2025.04.02 17:00

怒髪天・増子直純×真田ナオキ対談　「やっぱり大事なのはユーモアだよ」――演歌とロックと声を語り合う！

俺も吉幾三さんには少なからず影響を受けてるから（増子）

――怒髪天が4月23日にリリースする『残心』は、新体制になってからの初アルバムですね。1曲目「決意の朝に」は、3人で活動し始めたバンドの想いを感じます。

増子：いろんな人の気持ちを当てはめられるように、今回のアルバムはパーソナルなものに歌詞を寄せなかったというのもあるんだよね。でも、実は親父が死んじゃったり、友達が死んじゃったり、ベースがいなくなったりして、俺的にはアルバムを作る気分ではなくて。それに、今曲を書いたら、聴いた人が全部そこに紐づけちゃうんじゃないかなと思ったから。だけど、メンバーが「アルバムを作りたい」って言ってくれたところから作り始めて、曲を作りながら自分たちの気持ちの整理をつけていくこともできるんだなとわかって。音楽はすごいなとあらためて思ったね。

――「先細りのブルーズ」は、一定の年齢になったリスナーの心に響く曲だと思います。

増子：歳を重ねることって、いいことも悪いことももちろんあるんだけど、聴いた時に何とも言えない気持ちになる曲を作りたいなと思って（笑）。

真田：師匠と一緒にごはんを食べたら楽しいんだろうなと、この曲を聴いて思いました。師匠も最近〈髪減ったよネ〉と歌う曲（『50周年記念アルバムV ～未来に残す歌～』に収録されている「OIRU SHOCK!」）を作っていたので。

増子：俺も吉さんには少なからず影響を受けてるから。やっぱり大事なのはユーモアだよね。深刻なことを伝える時ほど、ユーモアが大事。

――「銃刀法違反」も、シリアスなことをユーモアを交えて表現していますね。

増子：うん。これで言いたかったのは、SNSで好き勝手なこと言ってるヤツらへの「ちゃんと刺し違える覚悟があるのか？」ということ。あと、「エリア1020」の〈心の現住所〉とかもそうなんだけど、まっすぐで、ダサくて、熱いのが本来のロックなんだよ。そこをなくそうとすると何も引っかからないものになっちゃうと俺は思っていて。

真田：僕も演歌歌謡、特に吉幾三作品はかっこいいものではないと思ってます。「246」も、絶妙にダサいのが好きだとずっと言い続けてますから。

増子：ダサいからこそ心に残るんだよね。だって、みんな本来はダサいんだから。

真田：西城秀樹さん、郷ひろみさん、野口五郎さんの新御三家とかもそういうところがありましたよね。秀樹さんの「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」の衣装は、ただ着るだけだと絶対に普通じゃないのに、奇跡的にかっこいいじゃないですか。

増子：歌い方も最高だし、西城秀樹は洋楽のロックなんだよね。アルバムで洋楽のカバーとかしていたし。

いつも以上にメンバーとスタッフと話し合って一緒に作った新体制初アルバム『残心』

――「ロックスターロック」は、往年の洋楽ロックスターの姿が浮かびます。

増子：これはチバ（ユウスケ）や鮎川（誠）さんのこともあって書いた曲。『WEEKEND LOVERS』のチバの写真を見て、「やっぱりこいつは宇宙人だったのかなあ」と思ったの。キーボードアレンジは、奥野（奥野真哉）に頼みました。

――ピンク・レディーのオマージュの要素が入っていますね。

増子：奥野は同い年だから、言わなくてもほしい音を全部出してくれました（笑）。

――ラストの曲の「yallow magic orchestra（野郎魔術楽団）」は、タイトルのインパクトが強いです。

増子：友康が「楽しい曲を作りたい」って言ったから、「自分たちを“音楽の魔法使い”と言い切るバカバカしさもいいんじゃない？」と。あんまりそういうふうに言い切って書くことはあんまりないんだけどね。そういうのも含めて、今回はいつも以上にメンバーとスタッフと話し合って一緒に作った感があるかなあ。

――「yallow magic orchestra（野郎魔術楽団）」は、ラテンなのも独特です。

増子：曲ができた時、自分たちでもたまげた（笑）。やっぱり音楽っていろいろできるし、ジャンルなんてないんだよね。

真田：師匠も作詞作曲をされるので、僕も歌で表現するだけじゃなくて、自分で作ってみたいなと思っているんです。いろいろな音楽に触れて、世界を広げていきたいですね。

――アイドルとロックのあいだにある垣根のようなものはかなり前から薄くなっていますし、演歌もそうなっていくのが自然なんでしょうね。

増子：やっとそういう時がくるんじゃないかなと思ってる。「一匹狼のブルーズ」を作ってみて、「こういう曲も合うだろうな」と可能性を感じたから。またやりたいね。

真田：ぜひお願いします！

増子：サイコビリーっぽいのとか、絶対に合うと思うよ。

真田：僕、増子さんにお聞きしたいことがあって。師匠に「詞はどうやって書くんですか？」と聞いたんですけど、「ペン持って、こうやって書くんだよ」と書き方だけ教えてくれるだけで（笑）。意識的なことを教えてくれないんです。歌詞って、どういうイメージで表現していくんですか？

増子：歌詞を書き始めて自分のなかで編み出したのは、全然関係ないワードを3つ考えるやり方。謎かけじゃないけど、3つの単語を出して、その共通点を探して歌詞を書いていくの。たとえば、「恋心」「野良犬」「アイスクリーム」だったとしたら、「この3つが入ってる世界観ってどんなものかな？」と考えながら――世間からはじかれた野良犬みたいなふたりが寄り添って暮らしていて、金はないけどかき集めた小銭で買ったアイスクリームを誕生日にプレゼントしてくれた、その味を思い出す……みたいな。

真田：すごい！

増子：そういうふうに映画やドラマ的に考えていくのを繰り返していくと、いろんなのを作れるようになるよ。あと、いっぱい本を読むこと。漫画、小説とかなんでも。俺、アニメも観るし。

真田：僕も漫画とアニメが大好きです。

増子：でも、今俺がいちばんやってるのはゲーム（笑）。『コールオブデューティ』っていう、世界中の人と対戦できるFPSをよくやってる。撃ち合いのゲームなんだけど、あれは世界中の人がやったほうがいいと思う。自分が戦争に行ったらどれだけ早く死ぬかわかるから。自分の間抜けさがよくわかるよ。ヒョコっと頭を出したところで撃たれたりしてさ。そういう自分の姿を見たら、みんな戦争をやめると思う。外国の子どもに「なにやってんだ！」って罵られたりするし。

真田：なるほど（笑）。

増子：でも、俺は何言われても「サンキュー！」って返してる（笑）。

■真田ナオキ／リリース情報
シングル『Nina（ニーナ）』
発売中

・ピンクスネイク盤（シングルCD）
TECA-25011／1,550円（税込）
01. Nina（ニーナ）
02. 昔…中洲で
03. Nina（オリジナル・カラオケ）
04. 昔…中洲で（オリジナル・カラオケ）

・ブルーストライプ盤（シングルCD）
TECA-25012／1,550円（税込）
01. Nina（ニーナ）
02. 羽根を下さい
03. Nina（オリジナル・カラオケ）
04. 羽根を下さい（オリジナル・カラオケ）

・JD盤（シングルCD）
TECA-25013／1,550円（税込）
01. Nina（ニーナ）
02. 一匹狼のブルーズ
03.Nina（オリジナル・カラオケ）
04. 一匹狼のブルーズ（オリジナル・カラオケ）

真田ナオキオフィシャルサイト：https://www.naokisanada.com/
アーティストページ：https://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/sanada
X（旧Twitter）：https://x.com/naoki12sanada22
Instagram：https://www.instagram.com/n.s.official427
TikTok：https://www.tiktok.com/@sanadanaoki.official
ブログ：https://ameblo.jp/naoki0427sanada/

■怒髪天／リリース情報
アルバム『残心』
2025年4月23日（水）発売

・初回限定盤（アルバムCD＋DVD）
TECI-1840／5,500円（税込）

・通常盤（アルバムCD）
TECI-1841／2,750円（税込）

＜CD収録内容＞（初回限定盤／通常盤共通）
01. 決意の朝に
02. エリア1020
03. 銃刀法違反
04. ロックスターロック
05. 先細りのブルーズ
06. yallow magic orchestra（野郎魔術楽団）

＜DVD収録内容＞（初回限定盤のみ）
2025年2月6日新代田FEVER「第一種接近SO-GOOD!TOUR "season如月"」ライブ映像
01. 愛の嵐～風速2004メートル～
02. 夕暮れ男道
03. 酒燃料爆進曲
04. 俺 VS 俺
05. 俺流
06. 北風に吠えろ！
07. 杉並浮浪雲
08. 己DANCE
09. 人生○×絵かきうた
11. 押忍讃歌
12. オトナノススメ
13. 俺達は明日を撃つ！
14. 楽勝
15. どっこいサバイバー
16. 孤独のエール
17. 孤独くらぶ
18. エリア1020
19. ザ・リローデッド
20. 美学