中野雅之(THE SPELLBOUND)×WEIRDCORE 特別対談 『攻殻機動隊』や90年代レイヴカルチャーを軸に語る、AI以降の世界観
THE SPELLBOUND × BOOM BOOM SATELLITES 『攻殻機動隊』で得た“答え”
ライブではTHE SPELLBOUND(中野雅之と小林祐介)の2人のほか、サポートメンバーとしてドラマーの福田洋子がステージ上に姿を現した。この日のイベントにあわせたスペシャルな編成ということで、先述のようにVJをWEIRDCOREが担当。轟音と鮮やかなビジュアルが交差する圧巻のパフォーマンスが繰り広げられた。
1曲目に披露されたのは「DIG THE NEW BREED」。この日は全編を通して『攻殻機動隊』の映像やシーケンスがサンプリングされたが、WEIRDCOREは恐らく使いどころをかなり慎重に選んでいた。1曲目の段階ではリアルタイムで生成されるエフェクトとバンドの映像をミックスし、スクリーンに映し出す。そのかたわら、ボコーダーに声を吹き込む小林はサイボーグ的でありながらどこまでもプリミティブだった。
まさに肉体的な魅力はひとときも損なわれることなく、ステージ上の3人は激しさを増してゆく。序盤のミニマルな映像と、むき出しの演奏は端正な統一感を醸し出していた。
それゆえに『攻殻機動隊』のビジュアルサンプリングが大きく映える。3曲目の「DIVE FOR YOU」では草薙素子が光学迷彩を使って高層ビルから下降する有名なシーンが使われたが、バンドのグルーヴも相まって凄まじい効果を生んでいた。
インプロ的に鳴らされる各楽器の音色の分厚さは3人であることを忘れさせ、我々の体を揺らした。特に中野はギターに意識を割きながらシンセサイザーやPCソフトウェアも駆使し、八面六臂の活躍ぶり。幾重にも重なる音のレイヤーを束ねる姿は、大いに迫力があった。
4曲目の「BROKEN MIRROR」では再び緩急が強調され、徐々にテンポアップする福田の4ビートがフロアの温度を上げてゆく。続く「BACK ON MY FEET」では定番のTB-303的ベースラインでアシッド感を演出。ここでもWEIRDCOREの映像にはキレがあり、まさに彼が憧れたアジアン・サイバーパンク感を全面に出してきた。
「BACK ON MY FEET」はライブも含めてこれまで何度も聴いているが、今回のコラボは新たな魅力を引き出しているようにさえ感じられた。90年代香港を想起させる鮮やかなネオンは、轟音レイヴサウンドをハードボイルドなSF世界へと連れてゆく。
そして何といっても特筆すべきは「KICK IT OUT」。バンドにとってはもちろん、WEIRDCOREも全力を傾けていた。ドロップパートでは、「模倣 Moho」のモチーフとなったカラフルな“笑い男”が連射され、オーディエンスと線対象な構図になる。
これを意図していたかは定かではないが、笑い男と我々が鏡映しのような状態になることで、アノニマスに主体性が帯びる。匿名であることに変わりはないが、途端にオーディエンスがスクリーンへ引っ張り上げられたようでスリリングである。今回のコラボプロジェクトのハイライトのひとつと言って差し支えないだろう。両者のクリエイティビティが結実した瞬間だった。
最後は「DRESS LIKE AN ANGEL」。THE SPELLBOUND結成以降も披露されたことのある曲だが、筆者は10年以上前に観たCOUNTDOWN JAPANの様子を思い出していた。ポールダンサーがフィジカルなパフォーマンスを見せ、その身体性を表現していたあの頃。中野がインタビューで言っていた「置き換えられないもの」の一片を、このライブでも体感できたような気がした。
THE SPELLBOUND × BOOM BOOM SATELLITESとWEIRDCOREの共演は、『攻殻機動隊』を媒介としながらそれぞれの現在地を指し示すような内容だった。そしてさながら、先のインタビューで得たヒントの答え合わせのようにも思われた。
■HAC module 「模倣 Moho」商品案内
https://technobyobu.jp/hac/
商品名:Ghost in the Shell STAND ALONE COMPLEX 模倣 Moho
商品番号 : HAC-03-GIS-MH
アーティスト : Paul Nicholson / WEIRDCORE
発売日:2026年1月30日
サイズ: 縦:300mm × 横:300mm
重量: 約395g
材質: 錫箔(平押し)紙
価格: 132,000円(税込)
※攻殻機動隊展で販売中
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商品名:Ghost in the Shell STAND ALONE COMPLEX EX 模倣 Moho Extra
商品番号 : HAC-03-GIS-MHーEX、HAC-03-GIS-MHーEX2
アーティスト : Paul Nicholson / WEIRDCORE
発売日:2026年1月30日
サイズ:縦 400mm × 横 1200mm
重量:約1.4kg
材質:
・通常版(EX):錫箔(大箔散らし)
・特別仕様(EX2 写真組み込み版):錫箔(平押し)
真贋判定:MiWAKERU®
販売数量:
・通常版(EX):Edition 8
・特別仕様(EX2 写真組み込み版):Edition 8(受注制作)
※通常盤は攻殻機動隊展で販売中。
※EX2特別仕様版は、ご購入者ご本人の写真を、モザイクを構成する要素の一部として組み込むことが可能です。受注制作となり、希少性の高いオリジナル作品としてお届けします。
■『攻殻機動隊展 Ghost and the Shell』開催概要<開催終了>
会期: 2026年1月30日(金) - 2026年4月5日(日)
会場: TOKYO NODE GALLERY A/B/C
東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45F
公式サイト:https://www.tokyonode.jp/sp/exhibition-ghostintheshell/
■プロフィール
・中野雅之
1997年ヨーロッパでデビューした中野雅之、川島道行からなるロックバンドBOOM BOOM SATELLITESのメンバー。
ヨーロッパでリリースされた12インチシングルをきっかけに、UK音楽誌「Melody Maker」は<ケミカル・ブラザーズ、プロディジー以来の衝撃!>と報じ、「Joyride」がNME誌のSingle of the Weekも獲得した日本屈指のクリエイターである。
グラストベリー出演や、Underworld、Mobyらとの欧米ツアーを経てライブバンドとしても評価を高め、日本国内のフェスティバルではヘッドライナーを務める。04年の話題となった映画『APPLESEED』の音楽を担当し、更なる進化を続け05年に発表したアルバム「FULL OF ELEVATING PLEASURES」が全米リリースされCMJチャート(カレッジチャート)上位にランクイン。
その後、リュック・ベッソン監督の映画「YAMAKASI」やアカデミー賞受賞作品「The Dark Knight」のメイン・シーンで楽曲「ScatterinʻMonkey」が起用される。
2016年10月に川島道行が逝去し、最後の音源となる「LAY YOUR HANDS ON ME」を発表後プロデューサーとしての活動を始動。MAN WITH A MISSION、DAOKO、miletをはじめ、日本のポップシーンで活躍するアーティストのプロデュースや、歌声合成ソフトウェアSynthesizer VのキャラクターボイスPOPY、ROSEのプロデュース等、多岐に渡るサウンドプロデュースを手掛ける。
2020年にBOOM BOOM SATELLITES第二章となるロックバンドTHE SPELLBOUNDを始め、現在に至るまでプロデューサーとロックバンドのメンバーとして、エレクトロニックとロックの要素を昇華した唯一無二の音楽を作り続けている。
・WEIRDCORE
WIREDCORE(ウィアードコア)はロンドンを拠点とするビジュアルアーティストで、音楽シーンの最先端を担うアーティストの映像を数多く手掛ける。ライブビジュアル、フィルム、プログラミングなどの最新技術を自在に操り、三次元の多感覚体験を創出。その美学は長年活動するロンドンのアンダーグラウンド・シーンに根ざしており、現在はデジタルを通じて現代の潜在意識を探求し、世界中の観客を魅了しています。
彼の実験的なアートは、ロンドンのバービカン美術館や北京での個展『ORIENT FLUX』、新国立劇場のアンドロイド・オペラ『スーパー・エンジェルズ』など、世界各地の美術館や劇場で披露されてきました。また、エイフェックス・ツインとのNFT作品『/afx¥/weirdcore¥』でも注目を集め、デジタル資産分野の先駆者としても知られています。
エイフェックス・ツインとの長年の共同制作に加え、レディオヘッド、テーム・インパラ、アルカ、M.I.Aらトップアーティストと共演。2024年にはH&MのキャンペーンやチャーリーXCXのプロジェクト、2025年にはトム・ヨークの映像制作や宇多田ヒカルのビデオのリミックスを手掛けるなど、その革新的な活動は今も勢いが止まらない。