4人が鳴らせばFaulieu.になる! 培ったライブ力を示した『1st TOUR “MiX”』最大キャパワンマンを振り返る

 メジャー1stアルバム『MiX』を携えて開催された『Faulieu. Major 1st TOUR “MiX”』。4月からスタートした全国7都市を巡る『-PHASE01-』、海を渡り台北・HANASPACEでライブを行った『-PHASE02-』を経て、8月1日『-PHASE03-』を自己最大キャパとなる恵比寿・LIQUIDROOMにて開催したFaulieu.。3カ月という短い期間に濃厚な体験を積んできたバンドのライブ力が存分に発揮される結果となった。

 メンバー全員が作詞曲を手掛け、多彩なレパートリーを持つFaulieu.が、より楽曲の個性を明快にするために“SWEET & BITTER”という両極のテーマのもとに制作したアルバム『MiX』。その意図がライブのセットリストにも反映され、ソリッドなマイナーチューンとキュートさやポジティブさが押し出されたナンバーそれぞれで構成される一連の流れに説得力が増した今回。自ずとライブバンドとしての実力も証明された印象だ。

 アルバムのロゴに続き、楽曲にまつわる映像が流れるオープニングにフロアの期待値が高まるなか、バンドの新しいイメージを定着させたトラッドとポップを掛け合わせた制服風の衣装でひとりずつ登場し、お立ち台からこの日に賭ける熱意をアピール。スターターはアルバム同様「蒼い春」で、〈今、愛を唄うから〉というCanaco(Vo/Gt)のハイトーンの歌い出しが決まり、Faulieu.のテーマを思わせる。爽快に突き抜ける8ビートは次の「YOLO!!!!」に繋がり、フロアのクラップも自然に起こり、Canacoが「バースデーガール、ギターソロ!」と紹介するとこの日誕生日を迎えたKaho(Gt)が、先頭に立ってフロアを率いるように痛快なソロを披露。旅立ちの興奮に満ちた2曲に続き、コミカルでラップっぽい歌い回しが楽しい「初恋モーメント」へ。キャッチーさのなかにMimori(Dr)のブラストビート、Ayano(Ba)やKahoのソロも挟み、スキルフルな側面も見せる。

 序盤からすでに汗びっしょりだというCanacoをはじめ、いい意味でペース配分お構いなしの4人の告白に場がさらに和んだところで、『MiX』の“SWEET”な側面を担う「CANDY POP」と「Dream game」を立て続けにドロップ。「CANDY POP」ではタオル回しやCanacoのマシュマロ投げなど、ファンが参加できる要素が満載。「Dream game」ではオートチューンをかけたボーカルがボカロ曲のような新鮮な聴感を伴って響き、ただ甘いだけではないバリエーション豊かなFauliue.の“SWEET”を表現した。メンバーそれぞれのアレンジもライブでより際立ち、特にハードで切れ味のいいギターだけでなく、繊細に曲を際立たせるKahoのオブリガートには耳を惹かれた。

 そしてここからの6曲が今回のセットリストでも特に挑戦的。『MiX』収録曲以外の楽曲も含め、ソリッドかつマイナーチューンでテンション高く畳み掛ける“BITTER”ゾーンが「愛煩い」からスタート。Ayanoの5弦ベースが作り出すロートーンをはじめ、ヘヴィネスと不穏なムードを醸し出し、複雑に展開するこの曲の完成度は1年前に比べると格段の進化を見せ、〈私の人生を生きるのは/誰かじゃない 私しかいないでしょ?〉というリリックの切実さも強く伝わった。時間が巻き戻るようなSEを冒頭に配し、スリリングに始まる「秘密ノ美学」のスパイ映画のようなイントロからして凄まじい集中力。背景の映像も〈真っ赤なルージュ〉などリリックにリンクしたアニメーションが展開し、一編の映画を観るような演出に演奏が負けていない。ドラマチックなトーンをKahoのヘヴィなギターのイントロに繋げた「下の名前で呼ばないで」も、グッとライブチューンとして進化している。Canacoもギターを携え、厚みのあるギターサウンド、タイトなビートで攻めるこの曲に赤と青のレーザーが似合う。ダイナミックになった演奏と演出がハマりにハマった場面だ。

 「さらにまだアップチューンで畳み掛けるの?」と、驚かされたのが「LOOP」のタフさ。Ayanoの歪み系のベースサウンドが不穏な空気を醸し出し、Mimoriのビートがせき立てる。かと思えば2Aではリズムをハーフにして迫る念のようなものがより強調される。ヘヴィなのに鋭角でエクストリームな展開に、個人的には9mm Parabellum Bulletにも似た構成力をも感じた演奏だった。スリリングな演奏は16ビートの「Check mate!!」に繋がり、Canacoの言葉数の多いトーキングボーカル調のフロウ、随所にキメのある構成がフロアをヒートアップさせる。“BITTER”ゾーンは続くアッパーな四つ打ちチューン「85」まで6曲を畳みかけたのだった。

 「皆さん、息できてますか?」とMimoriが問いかけたのも納得の“BITTER”ゾーンを駆け抜けた4人は打って変わって、この日のライブに備えた2日間のオフの過ごし方を緩いトーンで話し始める。髪を切ったり染めたり、整体でコンディションを整えたりはもちろん、個人練習やランニング……と、示し合わせたわけでもないのに4人の生真面目さにメンバー同士笑い合う姿が彼女たちらしいというべきか。

 SWEETとBITTERそれぞれのゾーンを明快に展開したあとは、生き方や出会いと別れなどを描くFaulieu.流のアンセムが続く。ストリングスのSEがスケールを広げる「Hikari」はCanacoのアコギのストロークやメンバーのコーラスも相まって背中を押される感覚になり、シンプルなラブバラード「For you」が、ライブならではの低音の迫力やギターのドライブ感でドラマチックに響く。スローナンバーを説得力を持って聴かせるアンサンブルの強さを実感させるセクションだ。

 「Voyage」という旅をテーマにした楽曲の前にCanacoが今回のツアーを振り返り、台北会場の大きさや緊張していたことを正直に話し、4人で作曲したトータル33曲のなかから10曲を厳選した『MiX』の多彩な曲調は決してバラバラなわけではなく、Faulieu.が演奏しパッケージすれば、それはFaulieu.になるという発見があったと話す。アルバム制作とツアーを経て掴んだ自信を「あの日のあなたに、あの日の私に」伝えるという、これまでとまた違う意味がこもった「Voyage」はメンバーからフロアの一人ひとりに向けられた感触があった。ステージが進むにつれて自信を獲得している印象のCanacoのボーカルは続く「さよなら」で、前向きな別れと自立を示すリリックで力を増し、本編ラストは「紡ぐ」が、この日を起点にまた始まる、そんな強い意志を示す。スキルや細かい構成より、演奏してフロアと感情を交歓するおおらかな4人の姿がそこにあった。

 アンコールではこの日のために持ってきたという新曲「movin'on」を初披露。アニメタイアップソングということだけ伝えられた。さらに恒例になった12月の企画ライブ『Faulieu. Presents “Merci 2026”』の開催も告知。東京と大阪でガラッとセットリストを変える趣向で、ここにも意気込みを感じる。そして「まだ『MiX』から未披露曲がありますよね?」とCanacoがフロアに問いかけると、アルバムのなかでも新境地を示したポップなロッキンソウル「ラブレター」を披露し、可能性をさらに広げる。

 全力でこの日に懸けてきた4人が最後に演奏したのは「SPICA」。それぞれの心のなかで燃える“何か”を大切に生きていこうと思わせてくれる自然体が心地好い。楽曲同士の繋がりやライブ全体の流れの良さに大いなる成長を見せ、4人が鳴らせばそれがFaulieu.になる、メンバーの確信が共有されたツアーファイナルだった。

■公演情報
『Faulieu. Presents “Merci 2026”』
2026年12月6日(日)大阪・アメリカ村 BEYOND
2026年12月12日(土)東京・unravel tokyo
詳細:https://faulieu.com/information/detail/?id=232

Faulieu. オフィシャルサイト:https://faulieu.com/
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