Re:name、10年で培ってきた“何にでもなれる”バンドの強さ 国内外のメインストリームを昇華した自由なポップセンス
“バンドサウンド”に固執しない自由度、ルーツの幅広さ
メインストリームな音楽シーンの潮流や、音楽体験の在り方そのものが大きく変化してきたこの10年。そんな中でもRe:nameはバンドという形態で、極めて自然体のまま、時代に適応してきたように思う。2016年の結成から今年で10周年を迎える彼ら。1stアルバム『We Won't Know』(2019年)ではポップパンク〜グランジを主体とした3ピースならではのバンドサウンドだったが、2ndアルバム『postmodern indie』(2020年)ではライブでの同期演奏をきっかけに、人数にとらわれない音楽的アプローチを取り込み、さらに3rdアルバム『Mindwash』(2023年)では電子音楽的な要素も積極的に採用するようになった。
そして、TikTokでバイラルヒットした「24/7」収録の4thアルバム『GENIUS FOOL』(2025年)では、ワールドワイドなポップミュージックに大きく傾倒。ロックやパンク、エレクトロ、ハウスなどを多角的に取り込んだ色とりどりの楽曲が揃い、打ち込みやSE、オートチューンも駆使しながら“バンドサウンド”に固執しない独自のスタイルを確立させた。
それもそのはず。彼らはOne Directionや5 Seconds of Summer、ジャスティン・ビーバー、サザンオールスターズにMr.Childrenなど、洋邦のメインストリームポップスを愛聴してきたバックグラウンドを持つ。そんな潜在的な王道ポップスへの憧れが、DTMによって解像度高く自由に具現化され、バンドサウンドの域を超えた幅広い音楽性を築き上げたのが、今日のRe:nameに繋がっている。
振れ幅が大きいということは、すなわちリスナーの幅広さにも繋がる。『Give Me All Of Your Life』収録の「AM」や、『GENIUS FOOL』収録の「Living Fool」など、骨太で爽快感溢れるロックチューンは、邦楽ロックファンにダイレクトに突き刺さるだろうし、ミニアルバム『Missing Essentials』(2021年)では、泥臭い歪みを効かせたグランジ〜オルタナティブロックを前面に押し出す楽曲もあるなど、洋楽ロックリスナーの心をくすぐる音楽性も併せ持つ。さらには、FM802でヘビーローテーションされた「prettyfine :)」や全て打ち込みでモードなポップスに臨む「TOY」にあるような海外ポップス由来のトレンディなスタイルは、ロックやバンド音楽が身近でないリスナーやトレンドに敏感なティーン世代の琴線にも触れるなど、とにかく間口が広い。異なる入り口からRe:nameという媒体を通して新しいジャンルに出会う、という深掘りする楽しみもまた、彼らの魅力の一つなのかもしれない。
『1626』:形を変えながらも未来を切り拓いていく強い決意
では、逆になぜRe:nameはバンドであり続けるのか。そんな疑問を抱きながら、3月25日リリースのニューアルバム『1626』を一足早く聴かせてもらった。正直に言うと驚いた。というのも、結成から10年の歩みを体現する本作は、想像以上に個性の際立った“バンドらしい”作品だったからだ。
SEや打ち込みのビートを巧みに扱って鮮やかな景色を描く「Bedroom Angel」や「KISS ME HONEY」(CDのみ収録)を筆頭に、たとえば「Vintage Car」は山下達郎「クリスマス・イブ」を彷彿とさせる煌びやかさと、The1975「It's Not Living (If It's Not With You)」のようなキラーチューンらしい風格を併せ持ち、メインストリームにも通用する冬ソングを実現。さらに、ポップネス全開な珠玉のギターロック「MUCHU」、ストレートなバンドサウンドで駆け抜ける「愛はきっとLonely」や「I don’t wanna」、メロディの疾走感とブレイクビーツが鮮やかにハマる「OTHER SIDE」などが並ぶように、ジャンルの振れ幅を大きく広げながらも、その根底にはあくまでバンドとしての躍動が息づいている。
そしてアルバムコンセプトを象徴する「Forever Always」は、ロックを軸に、The 1975とエド・シーランを融合してJ-ROCKに昇華したかのような壮大なスケール感を放ち、Re:nameの“これまで”と“これから”を歌詞と音の両面から鮮やかに映し出す。自前のポップセンスと嗅覚から生まれる、老若男女問わず多くの人々の心にダイレクトに届くメロディとトレンディなサウンド。〈僕らの理想と記憶で生まれていく音を/鳴らすの〉という歌詞は、まさにRe:nameそのものを体現するようだ。
バンドの始まりと今。10年の歩みを踏襲するようにジャンルレスな楽曲の数々を経て、最後にリードトラックである「one room」へと辿り着く。ミニマルな構造で極彩色の世界を切り開く生粋のポップチューンには、DTM的装飾に頼らずとも確かに存在する地のメロディセンスと声の力、そして〈ひとりきりのワンルーム/ここからが始まり〉〈気が付けば日々は過ぎ/また旅を続ける/ただ、それだけなんだ〉と綴られた、10年という節目への想いが集約されている。だが、懐かしむようなしんみりとしたものでも、格別壮大なものでもなく、ジョイとハッピーに包まれた音楽で、歌詞もまた“今”を凪のように受け入れ、“明日”を見つめている。きっとこの曲は、 小さな世界から飛び出して、いくつもの出会いを重ねてきた3人が、来る大阪城音楽堂でのワンマンライブ(3月25日開催)、そしてそのまた先へ続く未来へと向けて鳴らした、Re:nameからRe:nameへ送る決意とエールでもあるのだ。
「Re:nameはその時々で形を変えていく」——ヤマケン(Dr)は自身のnoteで、バンド名の由来を振り返る際にこう語っている(※)。多くのバンドにとって、形を変えることは必ずしも歓迎されるものではない。変わらないことを美徳とすることさえある。しかし、この10年で音楽体験が大きく変化したように、バンドもまた変化を重ねてきた。そして今の彼らには「何かになりたい」のではなく、「何にでもなれる」という強さがある。高木一成(Vo)、Soma(Gt)、ヤマケンの3人がいれば、どんな形態であろうとRe:nameである——そんな確信が、音楽となって満ち溢れているのだ。
※:https://note.com/doriyanki/n/n81ff02696981
◾️リリース情報
Re:name
New Album『1626』
2026年3月25日(水)リリース
配信:https://lnk.to/rename_1626
CD予約・購入:https://lnk.to/rename_1626
<収録曲>
1.MUCHU
2.Bedroom Angel
3.愛はきっとLonely
4.i don’t wanna
5.OTHER SIDE
6.Vintage Car
7.Forever Always
8.one room
9.KISS ME HONEY (CDのみのbonus track)
10.I’ve (CDのみのbonus track)
◾️ライブ情報
大阪城音楽堂フリーライブ
2026年3月25日(水)大阪城音楽堂
開場18:00 / 開演19:00 / 終演20:00予定
入場無料
◾️ツアー情報
『Re:name 東名阪クアトロワンマンツアー2026』
2026年5月23日(土)大阪・UMEDA CLUB QUATTRO
開場 17:00 / 開演 18:00
料金:4,400円(税込)
2026年5月30日(土)東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO
開場 17:00 / 開演 18:00
料金:4,400円(税込)
2026年6月14日(日)愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO
開場 17:00 / 開演 18:00
料金:4,400円(税込)