=LOVE、横浜スタジアム公演に溢れた愛が意味するもの アイドルとファンを繋ぐ“イコール”という原点

 愛に満ちた空間。アンコールのMCで、メンバーの野口衣織が口にしていた「両思い」という言葉に、プロデューサーの指原莉乃が=LOVEというグループ名に込めた思いを想起するほど、会場は幸福感に満ち溢れていた。

 4月18日、19日に横浜スタジアムで開催された『=LOVE 8周年ツアー「=LOVE 8th ANNIVERSARY PREMIUM TOUR」FINAL in 横浜スタジアム』。昨年9月6日のデビュー日から始まった周年ツアーのツアーファイナルとなる2日間には計7万人のファンが集結した。本記事では、2日目の19日公演をレポートする。

 横浜スタジアムは、=LOVEにとって特別で縁深い会場だ。今回がグループ初の野外スタジアム公演であり、昨年6月に『推せ推せ!YOKOHAMA☆IDOL SERIES 2025』でイベント出演し、横浜DeNAベイスターズファンの瀧脇笙古がセレモニアルピッチで夢を叶えた場所。そして、今から7年前の2019年4月28日、まだHKT48に所属していた指原莉乃の卒業コンサートが行われたのも、この横浜スタジアムだった。当時デビュー2年目、=LOVEのメンバーの姿もそこにはあった。かつての映像が一瞬”サブリミナル”されたあと、現在のメンバーがスタンド席に立つ様子とともにアカペラでの「青春”サブリミナル”」のワンフレーズ、髙松瞳がメンバーの名前を呼び、「Overture」が流れ始めるという粋な演出からライブは幕を開ける。

 周年ツアーの延長にはあるものの、前回の大阪城ホール公演から約4カ月が経ってのライブということもあり、セットリストを比べると全くの別物と言っていい内容となっている。「ラブソングに襲われる」「超特急逃走中」といった初めてライブに訪れるファンに向けたキャッチーで鉄板な楽曲が前半に並ぶなかで、会場に驚きの声が上がったのが「虹の素」だった。佐々木舞香と野口によるグループ初のユニット曲で、期せずしてか4月18日放送の「アナザースカイ」(日本テレビ系)でふたりの思い出の曲として紹介されたのがこの曲。番組のなかで佐々木は野口との関係性について「背中を預けながら歌える剣士のような感じ」と話していたが、“汗”と“涙”をキーワードにしたふたりのステージからは、地道な努力を重ねてきたこれまでの日々が今の“虹”に繋がっていることを想像させた。続く、シリアスな曲調に、コンテンポラリーな表現が合わさった佐々木センターの「誰にもバレずに」、そして杉山勝彦とoni作曲の「モラトリアム」ではセンターを飾る諸橋沙夏のペンライトカラーである緑でスタジアムが一色になる。今の=LOVEのパブリックイメージにあるであろう“青春”“かわいい”“ダーク”なだけではない、センチメンタルな儚さをこの3曲でしっかりと打ち出していた。

 本編中盤の「呪って呪って」からは生バンドをバックにしたステージとなり、「劇薬中毒」からはさらにストリングスが加わった編成で、本編ラストとなる「とくべチュ、して」までを駆け抜けていく。「呪って呪って」では野口がウインクに舌出しでファンを悩殺。ウサギのフード付きの衣装、高貴な椅子、何本も立ち上がる火柱と、パフォーマンスはもちろん、ステージ全体の絵力とスタンド席まで伝わってくる特効の熱に圧倒される。野口と佐々木がダブルセンターを務める「劇薬中毒」の真の見せ場はDメロにこそある。大場花菜、齋藤樹愛羅、佐々木、と諸橋のハモリに、大谷映美里、音嶋莉沙、野口が情熱的に歌い繋いでいくパートは、歌唱面でのレベルの高さ、8年間での成長をあらためて実感させた。ヘヴィメタル調の「いらない ツインテール」とストリングスの相性も抜群。間奏がしっかりアレンジされていたのも素晴らしかった。

 そして、特筆すべきは「探せ ダイヤモンドリリー」だろう。大谷の「言いたいことがあるんでしょ?」を合図に、ファンの“ガチ恋口上”が響くのがライブでは恒例となっているが、3万5000人という人数だけでなく、そこに一人ひとりの熱量も加わることで、まるで“塊”のような巨大なコールが形成されていく。それは=LOVEにとって原点とも言える、ファンとの関係においていつまでも変わらないもの。メンバー全員がファンにマイクを預け、イヤモニを外し涙ぐむ姿、ファンの合唱を聞いたあと、幸せそうにステージに集まりギュッと身体を寄せ合う光景に、何か空気が変わった不思議な感覚を筆者は覚えた。

 そこからはファンから“国歌”とも呼ばれるアンセム「=LOVE」に、打ち上がる花火をバックにした本編ラストの「とくべチュ、して」、10色のダイヤモンドがあしらわれた大きなティアラがスクリーンに映し出された「絶対アイドル辞めないで」といったキラーチューンが次々と披露されていく。得も言われぬ幸福感の正体――それを言語化しようとメモ帳を手にペンを握っていたとき、聴こえてきたのがダブルアンコールで2度目の歌唱となった『青春”サブリミナル”』の〈「さっきまでと違うもの」/その答えは「=LOVE」〉という一節だった。

 新生活が始まる4月。期待と同時に不安や悩みも抱くこの季節に、山本杏奈は「今日のことを思い出して笑顔になってほしい」とファンに呼びかけていた。アイドルとは、ファンを笑顔にする存在。同時にペンライトの光で、声の枯れるようなコールと歌声で、ファンが愛を届けることでメンバーもまた笑顔になっていた。それは、イコールな関係。たとえば、「青春”サブリミナル”」のアウトロで、大谷が花道からメインステージに戻れるか……戻れた! というような些細なことも微笑ましく思える、そんなランニングハイに近い幸せな空気に、スタジアム全体が包まれていた気がした。指原は=LOVEというグループ名に「アイドルとはファンに愛されなければいけない。そしてアイドルという仕事も自分が愛さなければいけない。」という思いを込めているが、まさにファンとの両思いの関係とメンバーのアイドルとしての喜びが今回のライブには詰まっていた。

 「アナザースカイ」でメンバーの口から吐露されているように、=LOVEのこれまでの8年間は決して順風満帆な道のりではなかった。だからこそ、今に奢ることなく、目の前にいるファンを抱きしめる。6月20日、21日にMUFGスタジアム(国立競技場)での公演を控える=LOVEが横浜スタジアムで見せたのは特別な景色であり、原点に立ち返った愛の溢れる光景だった。

<セットリスト>
M1. 青春”サブリミナル”
M2. ラブソングに襲われる
M3. 超特急逃走中
M4. ナツマトぺ
M5. お姫様の作り方
M6. Sweetest girl
M7. 推しのいる世界
M8. 「君と私の歌」
M9. 「ドライブ デート 都内」
M10. Oh!Darling
M11. 虹の素
M12. 誰にもバレずに
M13. モラトリアム
M14. 呪って呪って
M15. Junkies
M16. 内緒バナシ
M17. ヒロインズ
M18. 劇薬中毒
M19. いらない ツインテール
M20. 仲直りシュークリーム
M21. この空がトリガー
M22. 夏祭り恋慕う
M23. 探せ ダイヤモンドリリー
M24. =LOVE
M25. とくべチュ、して
EN1. Want you!Want you!
EN2. 木漏れ日メゾフォルテ
EN3. 「部活中に目が合うなって思ってたんだ」
EN4. 絶対アイドル辞めないで
WEN1. 青春”サブリミナル”

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