2025.07.01 18:00

弌誠×ヰ世界情緒「連れ出してトロイメライ」特別対談　MAISONdesが導いた邂逅、コラボが生んだ新境地

ヰ世界情緒が挑んだ新たな領域　「自分の自信にも繋がった」

――そうして出来上がった音源を受けて、情緒さんは最初に曲のデモを聴いた際どう感じたか覚えてらっしゃいますか？

ヰ世界情緒：すごく絶妙なバランス感の曲だな、と感じたのをよく覚えています。メロディアスな雰囲気だけど爽やかな雰囲気とか、その中にも印象的な早口のサビがあったりして。どこか一カ所がウリになっているというより、あくまでも一つひとつの要素が絶妙に混ざり合って新しいものになっている感じ。確かに「歌うのが難しそうだなあ」と感じた部分もあるんですが、それは逆にこういう曲を私に任せてくださる“信頼”だと受け取りましたね。なので、いただいたその信頼には絶対に応えたいな、という気持ちもありました。

――実際のレコーディングに入った際、歌唱面では特にどんな点を意識されましたか？

ヰ世界情緒：先ほどの弌誠さんのお話とも通じるんですが、当初私は歌入れの際に、言葉の発話を一つひとつはっきりと発音するよう意識していたんです。曲のテンポも速いですし、言葉も詰まっているので。ただディレクションで「はっきり歌うというより言葉を普通に喋る感じ、ウィスパーな雰囲気で“乗せて”いってほしい」とディレクションをいただいて、それが自分の中でも新しい歌の領域だったので、難しくも楽しかったところでした。

――従来は比較的はっきりとした発話を意識されることが多かったんですね。

ヰ世界情緒：自身でものすごく意識を傾けているわけではないんですけど、ほかの方の歌と比較した時に「自分の歌の輪郭がはっきりしている」というのは、歌をたくさん歌うようになってから気づいた部分ですね。なので、その歌い方をあえて封じたとしても、「元の輪郭がはっきりしているからそれがいい感じに滲み出てくる」というのをエンジニアさんにもおっしゃっていただいて。そういう歌唱方法も含め、自分にとっては新たな発見になりました。

――ちなみに、レコーディング時は弌誠さんも立ち会われてたんです？

弌誠：はい。いやもう、歌が上手いな～と思って……。

ヰ世界情緒：いやいや、逆ですよ（笑）！　弌誠さん、ディレクションの際に自分で歌ってディレクションしてくださったんです。その歌を聴いて「負けられない……！」と思ったというか。完璧な歌に自分も沿いたいな、と思ったレコーディングでした。

弌誠：情緒さん、すごく力強く歌ってるのにめちゃくちゃ聴き心地がいい声なんですよ。音が耳から入って足の先、身体の隅々まで全身に浸透していく感覚があるというか……瑞々しさをすごく感じました。あらためてディレクションで生の声を聴いて、情緒さんのライブにも実際に行ってみたいと思いましたね。

――その他、レコーディング時に印象的だった出来事はありますか？

ヰ世界情緒：今回のレコーディング、私的にかなり爆速で終わったんですよ。自分の中でも「結構早く終わったな」という実感があって、それも印象的でしたね。ディレクションをしてくださる弌誠さんがご自身で歌われる方なので、歌の完成形をいつもよりしっかり頭の中に形作ることができたのかもしれません。そこに嵌めにいくような形で歌入れができたので早く終わったのかな、と思いますし、自分の自信にも繋がりましたね。

弌誠：自分がよく覚えてるのは、情緒さんが歌をミスった時に「わっ」とか「やっ」みたいな効果音を出されてて（笑）。

ヰ世界情緒：えっ！？　覚えてないです……抑えてたはず、なんですけど（笑）。

弌誠：でも「この声、素材に使えるんじゃないか」と思いながら聴いてました。それがすごく好きでしたね（笑）。

ヰ世界情緒：あまり外で言ったことはないんですけど、私って歌に集中していると歌以外のIQがゼロになるんですよ（笑）。たぶんそれで「あぁ～！」みたいな、ちょっとパニックになった感じがあったのかな。それもいつか曲の役に立つかもしれないですね（笑）。

弌誠：この曲のAメロ前にハミングのパートがあるんですけど、あそこは情緒さんの配信やラジオで先ほどのような声を聴いた時に、「歌声以外の声があるといいな」と思って入れたパートなんです。

――情緒さんの声は、それだけ楽曲を作る方にとって魅力的に聞こえる声なんですね。

ヰ世界情緒：私は歌う時によく「楽器になりたいなあ」と思いながら歌うんです。オケと歌というよりは、オケの中に混ざりたいというか。音として必要とされたい、という感覚があるので、そのお話はすごく嬉しいですね。

――そのようなレコーディングを経て楽曲の完成形を聴いた際、弌誠さんはどう思われましたか？

弌誠：もう、これは自分の葬式で流そう、と（笑）。一生聴けるな、と思いましたね。アレンジに関しては100回嘔吐さんに丸投げみたいな感じになっちゃったんですけど、完成形を聴くと本当にいろんなジャンルが混ざっていて、一度聴いただけであらゆる音楽の要素が得られるけれど、ちゃんとまとまりがある。いい意味で“コンビニ弁当”みたいになったな、と。作り始めた時より感情豊かな曲に仕上がって、めちゃめちゃ感動しました。

普遍性と新鮮さを両立したコラボで得たもの

――ありがとうございます。あらためてレコーディングを終えて、楽曲も世の中の皆さんに届けられた今、今回お二人で制作したことに対する感想も伺っていいですか？

ヰ世界情緒：“新しい感覚”を一緒に作れたな、という実感がありますね。いい機会をいただいたな、という思いと、もしまた次の機会があるとしたら、歌でもぜひコラボしてみたいです。

弌誠：それめっちゃいいですね。

――ちなみにその“新しい感覚”というのは、より具体的に言葉にするとどういったものですか？

ヰ世界情緒：難しいな……なんというか、この曲を「どういう曲？」って聞かれた時に、一言でまとめきれない感じというか。まだ世にある言葉で表せない感覚、言葉でそもそも表せるのか？　という思いもありますね。爽やかな曲だと言われたら確かにそうなんだけれど、でもそれだけじゃないし、ミステリアスな曲って言われるのも間違いではなくて。でもこんな側面もあるんだよ、みたいな。そういうひとつのジャンルに囚われない曲は自分にとってもすごく新鮮で、先ほどお話しした新しい歌い方の部分も含めて、いろんな面で今までにない挑戦をさせてもらえる機会になりました。

弌誠：自分も制作者としてのみならず、ボーカリストとしてもすごく刺激になりましたし、情緒さんにもそういう形で刺激を与えられたのならすごく嬉しいなあ、と。優しさのある曲調に反して、とても刺激的なコラボ体験になったと思います。レコーディングの時も「そういう歌い方するんだ、自分にはない引き出しだ」というのを一節一節感じて、すごく勉強させてもらいました。今回の経験を今後の制作にも活かしたいですし、今度ご一緒する時は真逆の曲なんかも作ってみたいですね。「連れ出せないトロイメライ」を（笑）。

――また違う引き出しも使ってみたくなりますね。

弌誠：これだけいろんなことができるのは、ひとえにMAISONdesさんの懐の広さのおかげもあるので。素敵なアパートに住めて嬉しいです（笑）。

――ありがとうございました。最後にそれぞれ、今作を聴くリスナーさんへのメッセージをいただければと思います。

ヰ世界情緒：楽曲を聴いて、皆さんいかがでしたでしょうか？　誰もが生きている中で一度は経験したことのある、情緒的な感情がすごく呼び起こされる曲だと私も感じているので、自分の中にある思い出などと重ねながら聴いてもらえたら嬉しいです。そしてこの曲も、今後皆さんの記憶に残るようなものになるとなお嬉しいな、と思います。

弌誠：今回の曲は色んな場所で聴くことのできる、コンビニのような普遍性ある曲を目指しました。ですが聴く場所によって、それぞれまた違った景色の見える曲にもなったんじゃないかと思うんです。この曲を、ぜひこれからも街や海など色んな場所に“連れ出して”もらえたら嬉しいですね。

■ライブ情報
弌誠 1st ONE MAN LIVE『チャイルドレストラン』追加公演

公演日：2025年8月27日（水）
会場：Zepp Shinjuku（新宿/東京）
公演時間：OPEN 18:00 / START 19:00
チケット価格：￥5,500（税込）※スタンディング
チケット販売サイト：https://issey.lnk.to/childrestaurant

特設サイト：https://childrestaurant.xyz
主催：VAP INC. / HOT STUFF PROMOTION
企画・制作：VAP INC. / HOT STUFF PRESENTS
問い合わせ：HOT STUFF PROMOTION（050-5211-6077 ※平日 12:00～18:00）