SITUASIONが新体制で高めた表現の強度 5人で駆け抜けた全国ツアー、新作EPに表れた変化に迫る
杏優、羽柴愛実、蒼井輝菜の3人に、大月華琳と風間花音が加わり、昨年9月に新体制として再始動したSITUASION。situationist(状況派)という思想に着想を得て、“新しい状況を構築する”ことをコンセプトに掲げる彼女たちは、ライブという場で演者と観客が一体となって生まれる、何にも支配されない“状況”そのものを表現の核に据えてきた。 SITUASIONの魅力は、一言で言えば“他にないことをやっている”という一点に尽きるのかもしれない。鋭くエッジの効いた楽曲や高密度なパフォーマンス。いわゆるアイドルイベントの文脈だけでは収まりきらない異質さにある。
新体制初の全国ツアー『SITUASION TOUR 2025 “KANKEI”』を完走し、各地で新たな出会いと手応えを積み重ね、ツアーの過程ではソロ曲のお披露目や既存曲のアレンジバージョンを披露するなど、グループとしての武器も増加。3月4日にリリースされたフルアルバム『PALE IN FIRE』からの先行6曲を収めたEP『GIRL WITH NOTHING, BUT EVERYTHING』では、彼女たちらしさを更新しながら、さらに先のフルアルバムへと繋がる表現も提示している。
リアルサウンド初登場となる今回は、メンバー5人にインタビュー。新体制初の全国ツアーを振り返りながら、メンバー間の変化、ライブパフォーマンスの作り方、そして新作EPに込めた感覚までをじっくり聞いた。唯一無二のグループであり続けるために、彼女たちがいま何を考え、どこを目指しているのか。その“現在地”に触れていきたい。(川崎龍也)
新体制のSITUASIONが示した個性 全国ツアーで深まった5人の関係
――リアルサウンド初登場ということで、改めてSITUASIONがどんなグループなのか、特徴や強みを教えてください。
杏優:新体制になってからは特に、ほかのアイドルさんが誰もやらないような”SITUASIONにしかできない最先端の楽曲”を武器にしているグループになりました。そこにパフォーマンスの強さもあるので、ライブアイドルとしての魅力もすごくあるし、今あるアイドルとはまた別の“SITUASION”を見せられているんじゃないかなと思います。
――その新体制になってから半年以上が経ち、初の全国ツアー『SITUASION TOUR 2025 “KANKEI”』も完走しました。皆さんにとって、どんなツアーになりましたか?
羽柴愛実(以下、羽柴):今回は初めて行く土地がすごく多かったんです。今まで東京にライブを観に来られなかった方が、初めてSITUASIONのライブを観られて喜んでくれていたのがすごく印象的でした。新潟や石川とか、今まで知ってはいたけど観たことはなかったという方が来てくださって。ちゃんと全国に広がっているんだなって実感できたツアーでした。
――積み上げてきたものが全国に届いていたことを感じられたわけですね。
杏優:はい。ツアーを通していろんな場所に行けたことも、みんなでご飯を食べたりしたのもすごく楽しかったんですけど、その中でソロ曲のお披露目があったり、既存曲のアレンジバージョンを出せたり、SITUASIONの武器がどんどん増えていった感じもあって。いろんな体験ができたすごくいいツアーだったし、SITUASIONにとっても大きな強化期間だったんじゃないかなと思っています。
蒼井輝菜(以下、蒼井):いろんな土地に行くにあたって、移動も車が多くて、スケジュール的にもかなり大変だったので、精神的にも体力的にもすごく鍛えられたツアーでした。
大月華琳(以下、大月):名古屋、大阪、東京は、ツアーでもよく行く機会があると思うんですけど、今回は加入してすぐ、それこそ長野や石川だったり、人生で初めて行く場所にも行かせていただいて。現地の方が「もともと知ってはいたけど、地元に来るなら行ってみよう」って足を運んでくださったりもしたんです。今回のツアータイトルが『KANKEI』だったんですけど、“全国のみんなと関係しよう”っていうテーマが、本当にそのままツアーの中で実現していたなと思います。ファイナルまで少し間は空いたんですけど、2カ月くらいずっと毎週のようにいろんな場所に行かせていただいて、すごく濃い時間でした。中国公演は実現できなかったので、いつか絶対にリベンジしたいです。
風間花音(以下、風間):新体制としてのSITUASIONを初めて見てもらう機会がすごく多かったツアーだったと思います。今の5人のSITUASIONをしっかりと確立していくために、毎回ライブ前に「今日はここに気をつけよう」「この曲のここはこうしてみよう」って話し合ってから本番に入っていたんです。ツアーファイナルまでの半年で、5人のパフォーマンスもすごく成長したと思うし、ただ仲良くなるだけじゃなくてライブについてちゃんと意見を言い合える関係になれたと思います。
――これまでも海外に挑戦してきたグループだからこそ、その思いも強いですよね。新体制になって最初のツアーでもありましたし、この5人で一緒に遠征を重ねるなかで、グループとしてのまとまりも深まったのでは?
大月:すごく縮まったと思います。観光をする時間はあまりなかったんですけど、夜ご飯を一緒に食べに行ったりしました。
蒼井:だいぶ深まりました! 最初は全然話してなかったんですけど(笑)、やっぱり一緒に行動してると楽しいし、移動もずっと一緒なので仲良くなりましたね。
風間:5人で遊びに行くことも結構あるよね。この前は夢の国にも行きました(笑)。
蒼井:月イチくらいで出かけてます。
杏優:ライブの日でも、みんなでシール交換したり、たまごっちをやったりしてました(笑)。
個からグループへ 新体制SITUASIONに生まれた一体感
――いい雰囲気ですね。大月さんと風間さんが入ったことで、グループの空気感やバランスはどう変わりましたか?
羽柴:3人は比較的内気な性格で、外に向けていろいろ発信するのがあまり得意じゃなかったんです。だから、バランスの面では2人がすごく前に立ってくれて、外の人たちともより交流ができるようになったと思います。3人ができていなかった部分を補ってくれる子が入ってくれた感じですね。
蒼井:前の体制の時は、ライブ前はそれぞれが自分の世界に入って、自分で考えてパフォーマンスする感じが強くて。でも今は、個人というより“グループ”としてまとまっている感覚があります。2人が率先して和気あいあいとした空気を作ってくれて、3人が沈んでいる時も笑わせてくれたり、変顔してくれたり、ずっと楽しくしゃべってくれているので、グループの空気が和らいでいます。
――そういった意味でも、新メンバーの2人がグループに与えた刺激は大きかったと。
蒼井:はい、だいぶ助けられました。
杏優:加入してから、2人がはずっと一生懸命SITUASIONに向き合ってくれていて、練習もすごく頑張ってくれているんです。だから私も、前よりもっと頑張らなきゃって気持ちが強くなりました。グループ全体の士気も上がったと思います。2人のおかげですね。
――では新メンバーの2人は、3人からどんな刺激を受けていますか。
風間:私たちが加入したのが、ちょうどグループ結成から5年くらい経ったタイミングだったので、3人が経験してきた5年の重みみたいなものはすごく感じます。どこまでもストイックだし、普段のレッスンでも、振り覚えだったり、ちょっとしたダンスの角度だったりを自然に揃えられていて。先生から吸収できる量も、同じ時間の中でもやっぱり3人の方が多いなって感じることがあります。ずっと尊敬できる先輩です。たくさん褒めてくれるし、助けてくれるから、やってこれているんだと思います。
大月:パフォーマンス力は本当にすごいなって思います。毎回ライブの記録用動画を撮っていて、送っていただいたら必ず見るんですけど、見せ方がすごく上手いなと思うところがすごく多いんです。5年やってきた積み重ねがあるからこそだと思いますし、自分ももっとできるようにならないといけないなって思います。練習でもわからないことを聞くといつも優しく教えてくれて、一緒に合わせてくれるので、本当にありがたいです。
杏優:いえいえ(笑)。
――お二人は、その3人が築いてきたグループの歴史や、パフォーマンスの完成度にも惹かれて加入したところが大きかったんですよね。
風間:加入のお話をいただいた時にライブを見学させていただいたんですけど、前後のグループも見ているなかで、SITUASIONの時間になった瞬間にフロアの雰囲気がガラッと変わったんです。私がこれまで見たことのないタイプのアイドルでした。ライブメイクをしているアイドルも初めて見ましたし、もともと楽曲がかっこいいのは知っていたけど、実際に目の前で観ると、パフォーマンスの迫力に圧倒されて……。私はずっとライブに重きを置いているグループに入りたいと思っていたので、「ここでかっこいいダンスと歌をやりたい」と思いました。
大月:パフォーマンスに惹かれたのはもちろんなんですけど、それ以上に“唯一無二”なところが大きかったです。今って本当にたくさんのアイドルグループがあるじゃないですか。そういう中で、ほかがやっていないことをやっているグループに入りたいっていう思いがずっとあって。でも正直、初めてライブを見に行ったときはすごすぎて、自分がそこに入って踊っている姿がまったく想像できなかったんです。だから一度、「私にできるのかな」って悩んだ時期もありました。それでも、ほかではできないことをやっているのがすごくかっこいいなと思って、入りたい気持ちが強くなりました。
――実際に対バンやフェスで皆さんのライブを観ていると、一瞬でフロアの空気が変わりますよね。他のグループと並んだときの異質さが際立つというか。
杏優:前後のアイドルさんやお客さんの系統が違う現場で、急にSITUASIONが入ると、ほかのアイドルさんのファンの方たちがポカンとしていることもあるんです(笑)。最初はそれがすごく辛かったんですけど、今はもう「これがSITUASIONだぞ」っていう強い気持ちでやっています。
――あれだけ完成度の高いパフォーマンスを、皆さんはどうやって作っているんですか?
羽柴:特に新体制になってからは、パフォーマンスにすごく力を入れていて、とにかくみんなで意識をすり合わせています。細かい部分でも、「ここはこの角度でやろう」とか「この部分はこのテンション感でいこう」とか、本当に小さいところまで話し合って決めています。
蒼井:小さい振りひとつでもみんなで意見を出しますし、いろんなジャンルの先生に入っていただいています。可愛い振りもあれば、コンテンポラリーっぽい動きもあるし、バキバキに踊らなきゃいけないところもあるし、しなやかに踊らないといけない部分もあるので。それぞれ得意不得意も違うから、メンバーで意見を出し合って補いながらやっています。
――新体制になって、これまでの積み上げをベースにしながら、さらに完成度が高まっている印象があります。
羽柴:気づいたら5年経ってました(笑)。
杏優:プロデューサーが楽曲を作ってくださっているんですけど、曲が出るスピードが異常というか、本当に速いんです! そういう流れの中で、いろんなことを考えながらSITUASIONを進めてくださっているので、その勢いについていくのに必死なまま、ここまで来ました。
蒼井:でも、まだまだこれからです!