香取慎吾×井ノ原快彦、40年にわたる交流から令和に重なる“青春” 『高校生家族』での共演が意味するもの
香取慎吾の主演映画『高校生家族』に、井ノ原快彦が出演することが発表された。『高校生家族』は『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていた同名漫画の実写映画化。高校生の長男だけでなく、両親、中学生の長女、そして飼い猫が同時に同じ高校に入学するという、異色のホームコメディだ。
香取が扮するのは、父親の家谷一郎。劇中、「ずっと高校生に憧れてた。父さん中卒でな」(※1)というセリフがある。幼いころから芸能界で仕事を続けてきた香取にとっては、「僕も中卒なんです。仕事ばかりしてきたので、高校生への憧れがずっとありました」と共鳴する部分も大きいという。憧れていた高校生としての青春を謳歌する。それが、フィクションの世界であっても実現する喜びが、「涙涙の高校生役」という言葉からもじんわり伝わってくる。
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そんな本作に井ノ原が出演するというのも、また胸を熱くさせるものがある。香取と井ノ原は同い年で、それぞれSMAPとV6として長年同じ事務所で活動してきた。だが意外にも、映画で本格的に芝居を交わすのは本作がほぼ初めてだという。
井ノ原はかつて、レギュラーラジオ『V6 Next Generation』(現『S.I.N NEXT GENERATION』/JFN系)で、結成されたばかりのSMAPとの対面を振り返ったことがあった。当時、同学年の香取とは学校の授業がどこまで進んでいるのかという話をしたそうだ。1988年当初、ふたりはまだ名の知られていない少年だった。
その後、香取はSMAP、井ノ原はV6として国民的な人気を誇るようになる。そんな多忙な日々を送るなかでも、ふたりの交流は続いた。香取が「ふたりでよく遊んでいました。イノッチの実家に行ったり」と懐かしめば、井ノ原も、香取からパソコンで描いた絵をUSBでもらい、自らキャンバスに印刷して残しているというエピソードを明かしたことも。
それから約40年。SMAPもV6もグループとしての活動に区切りをつけ、香取と井ノ原を取り巻く環境も大きく変化した。それでも、表立って仕事で交わる機会が少なくなっても、ふたりの交流まで途絶えたわけではなかった。2025年には、香取が司会を務める『欽ちゃん&香取慎吾の第100回全日本仮装大賞』(日本テレビ系)に、20th Centuryとして坂本昌行、長野博とともに一般参加したことも大きな話題になった。
この4人で写真撮るのはじめてかも。
ガキの頃からの付き合いです。
そしてオーディションから参加した仮装大賞。無事に終わりました。
残念ながら賞は取れませんでしたが、
合格できました!
やったぜー!!#どーぞトニセン#トニセン#香取慎吾#仮装大賞 pic.twitter.com/MoPN0y46Zn
— 20th Century (@20thCentury_SIN) January 13, 2025
その際、井ノ原が口にした「共演したかった!」という言葉は印象的だった。冗談めいた明るさのあるひと言だったが、少年時代から互いを知り、それぞれ同じ時代を走り続けながら、仕事ではなかなか深く交わらないまま年月を重ねてきたふたりだと思うと、少し違った響きも帯びてくる。そんな香取と井ノ原が、50歳を目前にして“青春”を描く映画でようやく芝居を交わすのだから、あらためて彼らの不思議な巡り合わせを感じずにはいられない。
井ノ原が演じるのは、一郎が高校入学以前に勤めていた会社の元同僚・青山達也。一郎が会社を辞めたことをもったいなく思いながら、自身は今もそこで奮闘している人物だ。同じ場所からキャリアを始めながら、その後はそれぞれ違う道を歩んできた香取と井ノ原。彼らの歩みが、一郎と達也の境遇にどこか重なって見えるのも、今回のキャスティングの面白さだ。
もちろん、ふたりの人生と役柄をそのまま重ねることはできない。それでも、大人として社会のなかを歩み続ける達也の目に、今になって高校生活を謳歌する一郎はどう映るのか。その存在は、一郎が高校生になるというギャグ的な面白さだけにとどまらず、本作にもうひとつの奥行きを与えてくれそうだ。
“青春”とは、10代だけに許された時間ではないのかもしれない。それまでとは違う場所へ踏み出してみること。長く知っている相手の、まだ知らなかった一面に出会うこと。いくつになっても、そこから新しい時間は始まっていくのだ。
井ノ原は今回、香取について「長年付き合いはありますが、いざ対峙すると温かいお芝居に改めて感動し、発見も多かったです」(※2)と語っている。約40年近くの仲の相手にも、今になってまだ“発見”がある。そして井ノ原自身も、「僕自身も勝手に青春できた気がしています」と今回の撮影を振り返った。
高校生活に憧れ続けてきた香取と、そんな香取と初めて映画で本格的に芝居を交わし、自らも青春を感じたという井ノ原。憧れていた青春は、時を経て、形を変えながら巡ってくる。『高校生家族』は、少年時代から互いを知るふたりが昔へ戻るための作品ではなく、長い時間を歩いてきた今だからこそ、互いの新しい顔に出会う作品になるのかもしれない。
「共演したかった」と笑ったその先で始まった、香取慎吾と井ノ原快彦の新しい時間。その“青春”を、映画のなかでとくと味わいたい。
※1:https://www.kokosei-kazoku-movie.jp/
※2:https://realsound.jp/movie/2026/08/post-2489045.html