“流し”のシンガー 田内洵也、桑田佳祐との運命的な出会い 『深川のアッコちゃん』制作エピソードに迫る

歌の恋は成就するより“フラれる”ほうが面白い

――江ノ島、茅ヶ崎、南国、大阪など桑田さんのナンバーにも多々存在する“土地モノ”は、ブルース、フォーク、歌謡曲でも定番のひとつですし、そういう意味でも、「深川のアッコちゃん」は桑田さんの目と耳に興味深く響いたのかもしれませんね。

田内:そうだとしたら、それも最高に嬉しいですね。

ーーそういえば、田内さんのナンバーには「伊那街のブルース」(※『Traveling Man』収録)という曲もありますが。

田内:僕の中で「深川のアッコちゃん」と「伊那街のブルース」は兄弟みたいな関係の曲でして。恋愛モノの「深川のアッコちゃん」に対して、「伊那街のブルース」は寂れた飲み屋街のイメージで、もっと個人的な歌というか。僕の親戚のおばさんが50年ほど伊那でスナックをやっていることがきっかけで生まれました。伊那の飲み屋街はレトロな雰囲気で、深川や門前仲町に似ているところもあるんです。ちょっとロマンチックな言い方をすると、タイムトラベルっぽい要素も感じられるというか。

ーーさらに言わせていただくと、田内ナンバーには“報われない思い”や“届かない思い”を歌った曲が多い気がします。

田内:それは僕自身がこれまでの恋愛も相手からフラれまくってきたからでしょうね。これだけフラれまくれば、むしろ曲になるじゃないか! と。「深川のアッコちゃん」も、桑田さんにここまで手をかけていただいたけど、やっぱり成就はしなくて(笑)。でも、やっぱり歌の恋って、成就するよりもフラれるほうが面白いし、そのほうがブルースでいいんじゃないかなって。

ーー今回の「深川のアッコちゃん」を経て、田内さんは今後どんな風に音楽を鳴らしていこうとお考えですか?

田内:正直、今回、桑田さんに、こんなに手厚く面倒を見ていただけるなんて、夢にも思っていなくて……「深川のアッコちゃん」のレコーディングやライブを通して、今まで自分が知らなかった世界をたくさん見せていただきました。そこで感じたのは、レコーディングに対する“責任”。曲を書いて、録音して、その時代の記録として、次の時代に残していくことへの責任を強く感じるからこそ、桑田さんは歌詞の一文字、メロディの一音までをすごい熱量で仕上げていかれる。その様子を目の当たりにして、自分もその責任を新たに持って、誰かの人生の瞬間に立ち会えるような曲を作っていきたいと感じました。

――ソングライティングへの意識というか、アプローチが変わるかもしれない?

田内:間違いなく変わります。これまでは割とパーソナルな曲が多かったんですが、今はもっと開けた曲というか、会ったこともない誰かの孤独とか、いろいろな感情に共振するような音楽を作っていきたいと思ったので、当面はそれを第一に、どんどん曲を作っていきたいですね。そして、せっかくこうして桑田さんに“流し”の称号をいただいたので、そういう活動もこれまで通り、自分のペースでやっていけたらと思います。

『深川のアッコちゃん (produced by 夏 螢介 a.k.a. KUWATA KEISUKE)』

■リリース情報
『深川のアッコちゃん (produced by 夏 螢介 a.k.a. KUWATA KEISUKE)』
2025年11月19日(水)リリース
価格:1,100円(税込)
販売先:タワーレコード限定
レーベル:深川レコード

<収録内容>
1. 深川のアッコちゃん (produced by 夏 螢介 a.k.a. KUWATA KEISUKE)
2. 深川のアッコちゃん (produced by 夏 螢介 a.k.a. KUWATA KEISUKE) -Original Karaoke-

タワーレコード商品情報ページ:https://tower.jp/article/feature_item/2025/10/12/0702

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