Nape、3カ月連続リリースが証明する“確信”の正体 WATARUとISSEIが独自の音楽的ルーツと野望を語る
ヒリヒリとした質感のロックを令和時代に更新していく2ピースバンド、Nape。ガレージロックの荒々しさとハードロック/オルタナティブの文脈、さらにはR&Bの感性を取り込みながら、独自の進化を遂げてきた刺激的なロックサウンド。2026年1月より、毎月リリースされた3カ月連続配信シングル「DENGEKI」、「THE MONSTER」、「OIKAZE」というアクションには、単なる勢いではない“確信”が存在する。WATARU(Vo/Dr)とISSEI(Gt)との対話から浮かび上がるのは、音楽的衝動と冷静な構築力、その両輪で駆動する現在進行形のロックバンド像だ。Napeはどこからやってきたのか、そしてどこへ向かっていくのかーーその核心へと迫ってみた。(ふくりゅう)
Napeという名に込めた覚悟、2ピースが解き放つガレージの熱量
――まず、Napeというバンドはどうやって結成されたのか教えていただけますか?
WATARU:ISSEIとは中学・高校が一緒なんですけど、高3の文化祭の時に3ピースを組んでいて、その時に初めて“Nape”という名前をオーディション用につけました。学内オーディションがあったので「名前が必要だね」って。その後、大学に入って別のバンドをやったり、ひとりで曲を作ったりしながら、2024年にまた集まって本格的にスタートしました。
――Napeという独特なバンド名には、どんな意味を込められましたか?
WATARU:正直なところ、最初は見た目でかっこいいワードを選ぼうとしていたんですけど、いろいろ調べていくうちに、Napeが「うなじ」という意味だと知って。うなじって身体の中で急所なんですが、「こいつらがいなくなったら、ロックは死ぬな」みたいな、そんな意味合いでとらえています。
――高校の学園祭ではどんな楽曲を演奏していましたか?
WATARU:高校の時はカバー曲ばかりやっていて、当時の曲は全部覚えていますね。THE BLUE HEARTSの「TRAIN-TRAIN」をやって、あとはRADWIMPSなどもやっていました。
ISSEI:当時は映画『君の名は。』が全盛期だった頃で。
WATARU:「スパークル」と「前前前世」をメドレーでやったりね。でも、結構パンクな感じというか、わりと今のスタイルに近い感じでやっていました。その時は4曲やったんですけど、ゴリゴリしていた感じでめっちゃ盛り上がりました。
――そのゴリゴリ感は、もともとあったものなんですか?
ISSEI:そうですね、結構あったと思います。
WATARU:あったよね。
――ロックなガレージ感というか?
WATARU:そうですね。自分はガレージロックが好きで、それをバンド内に布教しました。Royal Bloodっていう2人組のバンドがすごく好きで、「やべえやつらがいるんだよ!」みたいな感じで。ISSEIはハードロック系が好きだったよね。
ISSEI:うん、ハード系とかメタルとかが好きでしたね。当時は、MuseとかRoyal Bloodとかも好きで。あと、もともとGreen Dayが好きでよくカバーしていました。そんな文脈があったうえで、RADWIMPSとか「TRAIN-TRAIN」をやったらこうなるよね、みたいな。そんな化学反応を楽しんでいました。
――なるほど。では続いて、お互いを紹介しあってもらってもいいですか?
WATARU:それは照れますね(笑)。なんて言いますか、性格は安心感があるというか。自分は結構せっかちなほうなんですけど、ISSEIはわりとどっしりしているかな。おっとりもしてるし、バランスがいいなって思っています。プレイに関しては、めっちゃ歌心があるんですよ。もともと高校の吹奏楽部でベースやコントラバスを弾いていたりした経験もあってか、ギタープレイにもそれが出ている感じがする。フレーズ選びとかね。ボーカル目線だとそう感じます。
――ISSEIさんから見て、WATARUさんはどんな人ですか?
ISSEI:いろんな面があると思うんですけど、何よりも常にいろんな情報を持ってきてくれるんですよ。たとえば、僕が知らなかった曲とか。いつそれを掘ってるんだろうと思うくらい、かなりディープかつ広いんです。たくさんのライブ映像を観ていて、Napeにいいところを取り入れるためにアイデアを練ってくれています。それがバンドの原動力になっている。あとは、やっぱり声がいいですよね。一声聴いて「WATARUだな」って思う唯一無二の声を持っているので、それをどう演奏で引き立たせるかを考えたりもします。
WATARU:この人褒め上手で鳥肌立ちますね(笑)。
ゲームから始まった楽器体験、『FUJI ROCK』でのThe Killersとの邂逅
――あはは(笑)。ISSEIさんの楽器体験は、高校の吹奏楽から?
ISSEI:一番最初は、中2でギターを始めたんです。家にめちゃくちゃ重い父親のレスポールがあって弾いていました。『ギターヒーロー』っていうギターコントローラーのゲームにもハマり、最初はUSBでパソコンと繋いでタブ譜で音ゲー感覚で練習していました。ただ、ギターが重すぎて肩を壊しちゃって(笑)。鉄の塊みたいなんですよ。そこから、ちゃんと自分でバンドをやりたいと思って一番軽いギターを買ってもらって、中2からバンドを始めました。高校では吹奏楽部に入って真剣に音楽をやり始めましたね。
――2人の出会いは高校から?
WATARU:中高一貫だったので、当時すれ違ってはいたのかな。存在は認識していたけど、お互い「誰だ、こいつ?」みたいな感じだったと思います(笑)。すでに別のバンドを組んでいたISSEIのバンドがある状態で、俺は別のバンドを組んでいて、校内に2つバンドがあるみたいな。ちょっとしたライバル関係みたいな感じでしたね。
――いいですねえ。WATARUさんの楽器体験はいつ頃から?
WATARU:ドラムを中3から始めました。当時は『太鼓の達人』をゲームセンターでやっていて、マイバチを作ったタイミングで「これ、ドラムもできんじゃない?」みたいになって。そのタイミングでちょうど友達からバンドに誘ってもらいました。
――今はTHE・ロックな音楽をやっていますが、ふたりともゲームから始まったのも時代を感じさせますね。ちなみに、音楽好きな側面は、どんなところから広がっていきましたか?
WATARU:自分の場合は、最初にQueenが好きになったんです。幼稚園に入る前くらいから聴いていて、幼稚園の送迎バスの中で「We Will Rock You」を歌っていたらしくて音頭を取っていたらしくて。でも、この曲って運転手しかわからないですよね(笑)。で、周りのみんなが「We Will Rock You」を覚えて歌い出すという(笑)。
――それはすごい。親の影響もあったり?
WATARU:親の影響ですね。家でQueenとかThe Beatlesが流れていて。当時、ドラマの主題歌にQueenの楽曲が起用されて流行っていた時期だったので、めちゃめちゃ聴いてましたね。
――そこからブリティッシュロックへの道が広がっていったと。
WATARU:そうですね。でも、中2くらいまではQueen一筋みたいな人間でした。そのあとにいろんなきっかけがあって、00年代の音楽や90年代の音楽とかを聴き始めたり。そのタイミングでサブスクが出てきたので、いろんなバンドを聴いてみようと思ったんです。そしたら、NirvanaやOasis、Foo Fightersにハマっていきました。
――ネットがあるからこそいろいろ掘りやすくて、興味さえあれば自分の軸で探し当てられるのが楽しかったのかもしれないですね。
WATARU:そうですね。同時にバンドもやって、オリジナル曲も自らGarageBandで作っていたんです。よりいいものを作りたいと思っていたので、自分から掘りにいくことが多かったです。「このアーティストはどんな感じなんだろう?」とか「このアルバム、すごく評判がいいから聴いてみよう!」みたいな感じで。そこから、高2でBon Iverにハマったり、そんな感じの体験をしています。
――おもしろいですねえ。さらに言えば、ファッションやビジュアルにもこだわりがありそうですよね?
WATARU:たしかに。そこは俺が神経質に考えているかもしれません。そんなこだわりを持つバンドがやっぱり好きなので。「ロックバンドは見た目が○割」みたいな本はないですけど(笑)、そこがクールじゃないと個人的にはあまり聴く気が起こらないんですよ。
――なるほど。
WATARU:やっぱりQueenも、そこの美学を貫いているじゃないですか。強烈な体験としてあったのは、高1の時にtwenty one pilotsが流行っていて、ビジュアル面のこだわりが半端ないなと感じたんです。そこにすごく共感したというか。当時、The 1975とかも出てきていましたし、ビジュアルも含めたパッケージで完成されているバンドが多くて、影響を受けているんだと思います。
――よくわかります。ちなみに、2024年の『FUJI ROCK FESTIVAL』でThe Killersが出演したGREEN STAGEへ、WATARUさんが飛び入りされた事件についても、改めてお伺いできますか?
WATARU:自分はThe Killersのガチファンなんです。ドラムでの飛び入りは、海外ではよくある演出なので「イイ感じに来日が盛り上がったらいいな!」くらいの感じで思っていたら、めっちゃ反響があって。正直、驚きでした。
ISSEI:僕も会場にいて、最前列でふたりで観ていたんですが、WATARUが英語で「ドラムを叩かせて!」というボードを持っていたんです。ライブ途中、友達からLINEの通知がくるようになって、「バズってるよ!」みたいな。