中島健人、「jealous」バイラル首位獲得 DNAに刷り込まれたような抜群のリズム感
そして今週ピックアップするのが、同じくアルバムからの先行配信トラックとして、12月4日にリリースされた「jealous」である。12月16日のデイリーバイラルチャートで初登場1位に登場すると、以降、圧倒的な強さで王座に居続けている。既述した中島のバイラルチャートアクションから見えてくるのは、「ファタール」でアイドルという世間一般のイメージが変わり、「ヒトゴト」でスキルがあるボーカリストとして認知された。結果、各音楽配信サブスクリプションサービスのプレイリストに楽曲が取り上げられるようになり、幅広い層の音楽リスナーたちにも、中島の歌唱力が浸透。彼が作詞曲も手掛けるアーティストであることが広く知られるようになった。バイアスを自らの楽曲と歌のスキルで取り除き、音楽リスナーを“ノンバイアス”の状態まで持っていった中島の実力は、本当に測り知れない。アルバムのトラック2曲が、ノンタイアップながらバイラルチャート首位を獲得することは、実力がなければきっと難しいと思う。
さて、「jealous」に詳しく触れていこう。ひとことで言えば、ダンサブルなミディアムアップチューンである。ライブで盛り上がる様子が浮かぶ、ブライトなパーティーチューンだが、シームレスに変わっていく多彩なリズムが特徴。ファンクのリズムを軸にしているが、2000年代のジャパニーズヒップホップのフレーバーがあったり、ジャジーなテイストが一瞬登場したりと、目まぐるしくリズムのアプローチが変わる。中島はこのクセのあるグルーヴに見事にライドオンしており、余裕すら感じさせる。意識せずともしっかりリズムを捉えていることが、そのボーカルからわかる。DNAに刷り込まれたようなこの抜群のリズム感は、表現者・中島健人の大きな武器だ。
さらに本曲は、ラップも、刻むラップとメロウなラップがあることに加え、洒脱なメロディとドメスティックなメロディが入れ替わるように出てきたりと、歌唱するには難易度の高い曲だ。レンジはそんなに広い曲ではないが、緩急が細かく、フレーズ毎のニュアンスが肝になってくるだろう。中島は非常に多彩なニュアンスで楽曲にストーリーを作り出している。そんな中でも注目してほしいのは、後半のダイナミックなロングトーン。この部分はトーンの中で音階が変わっていくパターンだが、ここで中島は発声の違いでロングトーンに緩急をつけている。クレッシェンドをかけた声量も申し分ない。余裕すら感じられて、アルバムが待ち遠しくなってしまう。
2025年1月には1stソロライブの開催が決定している他、[Alexandros]やCreepy Nuts、クリープハイプ、sumikaらが出演するフェス『FUKUOKA MUSIC FES.2025』への出演も決まっている中島健人。その才能を本当に“目の当たり”にするのは、まだまだこれからだ。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2024-12-18
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