「3月9日」という人生の“戻れる場所”――レミオロメン再始動と、かつての少年たちが綴る15年目の記憶

15年の歳月を経て交差する人生、大人になった彼らが紡ぐ新たな物語

 あの高校生バンドの“その後”が語られるニュース映像は、高校生から社会を知る大人に成長した15年という時間のなかで、それぞれに物語があったことを感じさせた。ドラム担当だった黒田康之氏は、現在は音楽とは関係ない仕事に就きながらバンド活動を続けているというが、ほかの2人は音楽からはすでに離れていた。ギターボーカル担当だったジョー氏は、卒業後はバンドに夢を見て上京したが、コロナ禍に突入して思うような活動ができず、結果としてアーティスト活動を諦めざるを得なかった。ベース担当だった内田尚之氏も現在は音楽からは身を引いており、この再会の日に久しぶりにベースに触れたのだという。そんな3人の人生が、15年の月日を経て、あの体育館のステージで再び「3月9日」という楽曲でつながった。レミオロメンのメンバーたちが活動休止後にそれぞれの道を歩んでいたのと同じく、高校卒業後のこの3人にも人生の“節目”は何度も訪れたのだろう。15年の時を経て大人になったぶん、彼らの演奏は落ち着いた深みを感じさせるものとなり、「3月9日」という歌にまた新たな物語が書き加えられていたような気がした。

レミオロメン - 3月9日

 「3月9日」という楽曲が、多くの人の門出や旅立ちに長く寄り添う曲であること。その理由と本質とを、この3人の再会ドキュメンタリーは図らずも示唆しているように思えた。どれだけ別々の道を歩んでいても、時に人は“一曲”で時間を飛び越えて瞬時に思いを重ねることができる。“15年前”と“現在”の「3月9日」、それはまるで違う場所でありながら、逆にいつでも戻れる場所として変わらずある場所のような、そんな不思議な感覚をこの楽曲は宿しているのだ、と。普遍なるものとは、そういうものだとあらためて思う。

 再始動後のレミオロメンが披露する「3月9日」にも、そんな感慨を受け取った。今年1月に公開した同曲のスタジオライブ映像や、先日公開された「THE FIRST TAKE」での演奏などもそうだ。年を経て、演者もリスナーもより多くの経験や感情を積み重ねるたび、この楽曲は何度も人生に語りかけるものとなる。また15年後、「3月9日」はどんなふうに歌われ、聴かれているのか。できれば多くの人が幸福な気持ちでこの曲を口ずさんでいるといいなと思う。あたたかく過去を慈しみ、未来に静かな希望を抱くように。

Reunion Studio Live 3月9日
レミオロメン - 3月9日 / THE FIRST TAKE with 晴れ風ACTION

※1:https://www.youtube.com/watch?v=-qBW5PSlYhU
※2:https://www.youtube.com/watch?v=-tTTqv8A9P8

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