嵐 全史(後編):“この5人”を守るための最後の決断 失われなかった普通の感覚、人々に寄り添い続ける――27年の希望
活動終了という決断から最後のコンサートツアーへ
こうして2021年から、嵐は活動休止に入った。ただ芸能活動を休止した大野以外のメンバーのソロ活動は変わらず続いた。たとえば、二宮は2021年4月にYouTubeチャンネル(現「よにのちゃんねる」)を開設して瞬く間に数百万人のチャンネル登録者数を記録した。また2023年には、松本が『どうする家康』(NHK総合)で初の大河ドラマ主演を務めた。
その一方で、芸能事務所としてのジャニーズ事務所は消滅。従来のマネージメント業務は新会社であるSTARTO ENTERTAINMENTに引き継がれた。嵐は同社とエージェント契約を結び、2024年に「株式会社嵐」を設立した。
そして、活動休止から約4年半が経った2025年5月に嵐からの新たな発表があった。その内容は、2026年春に約7年ぶりとなるコンサートツアーを開催し、同ツアーが終了する同年5月末をもって嵐は活動を終了するというものだった。
私たちから、お伝えしたいことがございます。
活動休止してから、およそ4年半が経ちました。
私たちは休止前最後の1年、コロナの影響で皆さんの前でパフォーマンスをすることは叶いませんでした。… pic.twitter.com/VvVXAIwRVl— ARASHI (@arashi5official) May 6, 2025
発表されたコメントでは、この間も話し合いを重ね、コロナ禍でできなかったコンサートを通じてファンに直接会える場、直接感謝を伝えられる場を持ち、それをもって活動を終了したいという結論に達した旨の説明があった。
2026年1月には新曲「Five」もリリース。曲を聴き、MVを観ても“この5人で”歩んできた旅路に思いを馳せつつ、未来への希望も感じられるような楽曲である。
世間の一部には『紅白』をはじめとする音楽番組への出演を期待する声もあったが、結局それはなかった。活動の再開は、あくまでファンに直接感謝の思いを伝えるためという姿勢を貫いたということだろう。
そして2026年3月13日の大和ハウス プレミストドームでの公演を皮切りに、最後のツアー『ARASHI LIVE TOUR 2026 「We are ARASHI」』はスタートした。5月24日17時59分30秒からは、民放5局で一斉に今回のツアーのラストを飾るコンサートの生配信があることを知らせるCMが流れ、話題を呼んだ。その5月31日の東京ドーム公演で、嵐は大団円を迎える。
時代が生んだ“国民的アイドル”
最後に少しだけ、嵐と時代の関係について触れさせてもらいたい。
嵐が飛躍し、“国民的アイドル”と呼ぶに相応しい存在となった2000年代後半から2010年代は、人々が生きづらさを抱えることが増えた時代でもある。
1990年代初頭のバブル崩壊以降経済の停滞は続き、2000年代になると格差も広がり始めた。また2011年の東日本大震災など大きな災害もあった。そうしたことが積み重なり、社会全体の行方にも不透明さが増した。
こうして漠然とした不安が世のなかに広がるなか、嵐は私たちに寄り添い続けた。“解散”ではなく“活動終了”というどこか希望を残した表現を選んだところからも、嵐らしさが伝わってくる。
嵐というグループには、普通の感覚があった。華やかな芸能の世界に身を置きながら普通の感覚を忘れずにいるのは、とても難しいことだろう。だが、キラキラした華やかさを見せてくれながらも、私たちと同じ空気を吸って生きている仲間であると自然に感じさせてくれたところに嵐の唯一無二の魅力はあった。彼らはまさに時代が生んだ“国民的アイドル”だった。
※1:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/77305/2
※2:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000296.000010908.html