乃木坂46であるという“誇り”の継承ーー東京ドームに刻んだ14回目の『バスラ』、歴史が導く次なる物語

 2012年2月22日に1stシングル『ぐるぐるカーテン』にてメジャーデビューした乃木坂46が、毎年2月から春先にかけて行なっているのが周年記念ライブ『BIRTHDAY LIVE』(以下、『バスラ』)だ。昨年は、5月にグループにとって初の会場となる東京・味の素スタジアムで2日間にわたり開催されたが(※1)、今年は5月19日~21日の3日間、東京ドームにて開催。実は東京ドームでの『バスラ』は今回が初めてであり、これまで2017年、2021年、2023年、2024年に各2DAYS公演を行なってきた乃木坂46にとって初の東京ドーム3DAYS開催となる。土日など週末ではなく“平日”に開催するというハードルの高さこそあったものの、連日見切れ席まで解放する盛況ぶりで、3日間で約14万人を動員した。

 そうした数々のトピックが用意された中、乃木坂46は今年の『バスラ』で何を見せたのだろう。本稿では5月20日のDAY2公演を軸に、14回目の『バスラ』を振り返っていく(最終日の『梅澤美波 卒業コンサート』については、別記事にてたっぷり執筆する予定だ)。

重なる記憶と新たな息吹、多彩なテーマで綴った14年の軌跡

 今年は、1月に発売された約7年ぶりのオリジナルアルバム『My respect』を携え、2月20日~23日の4日間にわたり『Coupling Collection 2022-2025』および『5th ALBUM MEMORIAL LIVE 「My respect」』を開催(※2)。ここで2022年以降のシングル表題曲やカップリング曲&ユニット曲、そして期別曲がたっぷり披露されたこともあり、『乃木坂46 14th YEAR BIRTHDAY LIVE』(以下、『14thバスラ』)がどのような内容になるのかが個人的にも気になっていた。上記のアルバムライブが『バスラ』にも匹敵するような非常に見応えのある内容だったこと、そのアルバムライブから3カ月と短いスパンで行われるグループ全体ライブだけに、披露される楽曲の被りやライブのテーマなどでどこまで差別化するのかも懸念事項だった。

 しかし、そんな筆者の心配をよそに、乃木坂46はここまで紡いできた歴史を大切にしながら、現在進行形のグループの在り方を見事に提示してくれた。

 まず、今年の『バスラ』の興味深いポイントのひとつが、昨年加入したばかりの6期生がストーリーテラーとなり、14年におよぶ乃木坂46の歴史をテーマごとに紹介し、そのテーマにちなんだ楽曲を次々に紹介していくというもの。DAY1もDAY2も冒頭から異なる選曲、異なる演出が用意され、DAY1は1曲目「他人のそら似」で大型トロッコやフロートなどを使用、DAY2の1曲目「制服のマネキン」では眩いレーザー演出を用いてストイックに見せるなど、“これぞ乃木坂46”という王道アイドル感を提示してみせる。

 そして最初のMCを挟んだあと、スクリーンにはチケットを手にミニシアターに集まる6期生の姿が映し出される。そこには、この春から活動を再開させた小津玲奈の姿も見つけることができた(残念ながら、増田三莉音が休養に入ってしまったため6期生11人が揃うことはなかったが)。映像が終わるとステージに、DAY1は川端晃菜、DAY2は森平麗心が姿を現し、ここからのブロックが何をテーマにした選曲になっているのかを伝えていく。

 DAY1は「衣装」をテーマにしたブロックからスタートし、1期生がデビュー時に着ていた懐かしい衣装を身に纏った6期生が「ぐるぐるカーテン」を披露。その後も、グループの歴史を築いてきた名曲たちを、それらを彩った衣装を着たメンバーがパフォーマンスしていく。以降も「アンダー」や「バディ(Wセンター)」「テンション」などのテーマが用意され、各パートの冒頭では海邉朱莉や矢田萌華、長嶋凛桜がナレーションを務めた。

 DAY2では森平のナレーションにより「ダンス」に特化したブロックから始まることが告げられると、菅原咲月を中心に5期生&6期生で構成された布陣で「Wilderness world」をパフォーマンス。活動初期こそダンスでしっかり見せるイメージが薄かった乃木坂46だが、このブロックで披露された「命は美しい」「Actually...」「インフルエンサー」では、時代とともに技術や表現力が進化し続けていることをアピールしてみせた。

 鈴木佑捺による導入から「歌声」の魅力をフィーチャーしたブロックでは、柴田柚菜や吉田綾乃クリスティー、筒井あやめ、五百城茉央、そして海邉の5人で「誰よりそばにいたい」を優しく歌い紡ぎ、伊藤理々杏や賀喜遥香、鈴木、森平は「私のために 誰かのために」で美しい歌声を重ねる。また、林瑠奈、奥田いろは、中西アルノといった歌唱力に定評のある3人は「Rewindあの日」を披露し、その選曲含めオーディエンスを濃厚な歌の世界へと引き込んでいく。

 小津のナレーションから始まったのは「かわいさ」にスポットを当てたブロック。ここではゲームアプリ『乃木恋』の世界観を踏襲し、池田瑛紗を中心に寸劇を交えながら進行していく。その様子は「かわいさ」以上に、さまざまなバラエティ番組やテレビドラマ、舞台などで磨き上げてきたメンバーの個性や技術が光るものとなっており、特に一ノ瀬美空、小川彩、瀬戸口心月、矢田からなる、お米の被り物姿の“新・白米様軍団”による「白米様」、クマノミやタコ、シュノーケルを付けたカマキリの着ぐるみ姿の筒井、愛宕心響、黒見明香が池田と歌い踊る「魚たちのLOVE SONG」は、可愛さを通り越しシュールさすらにじませていた。これも1期生から脈々と受け継がれてきた、乃木坂46の“伝統”なのは間違いない。

 そして、大越ひなのの紹介から始まった「ファン」をテーマにしたブロックでは、「I see...」や「裸足でSummer」「不道徳な夏」「真夏日よ」と、ライブを通じてファンのコールやシンガロングが加わり成長してきた楽曲たちを連発。乃木坂46のライブはこうして、メンバーとファンが一丸となって作り上げ、進化させてきたものだという事実を再認識することができた。

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