9mm Parabellum Bullet、盟友・the telephonesと祝した今年の「9mmの日」 今を生きるロックバンドの矜持

 “20周年”を祝うバンドは多くいるが、9mm Parabellum Bulletにとっては“19周年”が一大イベントだった。結成19周年を迎えた2023年、「毎月9日と19日に必ずライブか配信企画をする」と宣言し、自身4度目となる日本武道館公演も含めて充実した1年を過ごした。だからといって、彼らが歩みを止めることはない。満を持して迎えた20周年も、むしろ勢いを増して走り出そうとしている。2024年9月9日。「9mmの日」のLIQUIDROOMで繰り広げられたライブを観て、そう確信した。

 バンドだけでなく、LIQUIDROOMも20周年イヤーという記念すべきステージの口火を切るのは、スペシャルゲストとして登場したthe telephones。9mm Parabellum Bulletとは結成当初からライブハウスで共演し、それぞれ超個性的でありながら、まったく違う色でもって邦楽ロックシーンに嵐を巻き起こしてきた盟友同士だ。「Urban Disco」でさっそく〈I am DISCO!!!〉の大合唱を巻き起こすと、今まで以上によりタイトかつダンサブルになったサウンドでオーディエンスを踊らせていく。「Monkey Discooooooo」では、石毛輝(Vo/Gt/Syn)に「実はプライベートでいちばん仲がいい」と紹介された9mmの中村和彦(Ba)が参加し、友情を音圧に変えて華を添えた。

石毛輝(Vo/Gt/Syn)
岡本伸明(Syn/Coebell/Shriek)
松本誠治(Dr)

 石毛が「17年の付き合いになる」と9mmとの歴史を振り返り、「ヤバいのは、あいつらは何も変わってないってこと。あれだけタフな楽曲を20年やってるのは頭がおかしい証拠だと思う(笑)」と讃えていたが、その言葉をそのままthe telephonesにも贈りたいと感じた人は多かったはずだ。誰しもを即座に踊らせるハイテンションを貫き、いまだ新しい刺激を求め続けているthe telephones。「俺たちも20周年超えるほど踊り続けるからよろしく!」と叫び、「Keep on Dancing!!!」にその想いを込めてきらびやかに締めくくった。

 十分あたたまった会場にAtari Teenage Riotの「Digital Hardcore」が響けば、9mm Parabellum Bulletのターンだ。1曲目の「光の雨が降る夜に」から菅原卓郎(Vo/Gt)が哀愁たっぷりのメロディを歌いあげ、滝 善充(Gt)は印象的なリフやソロを奏でながらステージ上を跳ね回る。「Answer And Answer」では変幻自在にウネる中村のベースラインとかみじょうちひろ(Dr)の怒濤のドラミングに煽られてどんどん熱量が上昇。スタートダッシュが早いのはいつものことだが、アニバーサリーとthe telephonesの効果で、ステージにもフロアにも過剰なエネルギーが渦巻いているのが伝わってきた。

菅原卓郎(Vo/Gt)

 4曲を終えたところで、菅原から「22時にニューアルバムリリースが発表されます」というサプライズが。喜びの歓声を受け、アルバムから新曲が2曲初披露された。「Baby, Please Burn Out」は、菅原が「イキのいい曲」と紹介したとおり、かみじょうのドラムを合図に前のめりなビートで突き進むアグレッシブな一曲。もう一方の「幻の光」は、ロマンチックなムードが漂うミドルバラード。激しさと繊細が共存する、9mmらしさをアップデートした2曲だ。そこから、現時点での最新曲「カタルシス」の威力も食らい、ニューアルバム『YOU NEED FREEDOM TO BE YOU』への期待が高まった。

滝 善充(Gt)
中村和彦(Ba)

 おもむろに菅原が「ディスコ~♪」と高音で口ずさみ、滝が「Urban Disco」のリフをつまびく。察したオーディエンスが湧くなか、the telephonesから石毛が呼び込まれた。「みなさん、ディスコしてますか?」という菅原の言葉に、石毛が「セコムみたいな言い方(笑)」とツッコむなど、フランクな雰囲気に「ここが揃うと楽屋みたいになっちゃう」と菅原。同世代ならではの空気に和みつつ、石毛が選んだという「Mr.Suicide」と「Discommunication」を9mm+石毛の特別編成で披露した。

かみじょうちひろ(Dr)

 ロックギタリストと化した石毛が滝とともにモジャモジャ頭を振り乱し、9mmのグルーヴと一体化。「Discommunication」のラストで、石毛お馴染みのブリッジ奏法にならい、菅原、滝、中村もステージに仲良く寝転がる姿は完全に悪友同士のノリだ。何度も共演を重ねてきた両者の歴史のなかに、またひとつ忘れられない夜として刻まれたに違いない。

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