Kroi、海を越えた至高のセッションーー「最高の経験」となった新曲制作の舞台裏、“憧れ”Incognitoへの想い
いい雑さが宿す本物のグルーヴ、「音楽で楽しさを伝える」という感覚
──スタジオの雰囲気はどんな感じでした?
関:場所はロンドンのウェスト・ハムあたりで、正直ちょっと治安が悪いエリアもあるんですけど、スタジオの周りはかなり落ち着いた空間でした。
内田:建物自体がかなり厳重にロックされた大きな建物で、中に入ると廊下にドアがいっぱい並んでいるんです。話を聞いたら、ほかにいくつもスタジオが入っていて、アーティストやプロデューサーが借りていたり、自分の部屋として持っていたりする。その一角にColibriがある、という感じでした。
関:スタジオの横に併設されているカフェで、毎回昼にブルーイとアイスブレイクみたいな感じでご飯を食べたりコーヒーを飲んだりして、「じゃあ始めようか」ってスタジオに入る、という流れでしたね。部屋自体は決して広いわけじゃないんですけど、機能としては十分で。ドラムも録れるし、ブースも大きめのがふたつあって。見たことあるギターやベースがいっぱい置いてあってテンション上がりました。映像で観たことのある、ブルーイが使っていたやつもたくさん置いてありましたし。
益田:世界中の小さなお土産みたいなものも、そこら中に置いてあって。ガチャガチャの景品みたいな、小さい赤べことかもいましたね。
長谷部:あとマグカップがめちゃくちゃ置いてあって、すごい数だったんですよ。ブルーイに聞いたら「ツアー先で買ったマグカップを集めてる」って。「いいなそれ、次から俺もやる!」って思いました。
──(笑)。スタジオでの作業も、日本でやるのとは違いました?
関:今回はエンジニアのモー・ハウスラーさんがミックスまで関わったこともあって、自分たちが普段やっているレコーディングとはフローが全然違いました。僕らはサウンドメイクにすごく時間をかけるタイプなんですけど、向こうは「これいいじゃん」みたいなラフなテンションでどんどん進んでいく。多少間違っていても、グルーヴが良かったら「これでいいじゃん」となる。“いい雑さ”があるんですよね。
千葉:プレイやアレンジに対して、どの方向性でいくか。これまでのノウハウや頭の中にあるサウンドの引き出しから取捨選択するスピードが圧倒的に速いんですよ。だから僕らが「どうなんだろう」と迷っているところも、ブルーイが「これでいい」と言ったら「あ、そうなんだ」とスッと受け入れられる。その“迷うところ/迷わないところ”の線引きが、すごく明確なんですよね。
──なるほど。
千葉:必ずしも“足す”ことが正解じゃないし、時には“引く”ことも、「あえてやらない」という選択肢もある。そういう判断を実際にやってみることで、自分たちの中に新しい引き出しが残るんです。「意外とこれもいいじゃん」とか、「こういうやり方もあるんだな」とか。そういうフレッシュな引き出しが増えるのは大きいと思います。
益田:僕らも活動し始めたばかりでレコーディングに慣れていなかった頃は、偶然入った音とか、変にハマったグルーヴを面白がって「これ、採用しちゃう?」みたいにやっていた時期があったんですけど、ブルーイは今でもそれを大事にしている。現場の雰囲気や、その時のプレイも含めて見ていて、どこまでも“いい意味で子どもでいられる”感じがすごく良かったです。
内田:慣れてくるとどうしても、「こういうふうに聴かせたい」という正解を先に決めて、清書するような気持ちで録音に臨んでしまうんだけどね。
益田:そうそう。でも今回の現場は、それよりも“録りながら作曲している”感覚に近かった。常にセッションというか、本当にセッションでしたね。
内田:発想も面白くて。たとえば、急に「最後、ホーンがいいフレーズになってる裏でギターを重ねちゃおう」みたいに言い出して、いきなりの展開にこっちは必死で弾いたり(笑)。自分、こういうリードっぽい曲でギターソロを弾くことがこれまであまりなかったんですよ。だから「ソロを任される」こと自体がまず嬉しくて。しかもそのソロは、Colibriのスタジオに置いてあった60年代のGretschで弾きました。「やっぱ60’sすげえな」って改めて思いましたね。ブルーイが「これ、いいでしょ!」みたいに勧めてくれて、こっちも「最高!」って言いながら弾けたのは、レコーディングの中でもすごく良い体験でした。
長谷部:そのあとブルーイが「めっちゃいい感じだから、イントロもいっちゃいなよ」って言って、両方弾かせたんです。イントロとアウトロがちょっと似た感じになったんですけど、通して聴いたらブルーイがめちゃくちゃ笑ってたのを覚えてます(笑)。
内田:そういうところが、自分たちとも似てるなと思いました。曲を作る中で「自分が笑えるポイント」を作っていくというか。制作の現場で生まれる“楽しさ”って、意識しない形でちゃんと音に乗って届くと思うんですよね。僕らも日本でずっとそういう作り方をしてきたし、Incognitoの音楽を聴いて育つ中で「音楽で楽しさを伝える」っていう感覚を、自分たちなりに持っていた。今回ブルーイたちと一緒にやってみて、「あ、同じなんだ」って答え合わせができたのがすごく良かったです。
──ホーンセクションも、まさに“Incognito印”という感じでした。
内田:わりと急に「入れちゃおう」みたいな流れになったんですよ(笑)。
益田:セッションが3日くらいあって、そのうち1日だけ空き日があったんです。その日、僕らは別の仕事をしていたんですけど、次の日スタジオに行ったら、すでにホーンが入っていて(笑)。
内田:ちょうど別案件で、別スタジオでホーンを録るタイミングがあったみたいで、「じゃあそこで録っちゃうわ」みたいなノリだったらしくて(笑)。聴いてみたら、もう完璧でした。
関:パーカッションも、Incognitoの現場でやっている方に来てもらって。めちゃくちゃ陽気な人でしたね(笑)。信じられないくらいずっと喋ってるんですよ。ずっと喋ってるか、誰かと電話してるか。でも、パーカッションを立てたら一発で決める。あれは本当にかっこよかったです。
──ほかに印象に残っていることはありますか?
益田:日本だとドラムのチューニングはテックの方にお願いすることが多いんですけど、今回はエンジニアのモーと話し合いながら、自分でチューニングしました。難しかったけど、やってみると面白かったですね。
スネアも、ブルーイがオリジナルで作ったものだったんですよ。サイズは一般的な14インチの、いわゆる標準的なスネアなんですけど、発音がめちゃくちゃいいのに少し遅いというか、どっしりしているというか。叩いた瞬間よりも、音がほんの少し後ろ側で鳴って聴こえるんです。だからプレイすると、普段よりグルーヴが少し後ろに引っ張られて、それが逆にかっこよくなる。ああいう「楽器そのものが持っている感触」でグルーヴが変わるのは、なかなかできない不思議な体験でした。
長谷部:そもそもIncognitoのブルーイと、Incognitoのスタジオで、ブルーイ所有の楽器を弾いて録った、っていうのがまずすごいなと。
内田:「Colibri」、教わったもんね。
長谷部:うん、「Colibri」弾きました。Colibriスタジオで。
益田:いやあ、よく本人の前で弾けるよなと思った(笑)。
関:今回のレコーディングで、個人的に一番胸アツだったのは、イントロに入っているブルーイの声ですね。あれは最初から入れる想定があったわけじゃなくて、イントロでやっているスキャットみたいなパートを「ブルーイの声でも入れてほしいです」ってお願いして、録ってもらったんです。
そしたら急に、ブルーイがモーに「もう1トラック用意して」って言い出して。僕は最初、何かコーラスを重ねるのかなと思っていたら、イントロで語り出したんですよ! それを聴いた瞬間、嬉しすぎて泣いちゃって。鳥肌が立ちました。最高の経験でしたね。
──この曲を携えて、夏には『Kroi Live Tour 2026 “JUNGLE”』もあります。今のKroiのモードを聞かせてもらえますか?
関:最近は、今までにないやり方で曲作りをしてみよう、という気持ちがあります。国立代々木競技場 第一体育館でのアリーナ公演を終えて、2月に入ってからはみんなでかなり入念にミーティングを重ねていて。「このタイミングで何かをリリースする」と決め打ちしているわけではないんですけど、お互いの今のモードを共有し合いながら動いています。
なので毎週のようにミーティングをして、「今週はこういう曲を作ってみた」みたいに持ち寄って共有し合う。これまでにないワークフローができてきていて、それがすごくいいなと思っています。それが今年どこかのタイミングで、何かしらの形で皆さんに届けられたらと思っていて、その“きっかけ”を今、みんなで模索しているところです。
内田:最近ずっとアリーナとかホールみたいな広い会場でやってきたんですけど、ラップをやる人間としては、ああいう場所ってちょっと“リッチすぎる”んですよ。ラップをやると、一個一個の音にディレイがわーっと付いてくる感じがあって。それはそれでお客さんも空間感を楽しめるし、自分も気持ちいい。ただ一方で、俺はラップを“タイトに聴かせたい派”でもあるので、夏のライブハウスツアーもぜひ観に来てほしいですね。
■楽曲情報
2026年3月23日リリース
Kroi「Kinetic feat. INCOGNITO」
配信リンク:https://lnk.to/Kroi_Kinetic
■ツアー情報
『Kroi Live Tour 2026 "JUNGLE"』
特設サイト:https://special.kroi.net/tour/
座種:1Fスタンディング 2F指定席
料金:1Fスタンディング・・・ 7,000円 (税込/ドリンク代別)
2F指定席・・・ 8,000円 (税込/ドリンク代別)
2026年8月10日(月)KT Zepp Yokohama(ワンマン公演)
開場18:00/開演19:00
2026年8月20日(木)Zepp Nagoya(2マン公演)
開場18:00/開演19:00
2026年8月21日(金)Zepp Nagoya(ワンマン公演)
開場18:00/開演19:00
2026年8月29日(土)Zepp Sapporo(ワンマン公演)
開場17:00/開演18:00
2026年9月4日(金)Zepp Fukuoka(2マン公演)
開場18:00/開演19:00
2026年9月5日(土)Zepp Fukuoka(ワンマン公演)
開場16:30/開演17:30
2026年9月18日(金)Zepp Osaka Bayside(2マン公演)
開場18:00/開演19:00
2026年9月19日(土)Zepp Osaka Bayside(ワンマン公演)
開場16:30/開演17:30
2026年9月22日(祝・火)Zepp Haneda(TOKYO) (2マン公演)
開場17:00/開演18:00
2026年9月23日(祝・水)Zepp Haneda(TOKYO)(ワンマン公演)
開場17:00/開演18:00
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