Ms.OOJAはなぜ演歌に挑戦した? “演じる歌”から改めて学んだ歌心と日本語の美しさ
表現と演技の違いーーMs.OOJAがぶつかった“演歌”の壁
ーーこう見ると、演歌の作詞作曲家の豪華さに驚きます。
Ms.OOJA:プロの作詞作曲家が書いている時代ですから、すごく豪華ですよね。今回で言うと、吉幾三さんだけはシンガーソングライターで自分で書かれているんですよね。それ以外の方は歌う人、作詞する人、作曲する人が全部分かれていて、どの先生に書いてもらうかが重要な時代。『流しのOOJA』で歌った曲を作詞作曲されている方もいらっしゃるし、面白いですよね。
ーーそして、今回のアレンジもかなり素敵だなと感じました。どういった考えのもとで作っていったのでしょうか。
Ms.OOJA:今回も『流しのOOJA』とほぼ同じ布陣でアレンジをお願いしているのですが、彼らは私のオリジナル曲もデビュー当時からずっと一緒に制作しているプロデューサーの方々なんですね。なので、私はほぼ何も言っていないです。向こうも「Ms.OOJAだったら絶対こうやって歌ってくれるだろう」という信頼のもとで成り立っているチームなので、でき上がってきたものが素晴らしくて。「オシャレすぎるからもうちょっと戻してほしい」など細かい指示はしましたが、大枠は自然と「ザ・Ms.OOJA」というアレンジになっていました。
ーーさすがです! そうしてでき上がった11曲ですが、制作をする上で1番スムーズだった曲、1番大変だった曲を教えてください。
Ms.OOJA:スムーズだったのはほぼ全曲(笑)。1番大変だったのは「冬隣」かな。今もまだ悩んでいますから。本当に難しすぎて……! ちあきなおみさんはものすごいボーカリストなので、「私はえらいところに手を出してしまった」とすら思ったくらい(笑)。1回レコーディングをしたのですが納得いかなくて、久々に録り直しもしました。他の曲は3~4回歌ったら終わったのですが、「冬隣」だけはそうはいかなかったですね。でも、久々に録り直す前の音源を聴いたら「いいじゃん」と思うんです。自由な楽曲だから、どれもいいんですよ。選択肢がありすぎて悩んでいる感じですね。多分、私の中でリスペクトが大きいし、憧れもあったので、余計難しくなっていたんだと思います。
ーー自由度が高い楽曲となると、完成形はどうやって決めるのですか?
Ms.OOJA:決められないんですよ。だからすごく悩んで。しかも、悩んでいるのは私だけなんです。周りは「いいじゃん。何がダメなの?」と言うのですが、私は納得がいかない。ここまでこだわりを見せることはあまりないのですが、珍しくこだわっている曲になりました。でも、そういう楽曲に出会えたことは幸せですよね。15年歌手活動をしてある程度のことはできるようになりましたが、現在もこうしてまた壁にぶち当たれるって、すごいところにたどり着いたんだな、と。
ーーそして、2月のお披露目ライブを拝見して、感情が前面に出すぎていない点がすごく素敵だなと感じました。そういう意識はされていたのでしょうか。
Ms.OOJA:していました。それに、私がいくら感情を込めたとしてもご本家の抑揚にはならないと思うんです。それならもっとスムースに聴いてもらおうと気をつけていました。演歌って、「演じる」「歌」なんですね。歌、表情、仕草、声の色合いなどで演じて歌っているのが演歌で、その「演じる」という部分は今回すごく勉強になりました。やったことがない表現、歌い方に気づかせてもらったというか。一方で私が今まで積み重ねてきたJ-POPの系譜で歌うことで、スムースに聴こえて演歌の違った一面を見せられるんじゃないかなとも感じていて。
ーー感情が前面に出すぎていないのに、説得力があって。どうやって歌っているのだろうと思っていました。
Ms.OOJA:「曲を届ける」というところにフォーカスして、淡々と歌ったんですよね。先ほど「気が抜けない」とお話ししましたが、気が抜けないのは抑揚をつけずに歌いたいからでもあって。そうしないと私の中で嫌だったんですよね。
ーー今ふと思ったのですが、「表現する」と「演じる」の違いはどこにあるんでしょうね。
Ms.OOJA:そうですよね。過去、感情的に歌えばいいと思っていた時期があったのですが、それだと伝わらないんです。常に冷静でなければ伝わらなくて、技法として感情的に歌っているように見せることが大事なんだと気がついて。そこに生き様が勝手に出て、リスナーにキャッチしてもらうということが表現なのかなと思います。対して、「演じる」はもっと計画的というか、意図的になるものなのかな、と。「表現の究極」というか。とはいえトゥーマッチになってしまわないようにしなくちゃいけない。よく、俳優さんも「演じすぎると嘘くさくなる」と言っていたりしますよね。それに近いのかな。
ーー楽曲を届けるための最低限の表現はするけど、演歌として歌詞の主人公になりきるまではしない、という線引きをしているような印象もあります。
Ms.OOJA:そうかもしれません。オリジナル曲を歌うのと同じように、冷静に熱く歌うという気持ちはあのライブの時に思っていたのかも。解釈するのはお客さんなので、そこに過剰な演出を乗せることはやめようと思っていました。過剰に演じてしまうと、私が歌う良さが出ないのかなと思っていて。「洗練された歌い方」というんですかね。演歌って、過剰に演じるとトゥーマッチになって良さが出ない。日本舞踊でも歌舞伎でも、洗練された表現の裏には長年の鍛錬があるじゃないですか。演歌もそれと同じ。素晴らしい才能と長年の努力、そして歌われている方の人間的な魅力がありますから。今回カバーさせてもらった楽曲は、一番洗練されている音楽だと思います。削ぎ落とされたものだからこそ難しいし、取ってつけたものでは成り立たないという。
ーーなるほど。そんなお披露目ライブの手応えはいかがでしたか?
Ms.OOJA:すごく良かったと思います。演歌の強みを届けられたと思いますし、一気に演歌の世界観になるじゃないですか。それをすごく感じたかな。
ーーとはいえ「演歌=昔の音楽」ではなく、新しさも感じました。
Ms.OOJA:それはすごく嬉しいです。伝統芸能をやっていらっしゃる方のインタビューで、何百年と続く歌舞伎や盆栽という文化も、古いだけでは成り立たないと読んだことがあって。常にアップデートしないと残っていかない、だから常に新しいものなんだという。私が今回演歌でしたのはそのアップデートなんですよね。伝統的なものだけど、新しいものとして世に出す。演歌をジャンルレスに発信するという思いでした。
ーー歌舞伎で『ONE PIECE』を題材にしたりしますが、ああいうものとベクトル的には近いかもしれないですね。
Ms.OOJA:似てますね。常にアップデートをするのって、すごくいいなと感じていて。演歌って年齢が上がれば聴くようになる、というわけではないと思うんです。私も40代になって演歌を聴くようになったかと言われたら聴いていないですし、50代も60代も馴染みがない。だからこそ、長い目で見た時に私が一石を投じて演歌カバーをしたことで、演歌に対する皆さんの印象が変わればいいなと思っています。
ーー演歌に親しみのない世代には、どう届けたいですか?
Ms.OOJA:実はこのアルバム、BGMにもめちゃくちゃいいんですよ。居酒屋さんとか。イージーリスニングができるアルバムになっているので、気軽に聴きながら楽しんでほしいです。それと、若い世代にとってはすごく新鮮な音楽になると思うんですよね。こんなクールな音楽があるんだという発見になったら嬉しいし、カラオケでもガンガン歌ってほしいです。演歌って、めちゃくちゃ気持ちいいから。
ーー若い世代はみんな歌もうまいですからね。
Ms.OOJA:そうなの。今流行っている楽曲もめっちゃ難しいじゃないですか。そういう曲が多い中で、「歌っていて楽しい」という発見をしてもらえたらいいなと思います。TikTokの「歌ってみた」で流行ってほしい(笑)。日本にはこういうクールな音楽が昔からあるんだよと、誇りに思ってほしいですね。
ーー間違いないです。
Ms.OOJA:しかも、若い世代って音楽を多様的に聴いているじゃないですか。掘り下げて聴く方も多くて、知識や情報をたくさん持っていて、受け入れる柔軟性もある。きっと演歌の良さに気がつく人がたくさんいると思うんです。私が若い時は、「私たちの世代が聴く音楽はこれ」と決まっていたんです。それ以外の音楽を聴くのはダサいという風潮もあってもったいなかったんですよね。でも今はもっと自由に音楽を選べるので、このアルバムでもっと音楽を聴く幅が広がって、原点に戻って日本の音楽の素晴らしさを見つめ直してくれたら嬉しいですね。
ーーちなみに、ライブの最後に客席から「エンターテインメントだね」という声が挙がっていましたが、Ms.OOJAさん自身はこのアルバムを「エンターテインメント」と見ているのか、「キャリアの通過点の一つ」だと思われているのか、どちらなのでしょうか。
Ms.OOJA:両方ですね。キャリアの通過点として今だからできる挑戦であり、Ms.OOJAをアップデートしていくための作品でもあると思っていて。その反面、いろんなエンターテインメントが飽和状態になっている今、演歌をカバーしたら楽しいんじゃないかという思いもあります。
ーーありがとうございます。では最後に。この先チャレンジするジャンルが決まっていたり、何か構想があったりするのでしょうか。
Ms.OOJA:冒頭で90年代カバーという話をしていましたが、それはいつかやってみたいんですよね。小室哲哉さんの楽曲が流行ったのは90年代なのですが、実は93年以降なんです。それより前は大黒摩季さん、ZARD、WANDSなどビーイング時代になるんですね。その絶妙な80年代後半から93年くらいまでの楽曲のカバーをやってみたくて。めちゃめちゃニッチな部分を表現してみたいなとは思っています。ただ、この『Ms.ENKA~OOJAの演歌』の流れ次第ですよね。もしかすると、『Ms.ENKA2』が出るかもしれないですから。まずは、みなさんの反応を楽しみにしながら、先を考えたいと思っています。
■Ms.OOJA 15周年特設サイト
https://msooja.jp/page/15th/
■リリース情報
『Ms.ENKA〜OOJA の演歌〜』
2026年4月22日(水)リリース
購入予約リンク:https://msooja.lnk.to/MSENKA_CD
<通常盤>
価格:3,520円(税込)
品番:UMCK-1826(CD Only)
<CD>(曲順未定)※通常盤・UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤共通
・愛燦燦 / 美空ひばり(1986)
・雨の慕情 / 八代亜紀(1980)
・北の宿から / 都はるみ(1975)
・氷雨 / 日野美歌(1982)
・人生いろいろ / 島倉千代子(1987)
・冬隣 / ちあきなおみ(1988)
・冬のリヴィエラ / 森進一(1982)
・べサメ・ムーチョ / 桂銀淑(1940)
・無言坂 / 香西かおり(1993)
・雪國 / 吉幾三(1986)
・夢芝居 / 梅沢富美男(1982)
<UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤>
価格:13,200円(税込)
品番:PDCS-194
2CD+Blu-ray+GOODS
仕様:見開きLPサイズジャケット仕様
※商品は数量限定。
UNIVERSAL MUSIC STORE 限定盤 Disc-2 ライブ CD
2025.8.8(fri)Billboard Live Summer Tour 2025 @Billboard Live YOKOHAMA
1. 夏をあきらめて
2. 恋人も濡れる街角
3. Last Night
4. Purple Haze
5. 優しい雨
6. まだ知らないストーリー
7. Ti Amo
8. 最後の雨
9. 雨の慕情
10. 30
11. 40
12. Be...
13. 最終回
UNIVERSAL MUSIC STORE 限定盤 Disc-3 Blu-ray
2025.6.22(sun)流しのOOJA 総集編 TOUR Final @明治座公演
1.異邦人
2.ルビーの指輪
3.ワインレッドの心
4.恋人も濡れる街角
5.真夜中のドア
6.プラスティック・ラブ
7.みずいろの雨
8.勝手にしやがれ
9.六本木純情派
10.飾りじゃないのよ涙は
11.フライディ・チャイナタウン
12.Woman
13.恋におちて
14.つぐない
15.駅
16.木枯らしに抱かれて
17.メモリーグラス
18.ダンシング・オールナイト
19.青春の影
20.恋
21.瑠璃色の地球
22.さよならの向う側
<UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤 GOODS>
・Ms.OOJA オリジナルアクリルスタンド
・Ms.ENKA オリジナルバンダナ
■イベント情報
Ms.OOJA『Ms.ENKA〜OOJAの演歌〜』リリース記念全国フリーライブ
“Ms.ENKA 〜OOJAの演歌〜をあなたの街に歌いに行きますツアー!”
2026年4月25日(土)関西某所
2026年4月26日(日)関西某所
2026年5月2日(土)関西某所
※全国20カ所にてフリーライブを開催予定
■ライブ情報
『Ms.OOJA 明治座公演2026』
会場:東京明治座
日時:2026年6月7日(日)
開場:17:00/開演:18:00
『Ms.OOJA OFFICIAL FANCLUB EVENT 〜おじゃファミ会 vol.5〜』
<全曲リクエストライブ>
来場の方々からMs.OOJAがステージ上で抽選をして、当選された方がMs.OOJAに歌って欲しい曲を(Ms.OOJA名義でリリースしている曲に限る。)リクエスト頂き、その場で歌う。おじゃファミ会Liveだけの特別企画です。
2025年12月7日(日) 愛知・THE BOTTOM LINE
2025年12/14日(日)神奈川・横浜赤レンガホール(横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール)
w/エアトリ presents 毎日がクリスマス 2025
2026年1月11日(日)北海道・ジャスマックプラザ ザナドゥ
2026年1月24日(日)福岡・ROOMS
2026年1月25日(日)大阪・UMEDA CLUB QUATTRO
詳細:https://msooja.jp
■関連リンク
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