているのはビジネスではなく、まずはアソビシステムらしいクリエイティブ、好きなことをしっかり発信していくこと。そこは海外でも変わらず、根本として持っていたい部分ですね。とはいえ、会社の規模を世界に拡大していくには資金が当然必要になってきます。ブレてはいけない会社の指針を大切にしながらも、そこで生まれたものをどのように利益化していくのか、その両軸の考え方で動いていきたいと考えています。
ーーアジアとアメリカでは文化圏が大きく異なるため、そこでアソビシステムがどんなアプローチをするのか、とても興味があります。
中川:アニメやゲーム、J-POP、食などに限らず、もっと大きな枠組みで「ジャパニーズカルチャーが好き」という人が相当数いるのではないかと、現地に行って感じることが増えていて。特にアジア圏ではその空気感が年々広がっているように思います。僕たちが思っている以上に、ジャパニーズカルチャーは大きな存在感を持っているのかもしれない。
「ASOBISYSTEM USA」での展開もゴールは決まっていないので、実際に物事を進めていきながら組み立ていくことになると思いますが、ただ一つ言えることは、その土地土地に寄り添いながら、アソビシステムのコアの部分を表現していきたい。僕自身、ASOBISYSTEM USAがどうなるのか楽しみなんです。現段階で僕が言うことはすごく抽象的だという自覚があるので、おそらく社員も困ってると思いますが(笑)。
――例えばアメリカ出身のアーティストをアソビシステムがプロデュースすることも将来的にはあり得るのでしょうか。
中川:それはすごく興味があります。もっと言ってしまうと、僕らみたいなオルタナティブな会社は世界中にあると思っていて。そういう人たちでコミュニティを作ったらどうなるんだろう、と想像するんです。言語などではなく、好きなカルチャーを介して繋がれることはあると思いますし、そこでチームを作ったら面白いものが作れるような気がしていて。現地のレーベルやマネージメントとも協力しながら、新しいカルチャーを創っていきたいです。
ーーなるほど。グローバル展開の一方で、国内での新展開も次々と打ち出していますね。KAWAII LAB.に関しては地方にも拠点を作っていくと。地方展開といえば48グループが先達ではありますが、中川さんはどんな構想を持っているのでしょうか?
中川:僕らの場合は、アイドルを目指す子たちを育成するという目的の方が強いです。今は東京の一極集中の時代ではない。特にコロナ禍が明けて以降は、地方にいても取材やラジオの収録はリモートでできますし、どこにいても発信ができる時代になってきていて。地方にいながらもアイドルになれる時代が来たというか、昔のように「東京に行くことが夢」という時代ではないと思うので、まずは全国のアイドルになりたい子たちをその地域ごとにしっかり集めることが大事だと考えています。グループを急いで作ろうとは考えてはいないので、素養のある子をしっかりと見定めて、ちゃんとメンバーが揃ったところで作っていきたいとですね。
グローバル展開の先に見据える企業の未来像
ーー2026年は国内外において新たな計画が始まり、将来にむけて「種まき」が進んでいる状況だと思います。20周年以降、アソビシステムをどんな企業にしていきたいと考えていますか?
中川:やはりグローバル企業を目指したいです。『matsuri '25』や『Zipangu』といった日本発の海外フェスを見ていても、日本のエンタメには可能性しかないと思いました。まずは国内出張と同じような感覚で、ロサンゼルスやロンドン、メキシコなど世界各地に行けるような会社にしたい。
ーーそのために「ASOBISYSTEM USA」やKAWAII LAB.の地方展開のように、拠点を国内外に作っていくと。
中川:はい。国内の活動は従来通り行いながら、これからのビジネスの戦場はグローバルにあるべきだなと思っているので、「今日はロンドン、明後日は沖縄」みたいなことを当たり前にできている会社でありたいなと。グローバルに向けて布石は現在進行形で打ってはいますが、まだまだ足りないと感じています。
ーー中川さんはアソビシステム代表でありつつ、同時に日本の音楽業界を海外に向けて開いていこう、活性化させていこうという思いも強いのではないでしょうか。CEIPA(一般社団法人カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会)の理事職を含めて色々な活動もされていますが、それもまた重要な仕事であると?
中川:そうですね。僕は創業初期から海外に行く大切さを感じていましたし、オールジャパンでIPを創出したり、日本の文化を発信するべきという考えはずっと持っていて、実際に「MOSHI MOSHI NIPPON」のようなプロジェクトを立ち上げるなど、自分たちなりに取り組んできました。そういう積み重ねの中でCEIPAが立ち上がり、「MUSIC AWARDS JAPAN」を通して日本の音楽の素晴らしさを世界に届けられたのはすごくいい流れだと感じています。日本の中ではライバルかもしれませんが、ある面では一丸となって世界のマーケットを狙っていきたいと考えています。
僕はコロナ禍の期間に色々なものを見て、オリジナル・ジャパニーズ・スタイルを追求しようと考えました。きゃりーぱみゅぱみゅや新しい学校のリーダーズ、Ado、YOASOBIなど、日本独自の音楽シーンから生まれてきたアーティストから、いずれK-POPのように海外を席巻するような人たちが出てくるのではないかと思います。
ーー日本の音楽業界では特にコロナ禍以降、若い世代の活躍が目立ってきていて、中川さんと同世代のリーダーが台頭してきたように感じます。
中川:レーベルと事務所、大企業とスタートアップ、そういう垣根はなくなってきたと感じますし、新しい流れが来ているのは間違いないと思います。ただ、僕はもともとエンタメやテレビが好きで、ミリオンヒットが連発していた当時の事務所やレーベルのすごさを肌で知っています。そういうものを作り上げてきた上の世代の方々には勝てないところがあると感じているので、そういった先輩の作ってきたよい文化はちゃんと守っていきながら、自分たちが今できることを模索している現在だと考えます。
ーーそんなアソビシステムの現在が詰まったイベント『ASOBIEXPO 2026』が8月18日に開催されます。今年はアーティストやアイドルに加えて、俳優やクリエイター、モデル、インフルエンサーと所属しているほぼすべての人が出演します。
中川:来年は会社の20周年ということもあるので、今のアソビシステムのコンテンツをしっかり見せたいという意味を込めて、全員集合することにしました。アソビシステムは、ファンの方々をはじめ、テレビなどのメディア、クライアント企業の方々など、見る人の立場によって捉え方が変わる会社だと思うんです。みなさんからアソビシステムがどう見えるのか、どんな反応をいただけるのか、すごくワクワクしています。
ーー8月には『ASOBIEXPO 2026』のほか、『東京KAWAII夏遊』のような街を使ったイベントがあったり、きゃりーさんのフェス『PAMYU FES ~Kyary Pamyu Pamyu 15th Anniversary ~』も行われます。そういった多種多様な催しができるのもアソビシステムならではの強みだと感じます。
中川:体験系のコンテンツやクリエイティブに触れられる展示など、いわゆるライブイベント以外の場所を作ることは、僕らの将来のためにも大事だと思っています。原宿という街を、泊まって遊べるテーマパークにしたいと昔考えていたこともあるのですが、積み上げてきたノウハウを持って、海外に行くのも面白そうだなと。日本でも海外でもアソビシステムにしかできないことを、これから先も考えていきたいですね。
■公演情報
『ASOBISYSTEM 19th Anniversary ASOBIEXPO 2026』
日程:2026年8月18日(火)
- 14:00 無料エリア 開場 (フード / ブースなど)
- 16:00 メインアリーナ(有料) 開場
- 17:30 メインアリーナ(有料) 開演
会場:TOYOTA ARENA TOKYO(東京都江東区青海一丁目3番1号)
https://asobiexpo.com/
■関連リンク
アソビシステム X:https://x.com/asobisystem
中川悠介 X:https://x.com/ASOBISYSTEMarmy